第8話『操り人形』
あらすじと感想
本日は、シーズン20第8話についてです。
相棒season20第8話のタイトルは『操り人形』。放送日は2021年12月8日です。「操り人形」とは、言葉通り操り人形そのものを指すのか、それとも比喩なのか、もしくはその両方か。
ではまず、第8話『操り人形』のあらすじから紹介していきたいと思います。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
建て替え工事が行われていたキャンパスで、成人男性の白骨死体が見つかった。頭蓋骨に大きな傷があり殺害されたことは明白だったが、死後50年は経過しており、すでに時効は成立していた。事件を聞きつけた特命係の杉下右京（水谷豊）と冠城亘（反町隆史）は、時効だからといって真実を明らかにしなくていいはずがないと考え、捜査をはじめる。
まもなく、骨の身元は1973年に行方不明になった学生運動の幹部・岡田茂雄（名村辰）と判明。彼は演説で人の心を操るカリスマ指導者として知られ、敵対するセクトから命を狙われていたため、消息を絶った当時から、過激派同士の抗争、いわゆる“内ゲバ”で殺害されたものと思われていた。
捜査の糸口を求め、右京たちは岡田の幼なじみで大学の同期でもある藤島健司（下條アトム）を訪ねる。藤島は激しい世界に生きる岡田とは対照的に、学生時代から人形劇に没頭。現在も旗揚げメンバーの田中美鈴（白川和子）とともに細々と劇団を続けていた。藤島は特命係の訪問に明らかに動揺を見せつつも、思い当たることはないと話す。
だがそこへ、伊丹憲一（川原和久）たち捜査一課が現れたから特命係は驚く。実はその日の朝、大手物流会社社長・梶原太一（ベンガル）が遺体となって見つかり、死の直前、梶原が藤島にメールを送っていた事実が判明したのだ。
さらに、梶原が１週間ほど前から何かに怯えた様子を見せ、「亡霊が見える」と口走っていたことがわかる。はたして梶原が恐れていた“亡霊”とは…!? 特命係がその正体に迫る！
（引用元：https://www.tv-asahi.co.jp/）
今回も面白かったです！！
50年も前の過去の事件と、現在起きた事件、この二つが交錯して展開していく物語でした。
そのどちらにも関係者として浮上するのが、下條アトムさん演じる人形劇団の藤島という男です。今回のキーマンですね。藤島を中心として、過去軸と現在軸がじょじょに交わっていく感じです。
さらにはここにもう一人、劇団員の田中美鈴も深く関わってきます。
過去に殺害された岡田という男、現在殺害された梶原という会社社長、そして藤島と田中の人形劇団員、この四人が主な登場人物です。
過去に何があったのかは、意外と早い段階で察しがつきます。さらに言えば「亡霊」が誰なのかも中盤くらいで察しはついたものの、その正体については終盤まで全くわかりませんでした。
観ている側としては、解けそうで解けない、みたいな展開だったかと。これは僕個人の場合ですけど。
「人間を操る男」と「人形を操る男」に関わる物語ではありましたが、タイトルの「操り人形」も、最後の最後まで、しっかりと意味を持つような結末でもありました。
実際に人形劇のリアル「操り人形」が出てくるシーンもありまして、藤島により一瞬だけ披露された人形の動きには、惹きつけられるものがありました。最後のテロップには、操り人形の指導で「糸あやつり人形 一糸座」という、人形劇団のお名前も出ていましたし、ちょっと興味が湧きました。
人形を操っていた、相棒では三度目のゲスト出演となる下條アトムさんはじめ、二度目のベンガルさん、初の白川和子さん、それぞれのゲストさんも、この物語をより魅力的なものにしてくださっています。
特に下條アトムさんが、始終重たい空気を作っていた感じがします。それに呼応するように、事件の真相もなかなかに切ないものでして、終わり方も悲しかったです。
今回は青木年男がお休みだったこともあり、全体的に笑いの部分もじゃっかん少なめでしたし、余計にそう感じたのかもしれません。
青木は休みでしたけど、益子さんが久しぶりに出てました。
右京さんの「細かいところが気になる」のも相変わらずでして、「あいつの亡霊が見える」と「あいつの亡霊に見える」という、細かい言い方の違いを逃さなかったことが、事件解決の決め手になっていたかと思います。さすがです。
とっても悲しい物語ではありましたが、右京さんと冠城くんの活躍により真相が明らかになり、殺人事件が無事に解決されたのは何よりです。
時を経た二つの事件の物語、楽しませて頂きました。
第8話『操り人形』、面白かったです！
ゲスト出演者
では続きまして、第8話『操り人形』に出演された、主なゲストさんを紹介します。
下條アトム（しもじょうアトム）
人形劇団「糸使い」を主宰している、藤島健司役で下條アトム（しもじょうアトム）さん。
白骨遺体で見つかった男性とは幼なじみで、大学も同期でした。「糸使い」は50年前に藤島が立ち上げた劇団です。物流大手の社長、梶原が殺害された事件では、事件当日にメールのやりとりしていたことがわかり、捜査一課から任意同行を求められています。
下條アトムさんは、別役で3度目（話数では4話目）の相棒出演です。1度目はS2第4話『消える銃弾』で、 元過激派の町工場経営者役、2度目はS14第18話『神隠しの山』と第19話『神隠しの山の始末』で、村の助役の役として出演されています。
ベンガル
白骨遺体が発見されてからしばらくの後、何者かにより殺害された物流大手社長、梶原太一役でベンガルさん。
梶原の運転手によると、殺害される一週間ほど前から、なぜか情緒不安定になっていたそうです。白骨遺体発見のニュースと何かしら関係のある可能性も。殺害された当日、人形劇団の藤島をメールで呼び出していたこともわかります。
ベンガルさんは、別役で2度目の相棒出演です。1度目はS6最終話『黙示録』で弁護士の役で出演されています。2008年の出演ですので、約13年振りの相棒出演です。
白川和子（しらかわかずこ）
人形劇団「糸使い」に50年前の立ち上げから所属している劇団員、田中美鈴役で白川和子（しらかわかずこ）さん。
50年という長い年月に渡り、藤島とともに人形劇団を運営してきた旗揚げメンバーです。梶原の殺害について藤島が任意同行を求められたことに、大きなショックを受けています。
白川和子さんは、かつて日活ロマンポルノで日活の専属女優としてご活躍されていて、「ロマンポルノの女王」とも呼ばれていた女優さんです。また、ジュンスカの寺岡呼人さんは、甥っ子さんだそうです。
以上、今回の主なゲストさんは、上記3名になります。
相棒公式サイトのゲスト欄には、下條アトムさんのお名前のみの掲載でしたが、ストーリー紹介の文中にベンガルさんと白川和子さんのお名前もありましたので、3名とも紹介させて頂きました。
他には、白骨遺体で発見された学生運動の指導者、岡田茂雄役で名村辰（なむらしん）さん。梶原の運転手、田中健太役で石母田史朗（いしもだしろう）さんなどが、ちょいゲストさんで出演されています。
石母田史朗さんは、別役で2話目（過去にはS7-16）の出演です。
人を操る天才と人形を操る下條アトム
事件は、建て替え工事が行われていた大学の構内から、死後50年近く経っていると思われる白骨死体が発見されたことに、端を発します。
しかもその頭蓋骨には大きな傷があり、殺害された可能性が高いようです。
骨をまじまじと見て気味悪がった冠城くんに対し、右京さんは「人間誰しも皮と肉をそぎ落とせばこの有り様。そう考えると僕は親近感が湧きますけどねぇ」と。
骨に親近感を覚える杉下右京でした。笑
そしてこの骨の身元が、DNA鑑定にて、かつて学生運動をしていた過激派の幹部、岡田茂雄という男であることが判明します。
岡田はカリスマ的な指導者であり、人の心を操る天才でもあったそうです。
岡田の言葉は多くの学生を魅了し、味方に取り込んだそうです。
そんな学生運動のカリスマは、48年前に失踪してしまい、その行方はずっとわからないままでした。敵対するセクトから命を狙われていたとの話もあり、内ゲバにより殺害されたのでは？とは思われていたようですが、遺体の発見などもずっとないままだったんです。
しかしこのたび、48年という時を経て、骸骨になって発見されたわけです。
この岡田と幼なじみで、大学でも同期だった人物が、「糸使い」という人形劇団の主宰である、下條アトムさんの藤島健司です。
藤島は現在、細々と劇団を運営しているようですが、人形を操る技は一流です。右京さんも感嘆していました。
そして、好奇心旺盛な右京さんは、藤島に頼んで人形を操らせてもらってました。すぐに糸がこんがらがってしまってましたけど。
きっと実際に人形を動かすのって、難しいんでしょうね。
岡田は学生運動に明け暮れていましたが、藤島はその頃から人形劇に没頭していたそうです。二人は幼なじみで大学も同期ではありますが、全く別の世界を生きていたことになります。
つまり、岡田が内ゲバで殺害されたのだとしたら、藤島が関わっているとは考えにくいはず。それなのに藤島は、特命係の訪問に動揺した様子を見せるんです。
当時岡田と藤島の間に何かあった可能性も否定しきれません。
そして立ち上げ時から「糸使い」に在籍する人物がもう一人。
白川和子さんの田中美鈴です。
美鈴は藤島とも50年以上の付き合いです。何人かいたメンバーも、今では藤島と美鈴の二人だけ。
美鈴も岡田とは面識はあったようですので、もし藤島が岡田の失踪について何か知っていたのなら、美鈴も同じく知っている可能性があります。
さらにはもう一人、48年前に何があったのか、知っている可能性がある人物が、ベンガルさんの梶原太一です。
梶原は白骨遺体が発見された一週間ほど後に、何者かにより殺害されています。
秘書によると梶原は、白骨遺体のニュースを目にしてから様子がおかしくなったそうです。「亡霊が見える」というようなことも口走っていたとのこと。
そして白骨遺体発見後、梶原と藤島は頻繁に連絡を取っていたこともわかります。
特命係が白骨遺体を辿った先にいたのは、藤島です。捜査一課が梶原殺害を辿った先にいたのも、同じく藤島でした。
白骨遺体で発見された岡田、何者かに殺害された梶原、そしてその二人を辿った先にいた、人形劇団の藤島と田中。
この四人はどう繋がっているのか。いったい四人の間に何があったのか。
さらにはここにもう一人、「亡霊」が加わることで、全ての真相が明らかになります。
その他の見どころ
では最後に、第8話『操り人形』のさらに細かい見どころを、二つほど挙げてみたいと思います。
右京さん霊の声を聞く
右京さんといえば、幽霊など超常現象が大好きです。幽霊を見たくてたまらない男ですからね。
そんな右京さんがこのたび、霊の声を聞いたかもしれないと。
右京さんは「何かの音」に反応したんですけど、冠城くんには聞こえてなかったんですよ。
で、右京さん「被害者の霊がまだこの辺りをさまよっていて、我々に何か告げようとしているのかもしれません」と。
さらには最後のワンシーンにて、右京さんもしかして幽霊見てる？と思ってしまうような場面もありました。
右京さん、シーズンを追うごとに、霊感強くなってるのかもしれないですね。
ラーメン伸びちゃう
すみません、大変細かいところではあるんですけど、ついつい気になってしまった場面がありまして。
特命係が元「革命主義者青年同盟」の幹部、吉澤秀介を訪ねて話を聴いているシーン。
吉澤はカップラーメンにお湯を入れてしまったところでして、右京さんも「どうぞ食べながらで結構ですから」と食事を勧めています。
しかし、吉澤が食べようとした瞬間に、まずは冠城くんが質問し、また食べようとしたら次は右京さんが質問し…。
食べさせてもらえないんですよね。笑
僕は見ていてつい「ラーメン伸びちゃう！」と言わずにはいられませんでした。
右京さんも冠城くんも、意図的にラーメンを妨害していたのではないかと。
以上、今日は相棒season20第8話『操り人形』についてでした。
