第6話『マイルール』
あらすじと感想
本日は、シーズン20第6話についてです。
相棒season20第6話のタイトルは『マイルール』。放送日は2021年11月17日です。マイルールとは言葉そのまま、自分のルール、自分だけのルールという意味かと思うのですが、いったい誰のどんなルールなのか。
それでははじめに、第6話『マイルール』のあらすじから紹介していきたいと思います。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
“日本ミステリー界の第一人者”と評される小説家・福山光一郎(菅原大吉)が自宅で刺殺されているのが見つかった。財布から大金が抜き取られていたため強盗の犯行かと思われたが、臨場した特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、福山が書き上げたばかりの原稿がなくなっていることに気づく。その原稿は、1年間にわたってミステリー雑誌で連載されてきた小説『運命の来たる日』の最終回で、主人公の老刑事が追い続けてきた真犯人“アンノウン”の正体が明かされているはずだった…。
福山は、気に障ることがあると担当者どころか出版社まで変えてしまう横暴ぶりで有名だったが、大御所作家でありながら著作の宣伝には貪欲で、テレビ番組にも多数出演。しかし、そのたびに過激な発言を連発し殺害予告が届くほどの変わり者だった。
そんな中、右京は福山が寄稿したエッセイの中に興味深い一節があるのを発見する。福山は『運命の来たる日』について、「事実をもとにした完全なフィクション」であるとし、「完結した時、失われた事実があぶりだされるだろう」と綴っていたのだ。
“失われた事実”とはいったいどういう意味なのか!? そんな中、亘は福山が壮絶な過去を背負っていたことをつかみ…!?
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!!
いつも通りまずはあれこれと感想を書いていきたいところなのですが…
その前に、今回の相棒にて、冠城くんが亀山くんの124話に並ぶこととなり、最長記録タイとなりました。おめでとうございます!こちら、後ほど改めて取り上げさせて頂きます。
では感想に戻ります。
今回は、一人の作家が書いたミステリー小説が中心となる物語。
で、その作家を演じているのが、ゲストの菅原大吉さんなのですが…菅原さん、色んな役で相棒に出過ぎじゃないですかね。笑
特にS15と劇場版Ⅳで、警察庁警備局長の山崎哲雄という役で出てたばかりな気がしますし、もしかしたら山崎はまた特命の前に現れるキャラなのでは?とか思ってたので、このたび菅原さんの別役での出演には、ちょっとびっくりしました。逆に、これだけ多彩なキャラで頻繁に出演というのは、面白くもありますけれど。菅原さんの過去キャラについては、後ほどゲストの項でも紹介させて頂きます。
すみません、いきなりゲストさんについて書いてしまいましたが、まずこのお話はざっくり言えば、ベストセラー作家である福山光一郎が何者かに殺害され、彼の執筆中だった小説が過去の事件とリンクしていき、秘められた真実が明らかになる、という流れの物語です。
過去の事件と現実の事件が繋がっているというパターンは、相棒に限らずミステリーの定番ではありますが、今回もその形です。
これに、小説というフィクションと現実とのリンク、というおもしろ要素が加わりまして、より魅力的なお話になってました。
福山の小説が現実の事件と繋がっていることに気付いた右京さんと冠城くんが、その先にある真相をどう手繰り寄せていくのか、その過程は宝探しの謎解きみたいでして、ワクワクしました。
福山は殺害されてはいますが、構図としては「特命係vs福山」と言ってもいいかもしれません。福山というか、「福山が仕掛けた小説の謎」でしょうかね。
謎を解く全ての鍵は、小説の中にあり、その謎を紐解いた先には、殺人事件の犯人もいます。
タイトルにもなっている「マイルール」は、小説の謎を解く大きな鍵であるとともに、結末ではまた違った大きな意味も持っていました。
福山という小説家の過去や生涯を知ると、切なくもなってしまいます。
少年犯罪だったり、犯罪被害者の遺族だったりも、この事件の大きな要素になっていまして、近年では岸谷五朗さんがゲストだった、S19元日SP『オマエニツミハ』に通じるような部分もあったかと思います。
『オマエニツミハ』ほど重たくはありませんでしたが、やはり犯罪というものが生む悲劇を考えずにはいられません。
しかし、全く救いのない物語ではなかったので、最後には温かみも残ったのではないかと。
全体を通して、現在と過去という一つの軸に、小説というもう一つの軸がうま~く絡み合っていまして、面白いストーリーでした。
恒例のどんでん返しにもやられました。そっちか、と。思ってもいなかったですよ。
今回、青木年男はお休みの回でしたね。青木がいないとやっぱりちょっと寂しいと言いますか、物足りなさはあります。いつの間にか相棒には欠かせない存在になってますからね。
青木がいなかったせいか、じゃっかん笑いの部分は少なめの回ではありましたが、右京さんのミステリー好きなところだったり、捜一トリオとの絡みだったり、ちょっとした楽しみどころはバッチリ挿入されてましたけど。
あとは個人的に、市ヶ谷の釣り堀がロケ地で出てきたのは嬉しかったです。僕自身も行ったことある場所だったので。
第6話『マイルール』、面白かったです!
ゲスト出演者
それでは次に、第6話『マイルール』に出演された、主なゲストさんを紹介します。今回は1名のみです。
菅原大吉(すがわらだいきち)
ベストセラー作家で、日本ミステリー界の第一人者といわれる、福山光一郎役で菅原大吉(すがわらだいきち)さん。
横暴で扱いにくい作家としても出版界では有名だったようです。過激な発言も多く、変わり者としても知られている作家です。新作の最終回発表の直前に、何者かに自宅で刺殺され、遺体となって発見されます。
菅原大吉さんは、今回が劇場版も含め7話目の相棒出演です。過去の出演は、S2第11話『秘書がやりました』、S3第16話『人間爆弾』、S6第1話『複眼の法廷』がそれぞれ別役、S15第13話『声なき者~籠城』と第14話『声なき者~突入』と劇場版Ⅳが、山崎哲雄という同じ役で出演されています。
以上、今回の主なゲストさんは、菅原大吉さん1名になります。
他には、フレンチの料理人、村上健一役で斉藤悠(さいとうゆう)さん。村上健一の妻、村上由梨役で佐久間麻由(さくままゆ)さん。法務教官の三上彰役で大川ヒロキ(おおかわひろき)さんなどが、ちょいゲストさんで出演されています。
斉藤悠さんは斎藤洋介さんの息子さんで、相棒には別役で2話目(過去にはS16-17)、佐久間麻由さんも別役で2話目(過去にはS16-18)の出演です。
ミステリー作家のマイルール
相棒ではこれまでも、作家さんが中心となる事件がたびたび起きています。
ざっと挙げさせて頂くと、以下のような感じですね。
- S2第6話『殺してくれとアイツは言った』(大杉漣さん)
- S3第10話『ゴースト~殺意のワイン』(筒井真理子さん)
- S5第6話『ツキナシ』(川崎麻世さん)
- S6第3話『蟷螂たちの幸福』(荻野目慶子さん)
- S6第7話『空中の楼閣』(村上淳さん)
- S17最終話『新世界より』(中原丈雄さん)
他にも漫画家とか劇作家もいましたけど、とりあえずは小説家を書き出してみました。たぶん書き漏れはないと思うのですが…あったらごめんなさい。
こうして見ますと、亀山くんの時代はかなり頻繁に作家キャラが登場してましたけど、それ以降は一度だけなんですね。
このたび久しぶりに登場したのは、菅原大吉さん演じる福山光一郎という人気作家です。ミステリー界の第一人者とも言われている人物です。
小手鞠さんも芸者時代には、何度かお座敷に呼ばれたことがあるそうで、面識があるみたいですね。
今回の事件は、この福山が何者かに刺殺されたことから始まります。
福山は一人で豪邸で暮らし、普段から多額の現金を持ち歩いているとテレビなどで吹聴していました。財布からは大金が抜き取られていたこともあり、捜査一課は強盗目的の殺人という線で捜査を始めます。
しかし、現場から新作の最終回の原稿がなくなっていることに気付いた右京さんと冠城くんは、別の線である可能性も考えます。
そして捜査を続けていきますと、福山の小説の内容が、22年前に起こった事件と符合していることが判明します。
その小説は、現在福山が執筆中だった新作『運命の来たる日』。月刊誌にて連載中の小説です。
この小説は、少女殺害事件を捜査している老刑事が、正体不明の犯人「アンノウン」を執念で追い詰めていく、というストーリー。
右京さんも『運命の来たる日』を読んでいるようで、最終回を楽しみにしていた様子。「近年まれにみるとびっきりの波乱に富んだミステリー」と絶賛しています。どうやらそういう背景があって、右京さん事件現場にも現れたっぽいですね。
『運命の来たる日』で殺害されたのは、14歳の少女。そして22年前の実際の事件でも14歳の少女が殺害されていて、どちらもその名前は「しおり」。これが何を意味するのか。
そしてなんと福山自身が、22年前の事件の関係者であることもわかります。
さらに福山はインタビュー記事の中で『運命の来たる日』について、「事実をもとにした完全なフィクション」「小説が完結した時、失われた事実があぶり出されるだろう」という意味深な言葉も残しているんです。
事件現場から最終回の原稿がなくなっているということは、過去の事件の関係者が持ち去ったとも考えられます。最終回にはアンノウンの正体が明かされているはずですので、それを防ぐための犯行であった可能性も浮上するわけです。
福山は「ペンは剣より強しというが、実際のところペンで人を殺せると思うか?」との発言もしていました。彼はペンの力で誰かを殺そうとしていたのかもしれません。
また、小説家は登場人物に名前を付ける際に、何かしらのルールに乗っ取ることが多々あるようです。名前を付けるって大変な作業ですからね。マイルールを作ることによって、その作業が格段に楽になるはずです。
福山も別作品では、関ヶ原の闘いの西軍の武将の名前だったり、銀座のホステスさんの名前だったりを使用していたようです。僕は小説家さんのこういうマイルールについて知らなかったので、とっても興味深いお話でした。なるほど、と感心してしまいました。
そして右京さんは、『運命の来たる日』のマイルールこそが、「アンノウン」を追い詰める鍵になっていると考えます。
「マイルール」の謎が解き明かされたとき、福山が何をしようとしていたのか、全てが明らかになるんです。
しかしその「マイルール」はまた、変えることができるルールでもありました。
その他の見どころ
では次に、第6話『マイルール』のさらに細かい見どころを、少しだけ挙げてみたいと思います。
菅原大吉さんのキャラ歴
最初の感想とゲスト紹介の項と被ってしまうのですが、菅原大吉さんの相棒キャラ歴を、改めて書き出してみたいと思います。
まずは、S2第11話『秘書がやりました』の、吉池昌夫という議員秘書。
続いて、S3第16話『人間爆弾』の、塩塚玄というマギーさん演じる若杉栄一の同僚。
続いて、S6第1話『複眼の法廷』の、阿久津真という裁判員。
続いて、S15第13話『声なき者~籠城』、第14話『声なき者~突入』、劇場版Ⅳ『首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断』の、山崎哲雄という警察庁長官官房(後に警察庁警備局長)。
そして、今回の福山光一郎というミステリー作家。
全部で5人の多彩なキャラを演じていらっしゃいます。こうして一覧で見ると、だいぶ時間は経過しているものの、菅原大吉さんってあんまり変わらない気がしますね。笑
菅原さんはS2での最初の出演から今回まで、自分のキャラをその都度変えて、右京さんと対峙したりしてるわけですからね。役者さんって凄いな~と思ってしまいます。
菅原大吉さんが、次はいったいどんなキャラで登場するのか、僕は楽しみになってきちゃってます。
冠城くんが亀山くんに並ぶ
これまでの相棒では、初代の亀山くんが最長の相棒でした。
亀山くんはプレシーズンからシーズン7でサルウィンに旅立つまで、全124話に渡り右京さんの相棒を務め上げました。
その記録に、この度ついに冠城くんが並ぶことに。
このS20第6話『マイルール』が、冠城くんでの124話目なんです。
冠城くんおめでとうございます!!
右京さんとの相性もバッチリですし、右京さんもいい相棒が見つかって何よりです。
冠城くんは次回の第7話にて125話目になりますので、そうなると亀山くんを追い越して、相棒歴の長さは1位に。
次週、改めておめでとうを言いたいと思います。
以上、今日は相棒season20第6話『マイルール』についてでした。