第7話『砂の記憶』
あらすじと感想
相棒season21第7話のタイトルは『砂の記憶』。放送日は2022年11月30日です。
なんだか素敵なワードだな~と思ってしまうタイトルですが、「砂のような」記憶なのか、それとも「砂そのもの」に残された痕跡などを意味する記憶なのか、気になるところ。どちらにしても、なんとく儚げな感じはしますけれど。
では最初に、第7話『砂の記憶』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
ある日、特命係に警視庁職員の健康を管理している保健師・吉崎弘美(桜木梨奈)が乗り込んでくる。面談を先延ばしにしている右京(水谷豊)と、そもそも診断を受けていない薫(寺脇康文)に釘を刺しに来たのだ。そんな折、特命係に、『20年前の連続通り魔事件の犯人が動き出す』と書かれた告発文が届く。20年前といえば、若い女性を狙った強盗事件が7件連続で発生した時期。7人目の被害者である15歳の少女が亡くなり、メディアでも大きく取り上げられた事件だった。当時、伊丹(川原和久)も捜査本部にいたが、犯人を特定できず、迷宮入りしてしまったという。それから20年たった今、傷害致死の時効が迫っていた。右京と薫は、手掛かりを求めて、亡くなった少女の母を訪れるが、「そっとしておいて」と追い返されてしまう。そんな中、夜道で女性が襲われる通り魔事件が発生。伊丹たちも捜査に乗り出すが…!?
迷宮入り寸前の事件に新たな動き!?
現在と過去、絡み合う事件の記憶
特命係が卑劣な通り魔を追い詰める!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!!
時効間近の事件と、その被害者の遺族や関係者がクローズアップされる物語でして、それ系のお話ってけっこう重ための回が多い気がするのですが、今回はそこまで重量級ではなく、ちょい重くらいでした。
予告などから、だいぶヘヴィなものを僕は勝手にイメージしておりましたので、その反動からなのか、むしろ軽めにすら思ってしまったくらいです。
保健師というのががっつり出てきますので、その流れで右京さんや亀山くんの健康面についても触れられる場面が多く、その辺りでもしっかりと笑わせて頂きましたし。
事件は特命係の元に不審な手紙が届いたことから始まります。もうその時点でいきなりの謎案件ですので、いっきに興味を惹かれます。手紙の内容に加え、いったい誰が手紙を?というのはもちろん、なぜ特命係に?ってのもとっても気になりますし。
掴みはばっちりですね。僕もおもいっきり掴まれました。
手紙の内容は、20年前に起きた通り魔事件(未解決事件)の犯人が再び動き出すというものでして、なかなか不穏な内容。
20年前の事件という過去の線、並行して現在の線、さらにはそこに手紙という3つ目の線が加わり、その3本が絡み合いながら進んで行く展開。
そして意外と早い段階で、この3本の線は交わって、犯人を暴き出しちゃいます。あれ?もう?と思うくらい早く。
で、そこから20年前の通り魔事件の立証というものに比重が移っていきます。
特命係がどんな証拠を見つけ、どんなふうに立証していくのか、そこが一番の面白ポイントだったかと。
手紙の差出人だったり、犯人だったりは、おそらく見ている側もけっこう早い段階で察することはできたんじゃないかとは思います。桜木梨奈さん演じる保健師というのが、事件にも何かしら絡んでいるであろうこととか、品川中央署署長の息子が逮捕されたことが伏線になってることとか。
しかし、どう立証するのかについては、僕は最後までわからなかったです。
タイトルの「砂の記憶」も、最後まで見ますと、なるほど、と。砂のような記憶でもあり、砂そのものの記憶でもあるという、どちらにも掛けられたタイトルでした。
砂時計が犯人を追い詰める大きな鍵でもあり、この物語を表す象徴のようなものでもあり、なかなか深かったな~とも思います。時効と砂時計の物語でもありましたからね。
切なさの中にも希望があるような、そんな物語でもありました。
熱い亀山くんや伊丹さん、そして激昂する右京さんも久しぶりに見れまして、刑事たちの執念や優しさも印象的でした。激昂はもっとプルプルして欲しかったですけど。
亀山くんが、伊丹さんを特命係の部屋に呼びつけるなんていう、貴重なシーンもありました。二人の「亀」の応酬も面白かったですし。
ゲストの桜木梨奈さんも、笑顔の素敵な保健師役がいい感じでして、特命係とのやりとりも楽しめました。
S1でゲスト出演した根岸季衣さんを、また相棒で見られたのも嬉しいです。
前話に続き、右京さんと亀山くんが一緒に行動しての捜査シーンが多めでしたので、それを見ているだけでも幸せな気持ちになってしまいます。二人の相性が、亀山くんが復帰してからの方が、さらに良くなってる感じもしますし。
こてまりでの美和子さん、今回はカウンターの外側でお客さんとして来店で、この数回は中と外が交互になってますね。こてまりでの4人のやりとり、コントな感じが定着してきましたね。
事件そのものは悲しいものではありましたが、結末も後味も悪くない物語でした。
第7話『砂の記憶』、面白かったです!
ゲスト出演者
では次に、第7話『砂の記憶』に出演された、主なゲストさんを紹介します。
桜木梨奈(さくらぎりな)
警視庁健康管理本部の保健師、吉崎弘美役で桜木梨奈(さくらぎりな)さん。
警視庁職員の健康診断など、健康管理を担う部署の保健師です。健康管理にずさんな職員には、階級や年齢に関係なくスゲズケと指導することから、庁内では「鋼の保健師」と呼ばれています。右京さんと亀山くんも怒られてます。
桜木梨奈さんは別役で3度目の相棒出演です。過去にはS13第18話『苦い水』で風俗嬢の役、S18第11話(元日SP)『ブラックアウト』で妊婦さんの役で出演されています。3回の中で今回が一番がっつりの出演。ズケズケと物を言いつつ、笑顔が素敵な保健師の役、とっても似合っていました。
以上、今回の主なゲストさんは、桜木梨奈さん1名になります。
他には、20年前の通り魔事件で亡くなった少女の母親、富永瑞恵役で根岸季衣(ねぎしとしえ)さん。警視庁総務部広報課広聴係の小沼裕一役で、鳥谷宏之(とりたにひろゆき)さんなどが、上記に次ぐゲストさんで出演されています。
根岸季衣さんは別役で2度目(過去にはS1-6)、鳥谷宏之さんも別役で2度目(過去にはS19-10)の出演です。
20年前の通り魔事件
この度の事件は、特命係に届いた手紙から始まります。
その手紙とは、「20年前の連続通り魔事件の犯人は すぐそこにいる 近いうちにまた動き出す」とだけ書かれたものです。
宛先はおもいっきり特命係。
差出人は鈴木礼と書かれていますが、おそらく偽名と思われます。
「犯人はすぐそこにいる」「近いうちにまた動き出す」とは書かれていますが、それ以上具体的なことは記されていません。
なぜ特命係に届いたのかも不明。
もう謎だらけの手紙ですね。こんなことは長い相棒の歴史の中でも初です。
この手紙がいたずらではないのだとしたら、20年前の事件を再捜査して欲しい、という意図のものであることが窺えます。
また、差出人は特命係の存在を知っている人物である可能性は高いです。そして特命係が数々の難事件を解決してきた部署であり、超優秀であることも知っているのではないかと。
不可解な手紙ではありますが、特命係がもちろんこれを放置するわけがありません。二人は捜査へと乗り出します。
調べるのは手紙に書かれていた、20年前の通り魔事件です。それは7件にも及び犯行が繰り返された連続通り魔事件で、狙われたのは中学生や高校生も含む、若い女性ばかり。
女性を夜道で背後から襲うという、卑劣な犯行です。
さらには7人ともが所持品も奪われるという強盗事件でもあります。7件目の事件では、被害者となった15歳の少女が亡くなってもいるんです。少女は友人と二人で夜道を歩いていたところを突然襲われ、命を奪われることに。一緒に歩いていた友人は無事でした。
こんなひどい事件にもかかわらず、犯人はいまだに捕まることがなく、現在も未解決のまま。いわゆる迷宮入りってやつですね。
当時は伊丹さんも捜査本部に参加していたとのことで、犯人逮捕に至っていないことに、悔しさを滲ませてもいます。
20年前といえば、右京さんと亀山くんはもう特命係として動いていたかと思うのですが、そのときはこの事件には首を突っ込まなかったってことですね。
しかし傷害致死の時効である20年を目前に、このたび特命係に謎の手紙が届いたわけです。時効成立の直前であることを考えると、やはり手紙は特命係に事件の再捜査をさせる意図である可能性が濃厚です。
時効まで残された時間はあと僅か。
当時は犯人に繋がる有力な証拠も見つからず、唯一の手掛かりは、亡くなった15歳の少女と歩いていた友人の目撃証言のみ。
しかもそれは、20年も前にたった一度見ただけの、砂のような記憶です。
砂時計
手紙をきっかけにして、過去の通り魔事件の捜査を開始した特命係ですが、20年もの時間が経っていますし、今さら新しい証拠や証言が出てくるわけでもなく、そう簡単に解決には至りません。
しかし、犯人を追い詰めるきっかけとなるものがありました。
それは「砂時計」です。
20年前の事件で亡くなった少女は、襲われたときに砂時計を持っていました。そしてそれを犯人に奪われているんです。
その砂時計は、事件のとき一緒にいた友人が、お揃いでお土産にあげたもの。
襲われた被害者の無念はもちろんですが、目の前で友達が襲われた友人のショックも計り知れません。
右京さんと亀山くんは、亡くなった少女の母親も訪ねますが、「そっとしておいてください」と追い返されてしまう場面も。
被害者の遺族や関係者にとっては、事件の日から時間が止まってしまっているんです。
また、事件直後には被害者についてあることないこと書き立てるような、心ない報道もあったとのことで、遺族は二重の苦しみを味わってもいます。
しかも20年経った今も、犯人は捕まっていないんです。
犯人が捕まったとしても、失われた命が戻ってくることはありません。しかし犯人がどこの誰なのかもわからず、逮捕もされず逃げ延びているというのは、遺族にとっても余計に辛いことでしょうし、やりきれないことだと思います。
母親の気持ちを想うと、見ているこちらまで辛くなってしまいます。彼女のためにも、せめて時効前になんとか犯人の逮捕だけでも果たして欲しい。
おそらく犯人が逮捕されることで、遺族や関係者の止まっていた時間も動き出すはずです。
止まっていた砂時計をひっくり返すように。
砂時計は、流れ落ちる砂が限りある命を表す、死のシンボルとされるいこともあるそうです。
しかし一方で、何度でもやり直す事ができる希望の象徴でもあると。
「砂の記憶」を糸口にして、そこから「砂時計」へと繋がり、最後にはもう一つの「砂の記憶」が犯人を追い詰めます。
残された人たちの時間が、ようやく動き始めました。
警視庁の保健師
警視庁には、健康管理本部というのがあるようでして、この度はそちらに所属する保健師さんが登場します。
実際の警視庁にもあるみたいです。産業医、保健師、栄養士、臨床心理士などがいらっしゃって、職員の健康状態のケアを行っているそうです。
S9第12話『招かれざる客』のとき、神戸くんが健康診断で再検査になり、医務室に呼び出されてましたけど、おそらくそのときも健康管理本部に呼び出されたのではないかと。
警視庁に限らず大きな会社などには、そのような部署が通常あるものなのかもしれませんが、僕は一度もそのようなところで働いた経験がないため、恥ずかしながら保健師というお仕事もこのたび初めて知りました。
今回登場した保健師さんは、ゲストの項でも紹介しました、桜木梨奈さん演じる吉崎弘美です。
健康管理がずさんな職員には、誰に対してもズケズケと物を言う「鋼の保健師」として恐れられている人物とのこと。
右京さんと亀山くんも彼女に怒られてます。
鋼の保健師は、わざわざ指導のため特命の部屋にまで来ちゃってました
どうやら亀山くんが健康診断を受けていないとのことで、それについてのお説教。右京さんも本来しないといけない面談をしていないとかで、同じくお説教されてます。
右京さん、紅茶の飲み過ぎは体の負担になるので、適度な量を心掛けるようにとも言われてました。
一緒にいた角田課長まで怒られてましたし。
右京さんも亀山くんも、二人ともメタボではなさそうですし、パッと見は健康そうではありますが、食生活とか運動不足じゃないかとか、その辺りは気になりますね。
ちなみに内村さんは、保健師さんから甘いものは控えるように言われてるみたいです。
こちらは右京さんと保健師さんの面談シーン。
できれば面談内容を知りたかったのですが、そこまでは見せてもらえませんでした。どんな話をしたのやら。
右京さん、食事はこてまりで栄養あるもの食べてるとは思いますが、それ以外はどうしてるんでしょうね。特に独身の右京さんは、自炊しているのか気になりますし、朝ごはんとかちゃんと食べてから出勤してるのかとか、色々気にはなってきます。
運動の方も、二人ともめっちゃ走れてますし、それなりに鍛えてるんじゃないかとは思うんですけどね。亀山くんはかつてジョギングをしていましたが、右京さんも密かにジムに通ってたりするかもしれません。
今回は保健師さんの登場により、特命係の健康というものにも少しですが焦点が当てられ、楽しめました。
亀山くんはその後、ちゃんと健康診断を受けたようですし、バリウムが苦手だって言ってました。
しかしその結果に色々問題があるようでして、保健師さんに連れて行かれる場面も。
この場面、美和子さんに見られたらあらぬ誤解を生みそうですけど。
鋼の保健師である吉崎弘美の口うるさい指導も、特命係の二人の健康を思ってこそです。
右京さんも亀山くんも、きっと彼女にだったら、健康管理を安心して託せるのではないかと思います。
二人ともいつまでも健康で頑張って欲しい。
その他の見どころ
では最後に、第7話『砂の記憶』のさらに細かい見どころを、二つほど挙げてみたいと思います。
右京の砂時計
今回は砂時計が鍵になっていた事件だけに、砂時計について語られる場面がけっこうありました。
右京さん、砂時計についての豆知識も豊富でした。
そしてなんと、右京さんがマイ砂時計を持っていて、職場に持ち込んでいることも明らかに。
その砂時計がこちらです。
こんな小さなサイズの砂時計があるんですね。初めて知りました。
右京さんは紅茶の茶葉を蒸らす時間を計るため、この砂時計を使ってるみたいです。今淹れている紅茶は、3分きっかりが最適な蒸らし時間だとか。
ってことは右京さん、それぞれの茶葉の蒸らし時間に合わせて、計測時間の違う砂時計を何種類か持ってるやもしれません。
総務部広報課広聴係
先ほどは、警視庁には健康管理本部というのがあり、保健師さんがいるというのを紹介させて頂きましたが、もう一つこのたび新しく出てきた部署があります。
それが、総務部広報課の広聴係というやつです。
こちらも実際にもある部署で、都民からの苦情や要望の受付窓口とのこと。
さぞかし様々な苦情がくるでしょうし、中にはタチの悪い苦情もあるでしょうし、大変な部署だと思います。
警察官の皆様には、本当に頭が下がります。
以上、本日は相棒season21第7話『砂の記憶』についてでした。