第15話『キャスリング』
あらすじと感想
相棒season23第15話のタイトルは『キャスリング』。放送日は2025年2月12日です。
ではまず、第15話『キャスリング』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
右京(水谷豊)が山荘でチェスを指している。道に迷ったという口実で、その場に入り込んでいるようだ。チェスの相手で山荘の主は、奥田剛(佐野史郎)という男性。奥田は、今から15年前に都内で発生し、いまだ解決されていない母子殺害事件の被害者遺族だった。しかし、奥田自身にも疑わしいところがあり、警察に疑われた過去が。奥田と2人きりの山荘でチェスを指しながら、そうした事件の概要と現在の捜査状況について淡々と語る右京。そんな中、右京は都心に残っていた薫(寺脇康文)にメッセージを送り、奥田のアリバイ確認を依頼する。何か事情があると察した薫は、さっそく行動を開始。右京と奥田は、それを皮切りに、チェスになぞらえた壮絶な頭脳戦に突入していく。
チェスの相手は右京さえ欺く策士
孤軍奮闘する薰が絶体絶命の窮地に!?
15年前の事件の真相が今、暴かれる!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!
かなりの異色作だったのではないかと。観ていて混乱しましたもの。え?どういうこと?って何度か言ってしまったほど。
最初、時系列が入り乱れているのかな?と思いきや、そういうわけでもなく。次にはパラレルワールド的な?と思ったのですが、それもまた違いました。終盤に差し掛かるくらいに、もしかして…と少しだけ見えてはくるのですが、それでもラストの種明かしまで、僕は混乱を抱えたまま観ておりました。
S14第17話『物理学者と猫』、S20第16話『ある晴れた日の殺人』、S21第19話『再会』などにも通じる、不思議回な作りの一本になっていました。
あとは、コメント欄にて頂いたのですが、S6第17話『新•Wの悲喜劇』に通じるものも。
そしてなんと言っても、目玉はゲストの佐野史郎さん。S5以来二度目の相棒出演です。別役ではありますが、約18年振りの相棒の舞台。前回も手強い犯人ではありましたが、今回もまた違った意味での難敵でした。
まずですが、タイトルの「キャスリング」というのは、チェスの指し手の一つだそうです。キャッスル(城)からきている言葉で「キングの入城」とも呼ばれていて、「キングとルークを一手で同時に動かす特殊な動き」とのこと。僕はチェスをしたことがありませんので、初めて耳にする言葉です。
そんなタイトルのとおり、チェスのゲームとともに進行していく物語でした。
これまでにも、右京さんのチェスの相手が事件の重要人物というパターンは何度かありましたが、今回もおもいっきりその形です。
で、この度の対戦相手が、佐野史郎さん演じる奥田剛という男。
右京さんは、15年前の未解決事件を終わらせるため、被害者遺族である奥田とチェスをしつつ、話を聴いているんです。
奥田が事件の犯人である可能性も提示されますので、「誰が犯人なのか」を突き止めるというよりは、奥田が犯人であることを立証するのが着地点となっていくような流れ。
一方の亀山くんは、右京さんからメッセージを受け取り、単独で捜査を開始します。
固定された場所にて誰かと対峙する右京さんと、外で捜査をする亀山くんという、ちょいちょいあるパターンですね。最近でも第12話『細かいことが気になる患者』が似た感じではありました。
奥田と右京さんの軸、亀山くんの軸、この2本が並行して走る、わかりやすい形ではあります。さらにはチェスの対決と亀山くんの捜査がリンクしているというのも特色の一つ。右京さんが劣勢になりそうになると、亀山くんもピンチに陥るという。
チェス絡みの相手は、皆さん基本的に頭がいいので強敵が多いですけど、今回の奥田も難敵でした。奥田が築いた難攻不落の城塞を、右京さんが落としていくという展開ですね。
そして佐野史郎さん、やっぱり怖いんですよね。一度目の出演だった『殺人ワインセラー』のときも怖かったですけど、今回の奥田はまた違った狂気がありました。そういうのが本当によく似合う俳優さんです。見ている人を惹き付けます。
右京さんとのやりとりも見入ってしまうものがありました。右京さんに紅茶を注ぐ佐野史郎さんという、貴重なワンシーンもありましたし。
奥田が犯人という流れが、そのまま最後までいくのか、それともそれ自体が裏切られるのか、それもまた最後までわかりません。
何かしら大きなどんでん返しが待っているであろうことは予想できたんですけどね。
そのどんでん返しが予想外のやつなので、もうびっくりでした。びっくり回ですよ。
亀山くんも何度死んだことか。右京さんも。
そういえば、いきなりのOPというパターンもびっくりでした。
右京さんが何のために奥田とチェスをしていたのか、その本当の目的がわかったときには、切なくもなってしまいました。辛かったですもの。奥田の気持ちを想うと、やりきれないですからね。
被害者遺族がクローズアップされる物語はいくつもありますが、今回も異色ではありつつ、間違いなくそういうものの一つでした。
S15第7話『フェイク』に共通するものもありました。
奥田は「キャスリング」で、自分の心も守っていたんだな、と。
そして右京さんと亀山くんは、その「キャスリング」を突破することで、前に進ませようとしたんですね。
佐野史郎さんと水谷豊さんの二人劇のようでもあり、この二人だからこそ、これだけ絶望感のようなものが強く残る、完成度の高い一本になっていたのではないかと思います。
最後のこてまりもしんみりでした。小手鞠さんと右京さんの言葉が沁みました。
こてまり呑みは今回ないのかな、と思いきやありましたし、同じく特命係の部屋も出てこないかと思いきや、出てきました。特命の部屋は出てくるのに、角田課長が出てこないのも珍しかったですね。
トリオ・ザ・捜一の出番も少しだけでしたし、笑いは少ない回ではありました。美和子スペシャルで一笑いはありましたけど。
あと、地味に右京さんのノールックでのスマホ操作も凄かったです。
チェスと勝負と並行して、未解決事件を紐解いていく物語、楽しませて頂きました。
第15話『キャスリング』、面白かったです!
ゲスト出演者
続いては、第15話『キャスリング』に出演された主なゲストさんを紹介します。
佐野史郎(さのしろう)
15年前に起きた殺人事件の被害者遺族、奥田剛役で佐野史郎(さのしろう)さん。
都内で起きた15年前の事件では、妻と娘が殺害されています。犯人はいまだに捕まっておらず、未解決事件となっています。奥田自身も一時期は容疑者の一人として疑われていました。事件以来、一人でひっそりと生きています。
佐野史郎さんは別役で二度目の相棒出演です。1度目はS5第9話『殺人ワインセラー』で、ワイン評論家の役でした。約18年振りの再出演です。1度目のときも特命係の難敵としての出演だったのですが、今回も手強い相手になってます。右京さんとのチェス対決と心理戦は見ものです。
以上、今回の主なゲストさんは、佐野史郎さん1名になります。
佐野史郎vs右京
右京さんはチェスが趣味で、しかも相当な腕前です。チェス倶楽部の大会では、17年連続で優勝しているほど。
これまでもチェスの対戦シーンは何度か出てきましたし、対戦相手が事件に深く関わっていたというパターンも。
記憶に新しいところですと、S22第17話&18話『インビジブル』で登場したIQ150の天才少年、山田くんなんかがまさにそれです。同じくS22の第14話『亀裂』では、小林隆さんの道明寺という美術品コレクターもですね。あと、劇場版1の西田敏行さんの木佐原さんもですね。
そしてこの度は、新たな好敵手が右京さんの前に立ちはだかります。
それが、佐野史郎さん演じる奥田剛という男。
ゲストの項でも紹介させて頂きましたが、佐野史郎さんはS5第9話『殺人ワインセラー』で、ワイン評論家の役で出演されていますので、今回は別役で約18年振りの出演です。
佐野史郎さんは、数年前より多発性骨髄腫で闘病されていましたので、こうしてお元気な姿を拝見すると安心します。
『殺人ワインセラー』では、手強い犯人役でしたが、今回も手強いチェスの相手となっての登場。
二人は静かな山荘で、チェスの勝負をしています。
紅茶まで用意されていて、奥田が右京さんのカップに紅茶を注いでました。
そもそもこの二人が対局に至ったのは、右京さんによる奥田への接触です。
奥田は15年前に都内で起きた、母子殺害事件の被害者遺族でした。
殺害されたのは奥田の妻と娘です。年末の夜に自宅にに何者かが侵入し、二人を刺殺しました。犯人はいまだ捕まらずに、未解決事件となっています。
右京さんは、その事件を終わらせるために、奥田に話を聴こうとしていたんです。
この事件では、奥田自身も容疑者の一人として浮上していて、犯行が疑われていました。事件当夜、奥田はたまたま忘年会で外出していて一人だけ難を逃れたものの、アリバイがなかったんです。ゆえに、遺族であるにもかかわらず、警察の取り調べも受けています。
その後、犯人の遺留品とDNDが一致していないことが判明し、容疑者から除外されました。
奥田は自分が遺族であるにもかかわらず、容疑者として疑われたことを、当然ながら不快に思っています。同時に警察に対しても嫌悪を露わにしています。
ちなみに奥田は右京さんのことを「おまえ」と呼んでました。基本命令口調でしたし。逆に右京さんは奥田を「あなた」でした。
そして、チェスの対局をしつつ、聴取をする右京さんに対しても、何かしら企んでいるであろう様子も。
これは、チェスの盤上を舞台にした、未解決事件を巡る、右京さんと奥田の心理戦です。
城を攻める特命係
チェスをしつつ奥田に聴取をする右京さんは、亀山くんに連絡を取り、証言に基づいた裏付け捜査を依頼するんです。
自宅にいた亀山くんは、さっそく単独で捜査を開始。
奥田のアリバイを確認しに、仕事の現場を訪れたり、奥田が立ち寄ったという立ち飲み屋に行ったり、あちこち飛び回ります。
盤上で奥田と対峙する右京さんと、過去の奥田の痕跡を追う亀山くんという図式。
そして今回の物語は、右京さんのチェスの対局と、亀山くんの捜査がリンクもしていくんです。
奥田の張り巡らせた罠に右京さんが嵌りそうになると、亀山くんもピンチに陥るという。
亀山くんは全部で3回、死んでますね。
例えば一度はマイナス70度の冷凍庫に閉じ込められてます。
閉じ込められる亀山くんといえば、S5第2話『スイートホーム』でのサウナを思い浮かべてしまうのですが、何気に今シーズンでも既に一度閉じ込められてるんですよね。第2話『警察官A~逆転殺人!真犯人は二人いる!!』で、ガスの充満した建物の地下に、加藤清史郎くんの高田創と二人で閉じ込められてます。
サウナのときは暑い中に閉じ込められ、今回は寒い冷凍庫。
この後もピンチは続くのですが、それらは全て奥田が仕組んだ罠である可能性も。
奥田は「キャスリング」で盤上の防御も固めた上に、捜査に対しても同じく強固な防御を固めているんです。
その城塞はなかなか落とせそうにないほどに。
しかしです。
だからと言って諦める特命係ではありません。
右京さんは盤上で、亀山くんは現場で、それぞれ奥田の城塞を少しずつ崩していくんです。
そして二人はついに、城を落とすことに成功するのですが…
そこには、あまりにも理不尽な事件の真相と、大切な人を失った痛みがありました。
その他の見どころ
それでは最後に、第15話『キャスリング』のさらに細かい見どころを挙げてみたいと思います。今回は一つだけ。
光る美和子スペシャル
右京さんが亀山くんに捜査を依頼した際、亀山くんは非番でして、美和子さんと自宅にいました。
亀山家が出てくるのも久しぶりですけど、美和子さんはが青く光る何かを料理中。
こてまりで作っていた「シン・美和子スペシャル」も、こんなふうに青く光っていましたので、今回もそっち系のヤバいやつかと思われます。
セーターもそっち系の色ですけど。
この鍋の中身を見た亀山くん「日本代表」「美和子ブルー」と、頑張って褒めてます。
しかし「食べなければならない戦いがそこにはある」とも。
以上、今日は相棒season23第15話『キャスリング』についてでした。