第9話『檻の中~告発』
あらすじと感想
本日は、シーズン18第9話についてです。
相棒season18第9話のタイトルは『檻の中~告発』。放送日は2019年12月11日で、2話連続SPの後篇となります。前篇のタイトルは『檻の中~陰謀』でしたので、「陰謀」から「告発」へと変化した形になります。どんな告発が飛び出すのか、気になります。
前篇のレビューはこちらで紹介しています。
それではまず最初に、第9話『檻の中~告発』のあらすじから、ざっくりと紹介していきます。
遠隔操作技術の第一人者で、3億円にものぼる横領の罪で逮捕された大学教授、皆藤武雄。彼の保釈金として用意された3000万円が、3人組により強奪されるという事件が発生します。しかしそれは当初現金を奪われた被害者と思われた、准教授の高瀬佳奈恵により仕組まれたものだと明らかになります。高瀬は積年の教授に対する恨みから、強奪事件を仕組んだものと思われます。また、教授を檻の中へと入れることとなった横領事件も、彼女がでっちあげたものでした。真相の解明とともに、3000万円の保釈金も戻り、皆藤も無事に保釈されることになります。一方、一連の事件と何かしら関わりがあることが疑われる、冠城くんの旧友であり、週刊誌の記者である桝本。彼が皆藤の保釈を受け、何かしら行動を起こすのではないかと危惧した冠城くんは、彼に接触し問い詰めますが、もう皆藤の件に興味はないと、軽くかわされてしまいます。また、右京さんも、皆藤を陥れた高瀬に対し、まだ明らかになっていない真の動機があるのではないかと疑念を抱きます。そんな中、ついに皆藤が保釈され、事件は新たな展開へと動き出します。高瀬はなぜ皆藤を檻の中に閉じ込めたかったのか?皆藤が保釈を急いだ理由は?そして桝本は事件にどう関わってくるのか?右京さんと冠城くんが、真相を暴き出します。
おおまかではありますが、だいたいこんな感じの内容になります。
今回も面白かったです!
2話連続SPですので、前篇が放送された後、どんな続きが待っているのか気になって仕方なかったので、ようやくその結末を知ることができました。
前篇までの流れですと、「准教授の高瀬が、教授の皆藤を陥れるために起こした事件」として、完結してもいい流れではありました。高瀬が教授に対する長年の恨みのため仕組んだ事件だったとしても、つじつまは合いますからね。
しかし、そこからさらに大きな展開が、この後篇にて待っていました。前篇を見ただけでは、こんな展開が待っているだなんて全く予想できませんでした。
主要な登場人物は、皆藤、高瀬、桝本の三人ですが、この三人が皆それぞれ何かを隠してるんです。そしてもちろんですが、その隠している真実があっての、それぞれの行動になるわけです。
で、そんな主要な登場人物たちに、ドローンだったり、サルウィンのテロ事件だったり、ライフケアテクノロジーという会社だったりが絡んできます。
『アレスの進撃』で出てきた、防衛技術振興協会の副会長、桂川宗佐が再登場したのもびっくりです。最初、僕は誰だかわからなかったんですけどね。笑
最終的な図式としては、決して敵対する関係というわけではありませんが、「右京さんvs皆藤教授」「冠城くんvs桝本」という形になっていました。
そしてまさにタイトルのとおり「檻の中」に教授が入ることとなった背景が、真相を解明するための、一番大きな鍵だったかと思います。
遠隔操作技術というものの恐ろしさも実感しました。どんな技術でも同じだと思いますが、使い方次第で、人を救うものにもなれば、その反対にもなります。そう言った意味で、「科学の軍事転用」というのが大きなテーマとなっていた回でした。
皆藤教授の研究に対する信念、奥さんをテロにより亡くした桝本の想い、愛する人を守るための高瀬の想い、皆それぞれが抱えているものを慮ると、とても切なくなります。
どことなく、劇場版Ⅰの『絶対絶命~』に通じるところもあるかな~とか、思ってしまいました。
重ためのお話ではありましたが、2話連続SPを存分に楽しませて頂きました。
最後の科学者の責務を説く右京さんも熱かったですね。
特に中盤からは緊迫した流れとなっていましたので、全体を通して笑いどころはかなり少なめの回ではありましたが、走る右京さんの姿など見れましたので、満足です。笑
第9話『檻の中~告発』、面白かったです!!
ゲスト出演者
それでは続いて、第9話『檻の中~告発』に出演された、主なゲストさんを紹介していきます。今回は第8話から続く後篇となりますので、ゲストさんも第8話と同じです。
中村育二(なかむらいくじ)
まずは、遠隔操作技術の第一人者である大学教授、皆藤武雄役で中村育二(なかむらいくじ)さん。
研究費の横領容疑で逮捕され拘留されていましたが、保釈されます。右京さんとは20年ほど前に別の横領事件で関わっていて、面識があります。物語の中心となる人物です。
中村育二さん、信念を持ちそれを貫いている天才教授の役が、とても似合っていました。
山崎樹範(やまざきしげのり)
続いては、冠城くんの幼なじみで、皆藤教授や一連の事件との繋がりが疑われる週刊誌記者、桝本修一役で山崎樹範(やまざきしげのり)さん。
桝本は奥さんをサルウィンのテロ事件で亡くしています。そして明らかに何かしらの秘密を隠しています。皆藤の保釈後は事件に興味を失ったと発言していますが、その動向から目が離せません。
ずっと思い詰めた感じの役柄でしたので、山崎樹範さん自体が、そういう人に見えてきてしまいました。笑
中村優子(なかむらゆうこ)
続いて、横領事件や保釈金強奪事件を仕組んだ准教授、高瀬佳奈恵役で中村優子(なかむらゆうこ)さん。
教授を檻の中に閉じ込めるため、様々な手段を使って教授を陥れたと考えられています。保釈金強奪犯たちに襲われたことで、真相が発覚しました。
中村優子さん、どこかで見たことある女優さんだな~と前篇から思ってたのですが、「天井の高い家」のCMに、竹野内豊さんの奥さん役で出ている女優さんでした。うちの嫁が気付きました。
以上、今回の主なゲストさんは上記の3名になります。
他には、防衛技術振興協会の副会長で、東和ダイナミクスの社長、桂川宗佐役で村上新悟(むらかみしんご)さん。皆藤の研究を支援していた会社の社長、三島幸彦役で奥田達士(おくだたつひと)さん。元傭兵の武田和広役で、安藤彰則(あんどうあきのり)さん。皆藤研究室の研究員役で、諌山幸治(いさやまこうじ)さんと久下恵美(くげめぐみ)さん。高瀬とともに保釈金を運んでいた弁護士、鴨居辰彦役で永野典勝(ながののりかつ)さん。保釈金強盗犯の主犯格、谷口雅也役で江原大介(えはらだいすけ)さんなどが、ちょいゲストさんで出演されています。
桂川宗佐役の村上新悟さんは、前篇には登場せず後篇のみです。S18初回SP『アレスの進撃』で同じ役で出演されています。その他にも別役で二度(S9-15、S13-10)出ていますので、出演は今回が4回目ということになります。
科学の軍事転用
保釈された皆藤教授は、遠隔操作技術の第一人者です。その分野では天才と呼ばれています。
皆藤教授は、「技術は人を幸福にする」という一念で、研究に没頭してきました。彼の研究は、医療や災害対策などでも幅広く活用され、多くの人を救ってきました。
しかしその技術は、軍事や兵器という観点でも、大変魅力的なものでもあったんです。人の役に立てるために開発したものが、彼の与り知らないところで、人の命を奪うために使われてしまっていたんです。
これは皆藤教授にとって、大変憂える事態です。
桝本が言っていたのですが、日本の科学者には戦後、軍事目的の研究は行わないという誓いがあるそうです。
しかし皆藤は、自身の知らぬところで、その誓いを破ってしまっていることになります。
このたび、軍事転用されたのはドローン技術です。
ドローンは空撮、測量、農薬散布など、便利になることがたくさんある一方で、その使い方が現実でも問題になったりもしています。飛行機やイベントの妨害など、ちょいちょいニュースにもなったりしていますし。
既に軍事利用もされていて、ドローンに限らず「遠隔操作による戦争」というのが、現実のものとなりつつあります。
戦争で利用されるということは、テロにも使われるということです。
桝本の奥さんが巻き添えとなったサルウィンのテロは、まさに皆藤教授の開発したドローンが使われたものでした。ドローン爆弾です。
皆藤教授は、自身が開発したドローン技術が、戦争やテロで使われることに関して、以下のように言っています。
「これさえあれば、数万キロ離れた自宅で家族と食事をしながら、街中を彼女とデートしながら、いつでも人が殺せるんです」
恐ろしいことだと思います。
右京さんが追っていたドローン爆弾も、スマホで飛行ルートを指定され目的の場所まで行き、さらには換気口から屋内にも侵入しちゃってます。
優れた科学技術は、人々の生活の役に立つだけではなく、人々の生活を脅かすことにもなり得ます。
どんな研究にも、その成果には表と裏の使い道が存在するのは、ある意味でどうしようもないことなのかもしれません。薬と毒のようなものでしょうか。
どちらも存在することは否定できないかもしれませんが、せめて実際に使われるのは、薬の方だけであって欲しいものです。
その他の見どころ
では次に、第9話『檻の中~告発』の、その他細かい見どころを、いくつか挙げてみたいと思います。
桂川宗佐の再登場
防衛技術振興協会の副会長、桂川宗佐。東和ダイナミクスという武器開発会社の社長でもあります。
彼はS18初回SP『アレスの進撃』にて登場していまして、今回がそれ以来二度目の登場です。
悪そうな顔をしています。笑
『アレスの進撃』では、武器輸出を推進しようとしている片山雛子に同行していました。
桂川はこのたびの事件にも密接に関わっています。このような形での再登場が待っていたんですね。
桂川は、防衛技術振興協会という、いわば武器輸出を推し進めようとする協会の副会長です。で、その協会の顧問になっているのが、片山雛子なんです。
桂川宗佐が今後も登場するのなら、その先には片山雛子が出てくるかもしれません。
増上寺と東京タワー
東京タワーの足元には、増上寺(ぞうじょうじ)という大きな境内を持つお寺があります。
ドラマ内では安増寺というお寺として紹介されていましたが、おそらく増上寺ではないかと。
増上寺は、徳川家の菩提寺でもある、歴史のあるお寺です。
そんな増上寺の境内を、冠城くんが疾走していました。
僕も増上寺には、若い頃に一度だけ訪れた覚えがあります。記憶はかなり薄れていますが…。それでも自分が行ったことのある場所が、こうして相棒で登場するって嬉しいものですね。
増上寺には、またゆっくり参拝しようと思います。
冠城の旧友がサルウィンへ
冠城くんの幼なじみである桝本修一は、奥さんをサルウィンのテロで亡くし、その後に自身も花を手向けにサルウィンを訪れています。
右京さんの元相棒、亀山くんのいる地に、冠城くんの旧友が訪れているわけです。
当然テロ事件のことは、サルウィンにいる亀山くんも知っているはずです。美和子さんも。
桝本を介して、どこかで亀山くんと冠城くんが繋がったらいいですね。
以上、今日は相棒season18第9話『檻の中~告発』についてでした。