第5話『光射す』
あらすじと感想
本日は、シーズン20第5話についてです。
相棒season20第5話のタイトルは『光射す』。放送日は2021年11月10日です。初回3部作の後にいきなりの陣川回でしたので、この第5話からようやく少し落ち着いて見れる気がします。
ではまず最初に、第5話『光射す』のあらすじから紹介していきたいと思います。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
古いアパートの一室で、住人の警備員・紅林啓一郎(西野太盛)が首をつって死んでいるのが見つかった。遺体には何者かに殴打されたような生々しい傷が残っており、単なる自殺とは思えなかった。しかも、玄関や窓は内側から施錠されていたため、もし他殺ならば“密室殺人”にほかならなかった。
事件を聞きつけた特命係の杉下右京(水谷豊)、冠城亘(反町隆史)は臨場。紅林は1匹の亀を飼っており、目撃者はその亀だけだった!また、壁が薄いのか、隣室から咳きこむ声が聞こえるのにも気づく。隣室には80歳の女性・三宅富士子(草村礼子)が息子・卓司(矢崎まなぶ)と住んでおり、部屋から出てこない息子のため、富士子は今なお働き詰めの日々を送っているようだった。富士子は、紅林とは生活時間帯が逆なため顔を合わせたこともないと話す。
そんな中、右京たちは意外な事実を知る。なんと、所轄署の刑事だった水木洋輔(伊藤洋三郎)が、一週間前、紅林の部屋を独断で家宅捜索していたことがわかったのだ。2カ月前に失踪した娘・沙也加(近藤くれは)を探していた水木がそんな無茶をしたのは、インターネット上で娘が紅林の部屋に監禁されているという書き込みを発見したからというが…!? 事件は予想外の方向に転がっていく!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!
行方不明の娘を探す元刑事、密室殺人の疑いがある遺体、隣室の引きこもり。もう気になる要素が満載でして、どう転がっていくのかなかなか読めない物語でした。
今書いた通り、事件は三つの線から成り立っています。
まずは、大学生の娘が行方不明になってしまい、その行方を必死で探す元刑事という線。
次に、密室にて首を吊って亡くなっていたにもかかわらず、遺体には何者かに殴打されたような傷があり、殺人の疑いのある事件の線。
そして最後に、首吊り遺体が見つかったお隣の部屋に住む、老婦人と引きこもりの息子という線。
この三本の線が絡み合って、物語は進行していきます。最後には全てが繋がり、真相が明るみになるという展開ではありますが、なかなかに複雑に絡み合っていたかと思われます。さらには怪しい人物が他にも顔を出したりしましたし。
で、「ペットの亀」という、おまけ要素が絡んでくるのも、また一興。S17第7話『うさぎとかめ』に続くリアル亀の登場でして、ここから初代相棒である亀山くんへと連想されていくのが、また嬉しい。
亀に愛着を持つ右京さんにも、ほのぼのしましたし。
こてまりにて、右京さんと小手鞠さんが亀を見守るシーンも、なんだかいい感じでした。
相棒では過去にも「引きこもり」が事件の鍵を握るという物語がありましたけど、今回も真相への鍵を握っているかもしれない重要人物として登場するのが、隣室の引きこもりです。壁の薄いアパートですので、常に自宅にいる男というのは、隣室での出来事も何かしら耳にしている可能性があるわけです。
しかし心を閉ざした引きこもりから話を聴くというのは、なかなか難しい。その心を動かすシーンというのは、このたびの一番の見せ場だったのではないかと。
また、引きこもりとそれを支える高齢の親、という社会問題にも、少なからず焦点が当てられていたかとも思います。
老婦人役の草村礼子さんも、相当久しぶりとなる相棒再登場でして、懐かしかったです。美和子さんの叔母さんとして登場したS1以来ですので、約19年振りですね。
前話でお休みだった青木年男も、ばっちり出てきて笑いを提供してくれました。
登場人物たちの様々な想いが交錯し、恒例のどんでん返しがあり、全てがハッピーエンドとまではいかないものの、結末は「光射す」物語だったと思います。
ラストの引きこもりのワンシーンは、かなりインパクトもありました。思わず僕は「おっ」と声を発してしまいました。
第5話『光射す』、面白かったです!
ゲスト出演者
では続きまして、第5話『光射す』に出演された、主なゲストさんを紹介します。
草村礼子(くさむられいこ)
遺体が発見された部屋の隣室に住む老婦人、三宅富士子役で草村礼子(くさむられいこ)さん。
引きこもりの息子を抱えていて、80歳になった現在も工場で働いている老婦人です。彼女が働き息子を養っている形です。遺体で発見された隣室の男とは、生活時間帯が逆で顔を合わせたこともないと話しています。
草村礼子さんは、別役で2度目の相棒出演です。1度目はS1第7話『殺しのカクテル』で、ロンドン在住の美和子さんの叔母、アキコ・マンセルという役で出ています。2002年の出演ですので、約19年振りの相棒再出演です。
伊藤洋三郎(いとうようざぶろう)
行方がわからなくなってしまった大学生の娘を探す元刑事、水木洋輔役で伊藤洋三郎(いとうようざぶろう)さん。
警察官にもかかわらず、ネットで情報提供を呼び掛けたことが問題になってしまい、責任をとって警察を退職しています。角田課長とは顔見知りです。刑事を辞めた今も娘の行方を探しています。
伊藤洋三郎さんも、今回が別役で2度目の相棒出演です。1度目はS2最終話『私刑?生きていた死刑囚と赤いベルの女』に刑務官の役で出ています。2004年の出演ですので、約17年振りの相棒再出演です。
以上、今回の主なゲストさんは、上記2名になります。
他には、三宅富士子の引きこもりの息子、三宅卓司役で矢崎まなぶ(やざきまなぶ)さん。水木の元部下の警察官、内川優役で小島久人(こじまひさと)さん。遺体となって発見された警備員の同僚、桂木雪乃役で畦田ひとみ(うねだひとみ)さん。遺体となって発見された警備員、紅林啓一郎役で西野太盛(にしのたいせい)さん。水木の行方不明になっている大学生の娘、水木沙也加役で近藤くれは(こんどうくれは)さんなどが、ちょいゲストさんで出演されています。
小島久人さんは、別役で2話目(過去にはS15-11)の出演です。
矢崎まなぶさんは、かなりインパクトありました。
亀と引きこもり
密室にて首を吊った状態で発見された警備員の遺体には、なぜか殴打されたような生々しい傷痕が残っていました。さらには、室内の指紋が不自然に拭き取られた形跡も。
つまり、自殺ではない可能性があるってことです。部屋は施錠され密室になっていましたので、いわゆる密室殺人の疑いが生じているわけです。
そしてその部屋には、なんと目撃者がいます。
こちらの亀です。
S17第7話『うさぎとかめ』でもリクガメが出てきましたけど、おそらく今回もリクガメの一種ではないかと。すみません、亀の種類に詳しくないので、具体的な名称とか全然わかりませんが。
この亀は、亡くなった男性が部屋でペットとして飼っていた亀です。つまりこの部屋で起こったことは、亀が見ているはずなんです。
こちら、この亀を囲む捜一トリオと特命係です。
亀といえば、右京さん冠城くんだけではなく、伊丹さん芹沢さんも、みんな自然とあの男を思い出すようでして、それだけでもなんだか嬉しくなるものですね。
亀を見た冠城くんが、なぜかとっても嬉しそうだったのも印象的です。
右京さんもこの後、何かと亀を気にかけて可愛がってました。亀持っちゃってもいましたし。
飼い主がいなくなり、行き場を失った亀は、なぜか右京さんの手によりこてまりに。
どうやら今後もこてまりにて飼われるようです。店内ではなく外の店の入り口ですけど。
右京さんがやたらと亀に詳しいので、小手鞠さんが色々教わったりもしています。この二人が亀を愛でる絵は、なんだか微笑ましい絵です。
小手鞠さんの「以前亀を飼ってらしたことが?」という質問に、「手の焼ける亀でしてね」と右京さんが答えるという、サービスシーンもありました。
この亀が部屋で見たことを語ってくれたのなら、事件は簡単に解決するのですが、当然ながらそれは無理なお話です。
しかしです。
密室遺体の謎に関し、何が起こったのかを知っている可能性がある人物が、亀の他にもう一人いるんです。
それが、アパートの隣室にて引きこもり生活を送っているこの男。
彼は隣室にて、一歩も外に出ず、一日中家の中に引きこもっているんです。
そしてこのアパートは、壁が薄いんです。つまり、隣室の音や会話なども、そこそこ聞こえてしまう環境なわけです。
僕も上京してまず住んだのが、おもいっきり隣の音が聞こえるボロアパートでした。懐かしい。もう住むのはごめんですけど。
この引きこもり男は、50代にもかかわらず無職です。なんと10年間も引きこもっているそうです。生活はどうしているのかというと、80歳になる高齢の母親が働き、その稼ぎで養ってもらっています。
中年の引きこもりを老年の親が養うという、まさに社会問題としても取り上げられる構図そのものですね。
今回の老婦人も、息子を心配しつつも、その存在は大きな負担になっていることが窺えます。「私が死んで金がなくならない限り、出てこないだろう」とも言ってます。
特命係も引きこもりの息子に接触を計りますが、受け入れてもらえず。
壁が薄いアパートですので、彼が隣室の音を何かしら聞いている可能性があり、もしかしたら重要証言が得られるかもしれません。しかし、彼は人との接触を頑なに拒みます。
部屋に引きこもり、ほとんど動かず、何も語らず。
まさに水槽の中の亀と同じです。
S10第15話『アンテナ』でも、9年間引きこもっている男性が、事件の重要な目撃者でした。あのときは萩原聖人さんの相原誠が、熱いハートで引きこもりの男を動かしました。
このたび引きこもりを動かしたのは、親心です。
きっと彼自身も、引きこもっている今の生活をどうにかしたかったんだと思います。しかしどうにもできず苦しんでいたんだと。
亀は日光浴が必要だと右京さんが話してました。紫外線を浴びることで、体内のビタミンを生成するそうです。
そして、光がないと生きられないのは人間も一緒だとも。
事件の真相が明るみになると同時に、10年間引きこもり苦しんでいた男にも、光が射し始めます。
娘を探す元刑事
引きこもりの息子を思う老婦人と同じく、我が子を心配する親がもう一人登場します。
元刑事である水木洋輔です。
女子大生である彼の娘が、二ヶ月前から行方不明になってしまい、現在もその消息はわかっていません。
水木は刑事でありながら、ネットで娘の情報提供を呼びかけ、それが問題になってしまい、辞職しました。警察官って私的にそういうことするの、何かと問題だと判断されてしまうのですね。
こちらは、退職した水木に遭遇した角田課長です。どうやら顔見知りだったようです。
この遭遇は朝とのことでしたので、角田課長の貴重な出勤シーンってことですね。
水木はかなりしょんぼりした様子。
大事な娘がいなくなってしまい、子を想う親としては、心配でたまらないはずです。その気持ちは痛いほどわかります。おそらく角田課長も同じだと思います。
刑事でありながらネットでの情報提供を呼び掛けたのは、藁にも縋る思いだったはず。どんな手を使ってでも娘を探し出したいですからね。
水木は娘を探すビラまで作っていました。
しかし寄せられた情報はどれも信憑性に乏しいものばかりで、有力なものはありません。冷やかしばかり。
とはいえどんな情報でも「もしかしたら」と思ってしまうのが親心です。もしかして本物の情報なのでは?と。
そんな情報の一つから辿り着いた先が、首吊り遺体が発見された部屋でした。遺体となって発見された男が、水木の娘を監禁しているという情報があったんです。
そんな情報を目にしてしまったら、その真偽を確かめずにはいられないのが親というもの。
この物語は、引きこもりの息子を想う母親と、行方不明の娘を想う父親の、親心の物語でもありました。
その他の見どころ
では次に、第5話『光射す』のさらに細かい見どころを挙げてみたいと思います。今回は一つだけ。
こてまりに行きたい青木
このたびも青木年男は、特命から依頼されたお仕事を、完璧にこなしてました。いつも通り事件解決に大きな貢献をしています。
で、右京さんと冠城くんがこてまりにて一杯やってるときも、青木は頑張って調べ物をしていたようで、電話口にて冠城くんに…
「こっちがおたくらのために必死こいて働いてるのに、どうせ美人女将の店でうまいもん食って一杯やってんだろ!馬鹿らしい!」
「俺もこれからそっちへ行くから、ビールくらい飲ませろ!」
青木年男も、こてまりで右京さんや冠城くんと、一杯やりたいんですね。
でも冠城くんに上手くあしらわれてしまい、願いは叶わず。
だんだん青木が可哀そうに見えてきちゃいます。笑
いつか三人でこてまりで呑める日がきたらいいですね。
以上、今日は相棒season20第5話『光射す』についてでした。