相棒が好き過ぎて

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相棒21第13話『椿二輪』切り裂かれた遺作と芸術の価値。

第13話『椿二輪』

あらすじと感想

相棒season21第13話のタイトルは『椿二輪』。放送日は2023年1月18日です。「椿二輪」というワードは、可憐だったり、儚げだったり、様々なイメージは膨らませてしまうものではありますが、そのタイトルからだけでは、内容は全く推測できません。

では最初に、第13話『椿二輪』のあらすじから紹介していきたいと思います。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。

右京(水谷豊)は、薫(寺脇康文)とともに“情熱の画家”牧村遼太郎の展覧会を訪問。ナイフを手にした男が、『椿二輪』という油絵を切り裂き、来場者に怪我を負わせる事件に遭遇する。『椿二輪』は、遼太郎が自身と愛人を二輪の花に例えたといわれる遺作で、完成直後に心中を企てた曰く付きの作品だった。心中相手は、大宮アカネ(花澄)という女流画家だったが、彼女だけが一命を取り留めていた。しかし、遼太郎の妻・智子(中山忍)は、自分こそが『椿二輪』のモデルだと主張。心中騒動は、アカネによる殺人だと訴えていた。確かに、心中の様相は不可解で、遼太郎が自分の胸にナイフを突き立てていたのに対し、アカネは神経毒を摂取するというチグハグなものだった。元々、遼太郎の作品に心惹かれていた右京は、真相を探るべく、捜査に乗り出す。
愛憎渦巻く心中騒動は自殺か、殺人か?
解き明かす鍵は切り裂かれた遺作に!?
二輪の椿に託した作者の痛切な思いとは
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/

今回も面白かったです!!

久しぶりに男女の愛憎劇が取り上げられる物語でした。それも愛人と妻という、なかなかにドロドロした感じの三角関係。

その三角関係の真ん中にいたのが、一人の画家です。相棒ではこれまでも、絵画や画家が取り上げられたことが何度かあります。S1第6話『死んだ詐欺師と女美術館長の指紋』、S6第5話『裸婦は語る』、S9第3話『最後のアトリエ』、S15第5話『ブルーピカソ』などですかね。今回もおもいっきり画家と絵画が中心になるお話でした。

このたび中心となっている画家は、既に亡くなっていて、その遺作がタイトルにもなっている「椿二輪」。

展覧会にて、その「椿二輪」の絵が切り裂かれるという事件が起こり、物語がスタートしますので、否応無しに「椿二輪」という絵画に注目が集まっていきます。そしてそのまま最初から最後まで、この絵画が全ての鍵を握る大きな存在になってました。

まず冒頭から「なぜ絵画は切り裂かれたのか」というのが、一つの謎として提示されます。

そして、画家は愛人と心中騒動を起こし亡くなったのですが、愛人の方が生き残ってるんですよ。なので妻は、心中ではなく殺人だったのでは?と訴えているんです。ここで「心中騒動の真相」というものが、もう一つの謎として提示されます。

心中事件の真相と、絵が切り裂かれた理由、それらを追う過程で、必然的に「遺作を巡る妻と愛人のバトル」というのもクローズアップされます。

途中、あっちに行ったりこっちに行ったりしますので、見ている側としてもそれに見事に振り回されてしまいます。で、結局いつものごとく、最後に右京さんが解説してくれるまで、真相が全くわからないという。

今回、特命係もなかなか真相に辿り着くのが難しく、一筋縄ではいかない事件だったのでは、とも思います。額縁の手掛かりがなかったら、なかなか確証には辿り着けなかったんじゃないかな~と。

とはいえ、亀山くんの「直感」というのが、大きなヒントになる事件でもありましたね。冷凍イカのとき(S2第3話『殺人晩餐会』)なんかを思い起こさせるパターンで、僕はこの右京さんが亀山くんの直感を信じるっての、好きなんですよね。

そして小手鞠さんではなく、亀山くんと一緒に展覧会に出掛けるという、特命係の仲良しな場面も見れちゃいましたし。

「椿二輪」に始まり「椿二輪」に終わる、まさに一枚の絵画の物語でしたが、ドロドロした愛憎劇かと思いきや、最後には悪くないエピソードで終わるという、醜さと美しさが混在する仕上がりになっていました。

芸術の価値そのものや、それを高めるための「物語性」など、そういったものへの皮肉も若干込められていた感じもします。

絵画が好きな右京さんというのも久しぶりに見れました。

ゲスト出演の中山忍さんも着物姿が素敵でしたし、花澄さんも、魔性の女な感じが出てましたね。お二人ともぴったりの配役でして、女のバトルを盛り上げてくださいました。魔性の女にワクワクする亀山くんも、面白かったです。

こてまりでの芸術談義や、亀山くんと美和子さんのラブラブなやりとりにもほっこりです。

前話では珍しく登場シーンが少なかった捜一トリオも、今回はがっつり出てきてくれて嬉しいです。やっぱり一話に一度は、捜一と特命の鉄板のやりとりを見ておきたくなるものですからね。捜一を仕切る亀山くんも絶妙でした。

遺作を巡る女たちの物語、存分に楽しませて頂きました。

第13話『椿二輪』、面白かったです!

 

ゲスト出演者

それでは次に、第13話『椿二輪』に出演された、主なゲストさんを紹介します。

中山忍(なかやましのぶ)

亡くなった洋画家である牧村遼太郎の妻、牧村智子役で中山忍(なかやましのぶ)さん。

夫である牧村遼太郎は、愛人と心中を図り亡くなっています。しかし愛人の方は生き残っているため、心中ではなく殺人だったのではないかと訴えています。夫の遺作である『椿二輪』には、並々ならぬ思い入れがある様子も。

中山忍さんは別役で二度目の相棒出演です。前回はS11第16話『シンデレラの靴』で、マラソン元銀メダリストでもある女子体育大講師役でしたが、今回は画家の妻役です。前回とは全く違った役で、着物姿がとっても素敵でした。また、1992年放送のドラマ『刑事貴族3』では、水谷豊さん、寺脇康文さんと共演されているそうです。

 

花澄(かずみ)

牧村遼太郎の愛人だった洋画家、大宮アカネ役で花澄(かずみ)さん。

牧村遼太郎と心中を図るも、自分だけは生き残ってしまった女性です。妻の智子からは殺人を疑われるも、罪には問われていません。奔放な恋愛体質で、数多くの浮名を流してきたことから、美術界では「魔性の女」と呼ばれています。

花澄さんは相棒初出演。写真家やナレーターとしても活躍されている女優さんで、写真展を開いたりもされています。失礼ながら僕は存じ上げていなかった女優さんなのですが、今回の「魔性の女」の妖艶な雰囲気が、よく似合うミステリアスな女優さんでした。

 

以上、今回の主なゲストさんは、上記2名になります。

他には、ギャラリーオーナーの薬師寺研吾役で、由地慶伍(ゆちけいご)さんなどが、上記に次ぐゲストさんで出演されています。

 

天才画家の遺作

右京さんは芸術にも精通していまして、絵画にも詳しいです。

S9第3話『最後のアトリエ』では、たまきさんと二人で美術館に足を運び、夭折した天才画家の絵に見入ったりもしていました。

そんな右京さんが、今回は亀山くんと二人で絵の展覧会へ。

職務ではなく、プライベートでの訪問のようでしたので、右京さんと亀山くんは、お休みの日に一緒に出掛けたってことでしょうかね。仲良しです。

この展覧会は、牧村遼太郎という「情熱の画家」と謳われた天才画家の追悼展です。人気のある画家でして、右京さんも以前から心惹かれていたとのこと。

こちらが牧村遼太郎さん。

追悼展という名のとおり、牧村遼太郎はもう存命はしていません。3か月前に愛人と心中を図り、亡くなっているんです。

しかもこの心中騒動、亡くなったのは遼太郎のみで、愛人は生き残っています。心中で片方が残ってしまうというのは、なんとも後味の悪いものではあります。太宰治もそのパターン一度ありましたね。

で、この追悼展の目玉となっているのは、遼太郎の遺作である『椿二輪』という作品。

こちらです。

まさにタイトルそのままで、二輪の椿が描かれた絵です。二輪は重なってもいますね。

この遺作ですが、これまた曰く付きの作品なんです。遼太郎が自身と愛人を二輪の花に例えたといわれていて、この絵が完成した直後に、彼は愛人と心中を図っています。

亀山くんはの絵の感想を右京さんに聞かれ、「特に情熱は感じませんね…」と。正直な亀山くん、好きです。

しかしこの直後、なんとこの遺作が、ナイフを持った男に突然切り裂かれるという、悲劇に見舞われることに。

この後亀山くんが犯人を追うも、追いつくことができず。

この世に一枚しかない遼太郎の遺作は、無残な姿になってしまいました。

その報を受け、遼太郎の妻である、中山忍さん演じる智子も会場に駆けつけます。

『椿二輪』は遼太郎と愛人を描いたといわれる作品ですので、妻としては複雑な想いがあっても然るべきです。

しかし彼女は、切り裂かれた絵を前に、意外な反応を見せました。

 

芸術の価値

無残にも切り裂かれた絵を前に、妻である智子は大きなショックを受けている様子。

目の前で大切なものを傷つけられた人の反応です。

中山忍さん、着物姿が素敵ですね。

驚くことに智子は、夫と愛人を描いたといわれる『椿二輪』を、誰よりも大切にしていました。

なぜなら世間で言われているのとは全く逆、つまり『椿二輪』は夫と愛人ではなく、夫と妻である自分を描いたものなんだと、そう考えているんです。それゆえに、その遺作には並々ならぬ思いを抱いているんです。

そしてこの度の絵が切り裂かれるという凶行は、「愛人が自分に嫉妬し、男を雇った」犯行だとも主張しています。

特命係は愛人である大宮アカネにも事情を聴きます。彼女も亡くなった遼太郎と同じく洋画家。

アカネは美術界では「魔性の女」と評されるほど、数々の男性遍歴を持ち、奔放な恋愛体質でも知られている女流画家です。服装からして、ちょっとエロいです。亀山くんもこの魔性に少しやられそうになってました。

さらにはこの場にて、亀山くんは彼女の絵のモデルもやらされることに。

喋るなと注意されつつも、亀山くん頑張ってポーズとってました。これは「シェー」のポーズなのではないか、とも思いますけれど。

彼女によると、遼太郎は最後の作品に、アカネへの愛をありったけに込めて、『椿二輪』を描いたと。

つまり、『椿二輪』を巡る妻と愛人の主張は真っ向から対立していることになります。

さらに二人の対立を煽るものが、遼太郎が亡くなりアカネが生き残った心中騒動。

妻の智子はこの心中を、アカネによる殺人ではないかと主張しているんです。

確かにこの心中騒動は、遼太郎が自分の胸にナイフを突き立て亡くったのに対し、アカネは神経毒を摂取するという、別々の方法によるものでして、不自然ではありました。

しかし殺人を示す証拠はなく、アカネも逮捕には至っていません。

「椿二輪」と「心中騒動」、この二つを巡り妻と愛人の主張が激しく対立していることになります。

このたび特命係が真相を究明するのも、その二つ。

そんな中、追悼展の方は、絵の切り裂き騒動があったため、皮肉にも行列もできるほどの大盛況に。

結果的に、絵の切り裂き騒動から、心中のことも広く知られるようになり、牧村遼太郎という画家の知名度も価値も、いっきに上がるという事態に。

付随する物語により、芸術の価値や評価が変化することは、実際にもよくあることだとは思います。

しかし右京さんと亀山くんが真相に辿り着いた先には、物語に左右されない、本当の『椿二輪』がありました。

本当に価値のある芸術に、物語性は必要ないのかもしれません。

 

その他の見どころ

では最後に、第13話『椿二輪』のさらに細かい見どころを、いくつか挙げてみたいと思います。

亀山薫の直感

初代のときの亀山くん時代も、亀山くんの直感が右京さんの推理のヒントとなり、事件が解決へと導かれるパターンが何度かありました。

味覚のパターンが多いですけど、例えばS2第3話『殺人晩餐会』での冷凍イカ、S5第9話『殺人ワインセラー』でのワイン、S5第17話『女王の宮殿』のキャビア、S6第14話『琥珀色の殺人』でのウィスキー、などですね。

僕は冷凍イカをまず思い浮かべはしたのですが、他のはコメント欄にて教えて頂き、思い出しました。

そんな亀山くんの直感が、今回も大いに役に立つことに。

それは、『椿二輪』を見た亀山くんの感想です。

今回は味覚ではなく視覚ですけれど。

この直感をヒントに、右京さんは事件の真相へと辿り着きます。

亀山くんの直感が健在で嬉しいですね。そしてそれをおもいっきり活かしてしまう右京さんも。

 

自転車に乗る亀山

亀山くんがママチャリで激走する場面がありました。

絵を切り裂いた犯人を追跡するため、通り掛かったママチャリをお借りした形ですので、カゴにはネギなどのお買い物が入ったままの爆走です。

亀山くん、立ち漕ぎしてます。速いです。

S15第元日SP『帰還』では、右京さんが冠城くんと一緒に自転車に乗っているシーンがありましたが、亀山薫の自転車は、おそらく今回が初なのではないかと。

『帰還』のときの右京さんは、警察官が乗る自転車でしたので、今度は右京さんのママチャリ姿ってのも見てみたいですね。

 

右京と亀山のじゃんけん

特命係が大宮アカネを訪ねた際、どちらかがモデルになってくれたら話しをするとのことで、右京さんと亀山くんがジャンケンをします。

亀山くんがパーで、右京さんがグー。亀山くんの勝ちです。

過去にはS3第13話『警官殺し~銃に残された赤い指紋』でも、二人がじゃんけんをする場面がありました。亀山くんがハンバーガーとホットドッグを買ってきて、どっちにするかっていうジャンケンを、公園のベンチでしてたんです。

で、そのときは亀山くんがグーで右京さんがチョキ。亀山くんが勝ってるんです。

右京さん。ジャンケン強そうなのに弱いのかもしれませんね。

しかしまた、二人のジャンケンが見れる日が来るとは。

 

以上、本日は相棒season21第13話『椿二輪』についてでした。

 

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