相棒が好き過ぎて

ドラマ相棒が好き過ぎるが故の戯言と悪ふざけ

右京さんの正義。神戸くんの正義。カイト君の正義。

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相棒、それぞれの正義

相棒でしばしば見られるのが「それぞれの正義の対立」と言う構造です。

杉下右京の正義。

神戸尊の正義。

甲斐享の正義。

小野田公顕の正義。

みんなそれぞれの正義を持っていますが、基本的にはみんな「正義」なんです。言葉上では「正義」の対義語は「不義」とされていますが、実際は正義の反対の意味を持つものは「悪」と言うイメージが強いかとは思います。

相棒は刑事ドラマですので、主役はあくまでも警察側の人間です。刑事vs犯罪者と言う構造が前提になってストーリーが展開していきます。

ですがそんな単純な構造だけでは終わらないのが相棒の醍醐味でもあります。単なる犯罪に留まらず、その背景や信念。そして正義の捉え方の違い。そう言ったものが複雑に錯綜し、物語に膨らみを持たせています。

そしてこの「正義の対立」は、右京さんの相棒である神戸くん、カイト君を特命係から引退させる自体をも引き起こしている、とても重要なテーマなんです。

 

杉下右京の正義

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(画像出典:blogs.yahoo.co.jp)

右京さんの正義は「絶対的な正義」です。

法に触れる行為はどんなことでも許しません。例えどんな事情があるにしろ、犯罪は犯罪。それを犯してしまったら、その罪は償わなければいけません。犯罪を起こすまでに至った同情すべき事情。やむを得ない事情。それらに対しても右京さんは、理解は示しながらも、それを許すことはしません。

「人は犯した罪を法で裁かれなければいけない」と言うのが右京さんの信念です。絶対的な正義です。

良い意味では「真っ白」なんですよ、右京さんは。グレーがないんですね。真っ白なんです。これは警察官としては当然と言うか、あるべき姿なのかもしれません。

一方では「融通が利かない」と言う悪い面もあります。それは許してもいいんじゃないの?それは仕方ないから大目に見てあげようよ。ってことに対しても、右京さんの前ではそれは通用しないんですね。ある意味「かたぶつ」なわけです。

そんな右京さんですから、その信念が故に、しばしば警察内でも対立を起こしてしまうんです。

 

神戸尊の正義

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(画像出典:www.rankingshare.jp)

右京さんと決定的に「正義」の概念で対立し、それが原因で特命係を去ったのが、二代目相棒の神戸くんです。

相棒シーズン10の最終回で、その対立が克明になり、右京さんと神戸くんは袂を分かつことになるんです。

シーズン10最終回は、クローン人間をめぐる事件です。クローン人間は現在の法では認められていません。それを作り出せてしまう技術が既にあったとしても、それを行うことは違法なんです。

ところが実際には、既にクローン人間が誕生しているのでは!?と。

そしてそのクローン人間として誕生した子供をめぐって、右京さんと神戸くんの対立が決定的になるんです。

そもそもの事件の真相を明るみにするためには、クローン人間が既に誕生している事実をも明るみする必要があります。右京さんの信念は絶対的な正義ですので、クローン人間の誕生も含め、全てを白日の下に晒すべきだと。

それに対して神戸くんは、それを全て明るみにしたら、クローン人間として誕生した子供はどうなるんだ?と。その子の人生はどうなるんだ?なのでクローン人間に関しては、明るみにはせずに内密にするべきだと。

僕は、どちらも間違ってはいないと思います。なのでとても難しい問題かとは思いますが、どちらかと言うと個人的には神戸くんの正義に寄りたい気持ちではあります。右京さんを否定するのは心苦しい限りですが…。

法を守ると言うことに重点を置くなら、右京さんの正義です。でも人間を守ると言うことに重点を置くなら、神戸くんの正義かな~と。

もちろん事件はそんなに単純ではないので、そう簡単に言い切れる問題でもありませんが。クローン人間を明るみに出さないことで、真実が隠されてしまうわけですからね。

結局この対立は、右京さんが折れた形になりました。右京さんが退いたんですよね。

ですがこれで神戸くんは特命係を離れることになってしまったんです。

この最終回は見どころ満載の最終回でした。

 

甲斐享の正義

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(画像出典:www.sanspo.com)

カイト君の場合は、神戸くんよりもかなり極端でしたね。

法で裁かれない犯罪者に、暴力を持って自ら制裁を加えると言う正義です。

相棒シーズン13の最終回で、カイト君が「ダークナイト」として最後は逮捕されてしまいました。

これもカイト君はカイト君なりの信念があり、それが彼にとっての正義だったんだと思います。悪いことをして、たくさんの人を傷つけているのに、罰も受けずに暮らしている人間。それが許せなかったんでしょうね。カイト君は自ら彼等にダークナイトとして制裁を加えるんです。暴力と言う手段で。

やり方は極端ですし、カイト君自身も間違いなく犯罪者として扱われてしまうのは仕方ないことです。法ではなく、個人が罪を裁きだしたら、そしてそれが許されるなら、きっと滅茶苦茶になりますからね。なので許されることではないと思います。これも一つの正義の形ではあると僕も思いますが、極端な正義かもしれません。

結局はカイト君が右京さんにダークナイトを見破られ、逮捕されると言う形で、カイト君は特命係を離れることになりました。

少し後味の悪い最終回ではありました。

 

亀山薫の正義

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正義の概念と言う意味では、やや印象の薄いのが、初代相棒の亀山くんではないかと思います。

しかし、右京さんと正義で対立する場面は何度かありました。

いずれも亀山くんが折れて、右京さん従うと言う結果にはなっていますが。

右京さんの正しさを亀山くんは認識しているんです。

そして亀山くんの場合は、正義なのか悪なのか、一番の判断基準が、自身の「」や「感情」の部分ではないかと思います。

亀山くんはとても優しいですし、熱い男です。例え悪い行いであったとしても、情に流されてそれを許そうとしてしまうような場面もありました。

ある意味、神戸くんに少し近い部分もあったかとは思います。

何度も何度も、情に心が揺れつつも…右京さんの正義について行ったのが、亀山くんでした。

 

小野田公顕の正義

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(画像出典:matome.naver.jp)

そして、劇場版2で亡くなってしまった小野田官房長の正義

小野田官房長が生きていた頃は、右京さんとの対立が頻繁に顕著に起こっていたかと思います。

右京さんと小野田さんは相容れない関係なんだと。仲は悪くはなさそうなんですけどね、考え方が相容れないわけです。

小野田さんの正義は、「大きな正義を行うためには、小さな罪は問わなくてもいい」と言った正義です。少し極端かもしれませんが、例えるなら「100人の命を救うために1人の犠牲は問わない」と言ったものに近い形かもしれません。

ですので当然、絶対的な正義が信念の右京さんとは対立してしまうわけですね~。

小野田さんとしては、小さな罪を裁くことで、大きな正義が行えなくなるのは障害です。それだけ考えると、小野田さんも間違ってはいないのかな~とか思ってしまいます。

 

正義の対立は相棒の大きなテーマ

僕は個人的に、どんな正義が正しいのか正直わかりません。

何を持って正義とするのか。難しいですよね。どれも正しい気もしますし、どれも間違っている気もしますし…。

曖昧なことしか書けないです。

今後も相棒ではこの「正義と正義の対立」が何かしらの場面では重要なテーマになって出てくるんじゃないかな、とは思います。

2代目相棒の神戸くん、3代目相棒のカイト君、今まで2人もの相棒がこの正義の考え方によって特命係を離れるに至っています。4代目の冠城くんはどうなるのでしょうか?

その辺りも注目して見ていきたいです!

以上、今日はちょっと固い記事になってしまいました。

(記事トップ画像出典:mantan-web.jp)

 

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