第9話『最後の一日』
あらすじと感想
棒season23第9話(元日SP)のタイトルは『最後の一日』。放送日は2025年1月1日で、2時間15分の元日スペシャルになります。
昨年は元日に能登半島地震が発生し、被害状況などが刻々と報道される中、相棒の元日SPも放送はされたものの、最後の方で地震速報により放送が中断されるという、これまでにない形にもなりました。
画面には始終津波警報が出ていましたし、お正月早々、相棒どころではない方々がいらっしゃっると思うと、気もそぞろでした。
あれから一年。いまだに能登の復興が思うように進んでいないという、嬉しくもない情報ばかりを目にします。どうか一日も早く被災地に元の日常が戻ることを願っています。
そして今年の元日は、大きな災害が起こらず、安心して相棒を楽しめたことが何よりです。
それでは改めまして、初めに第9話『最後の一日』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
大晦日。市民合唱団に入団した美和子(鈴木砂羽)と小手鞠(森口瑤子)は、年末コンサートを前に練習の真っ最中。その頃、右京(水谷豊)は、陣川(原田龍二)の付き添いでデパートの宝石店にいた。相変わらず恋多き陣川は、出産を控えた“運命の相手”にプロポーズするため、指輪を購入したいらしい。いっぽう、薫(寺脇康文)、伊丹(川原和久)、益子(田中隆三)の3人は、警察学校時代の同期・澤田菜穂(櫻井淳子)の自宅を訪れ、夫の正志(藤本隆宏)を紹介されていた。同じ頃、芹沢(山中崇史)と麗音(篠原ゆき子)は、角田(山西惇)の応援で、喫茶店に潜入中。容疑の掛かった反社会的組織の関係者を待ち伏せているようだ。
そんな中、右京は4歳の女の子とはぐれた母親と出会い、陣川と迷子捜しを手伝うことに。いっぽう、テレビ局では、人気ニュースキャスターの桧山(髙嶋政伸)が、付人の武部(高橋光臣)や局のお偉方に取り巻かれ、年末特番の準備を進めていた。ところが、ジョーカーを名乗る人物から、桧山に『娘は預かった』という脅迫状が届き、状況が一変。右京が捜す女の子こそ、桧山の娘だった。犯人からの要求は、『予定通り生放送を行え』というもので、意図は不明。
その頃、美彌子(仲間由紀恵)と峯秋(石坂浩二)は、与党の大物議員・伊地知(石丸謙二郎)の忘年会に招かれていた。伊地知は最近、ジョーカーを名乗る反社会的組織の関連団体が、自身の反対派に暴力をふるう事件が相次いでいることに頭を悩ませているらしい。いっぽう右京は、誘拐事件の目的が、番組内でジョーカーを批判した桧山を狙ったものではないかと考え、角田たちが確保したジョーカー関係者の男と接触。男は誘拐への関与こそ否定したものの、「テレビ局に仲間がいる」と証言して…!?
少女の誘拐事件を発端に絡み合う思惑
人気ニュースキャスターには隠された秘密が!?
局内に潜伏している“裏切り者”の正体は?
大晦日の夜、特命係が“最後の一日”を迎える!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!
盛りだくさんでした。元日SPですので、ぎっしり詰まった内容になるのは常ではありますが、今回も色んなものが詰め込まれたSP版だったのではないかと。
まず、最初の掴みから、もうテンション上がるものばかりで。
美和子さんと小手鞠さんの合唱練習、右京さんと陣川くんのお買い物、亀山くんと伊丹さんと益子さんは、同期の家を訪問、角田課長と芹沢さんと出雲麗音は張り込みと、お馴染みのメンバーのそれぞれの大晦日の過ごし方が見られるのが嬉しい。
いきなり、普段はなかなか見られない貴重な場面の連続でしたからね。
さらに社美彌子と甲斐峯秋の大晦日というのも加わります。
美彌子と甲斐さんはSP版ではお馴染みですけど、今回は陣川くんまでいるというのが、一つの目玉でもあります。元日SPで陣川くんというのは初なのですが、大事件に加えて、「陣川回」までもがプラスされることになるので、楽しみも倍増します。
そしてそれぞれ過ごしていた大晦日が、一つの事件に繋がっていきますので、その過程も面白いです。
主軸となるのは、髙嶋政伸さん演じる桧山というニュースキャスターの娘が、何者かに誘拐されるという事件。
元日SPでの誘拐事件というのは、これまでもけっこう多いです。S5『バベルの塔』、S10『ピエロ』、S13『ストレイシープ』、S17『ディーバ』とかですかね。
今回の誘拐事件は、犯人からの要求が、桧山がニュースキャスターであることを最大限に利用したものでして、大晦日の生放送が大変なことになっていきます。
桧山がどんどん追い込まれていきますので、苦悶する髙嶋政伸さんというのも、一つの大きな見どころでした。
犯人と目される「ジョーカー」の目的も、身代金などでないことは明らかなのですが、不明なまま。
「ジョーカー」という名前が出てきた時点で、僕は「ダークナイト」も連想してしまったんですけどね。もしかしてこれ、甲斐享にも繋がってくるのでは?なんて。ついつい色んな期待もしてしまいました。
この事件には、桧山の抱えている「秘密」が、大きな鍵を握ることになっていることは早い段階で示唆されるのですが、それが何なのかは、なかなか見えてきません。
さらにはテレビ局内に犯人の協力者がいることも提示されますので、その「協力者」である裏切者が誰なのかという、もう一つの謎解きも加わります。協力者については、この人じゃないか?というのは、けっこうわかりやすかったかもですけど。
ここに亀山くんたちが遭遇した「男の正体」というのも、もう一つの謎として、こちらもまた早い段階から取り上げられます。この男の正体が、何気に最後まで引っ張られた、大きな謎になってました。
また、美彌子と甲斐さんを忘年会に招待した、大物政治家である石丸謙二郎さんの伊地知も、事件に何かしら繋がってくるであろうことは、予測はできたんですけどね。どんな関わり方をするかというのは、なかなか見えてこないです。
もう謎だらけですよ。
誘拐犯の正体、桧山の秘密、謎の男の正体、協力者の特定など、解かなければいけない案件だらけですので、右京さんと亀山くんもフル回転でした。
事態の変化が生放送に直結していたので、そんなシチュエーションもテレビ局が舞台ならではです。
謎は多かったですし、最後の真相解明こそ二段階になっていましたけど、構成自体はそんなに複雑ではありませんでした。けっこうシンプルでわかりやすかったのではないかと。
5年前の土砂災害というものがクローズアップされた時点で、おおまかなところは推察はできました。
桧山の秘密は、全然予想はつかなかったですけどね。
秘密の中身を知ってしまうと、今回の犯人には同情せざるを得ない部分もあったりします。切ない物語でもありました。
同時に、桧山という正義のキャスターの、裏側といいますか、人間臭さといいますか、そういったものが描かれた物語だった気もします。
ジャーナリズムや政治というものの在り方についても、少なからず触れられています。
政治家も誰のために政治をしているのか疑問に思うような方ばかりですし、マスコミもマスゴミなんていわれるほど、偏向報道や印象操作ばかりですからね。
右京さんのお説教も炸裂してます。
タイトルの「最後の一日」も、一年の最後の一日というだけではなく、色んな人にとっての「最後の一日」という意味も持っていたのではないかと思います。桧山にとっても、伊地知にとっても、もしかしたら陣川くんにとっても。
そしてそれが新たなスタートになったらいいな~とも。プラスな方向に。
ゲスト陣も、髙嶋政伸さん、石丸謙二郎さんだけではなく、藤本隆宏さん、櫻井淳子さん、高橋光臣さんと、元日SPだけに豪華です。
櫻井淳子さんは登場シーン少なめでしたけど。ペアルック姿は強烈でしたね。
石丸謙二郎さんは、悪い顔してました。
また、社美彌子と甲斐峯秋だけではなく、SP版では欠かせない、衣笠副総監も出てくれてます。
内村さんと中園さんも久しぶりに登場。第4話『2つの顔』以来です。今シーズンは出番が少なかったので嬉しいですね。
そういえば、SP版にもかかわらず、土師っち出てませんでしたね。
冒頭でのそれぞれの大晦日という貴重なものだけでなく、それ以降も貴重な場面がふんだんに盛り込まれていて、そういう部分でも始終楽しめました。
笑いどころもちょいちょいはあったのですが、そこまで多めじゃなかった気がします。
むしろ皆さんのかっこいい場面の方が印象に残ってしまって。澤田菜穂を救おうとする亀山&伊丹&益子は、特にかっこよかったです。あと、誘拐事件の指揮を執る芹沢さんとか、パパになる決意をした陣川くんとか、妊婦を助ける出雲麗音とか。
盛りだくさんの元日SPでした。
大変な大晦日ではありましたが、何よりも子どもが無事だったことに安堵です。
ラストのプレゼントにもほっこりしてしまいました。
そして、桧山が言った「いいニュースを作ろう。誰もがそういう気持ちで過ごしていれば、毎日はきっと明るい出来事で溢れるようになる。」という言葉、とても素敵だと思います。
今年がそんな年になることを願っています。
第9話『最後の一日』、面白かったです!
ゲスト出演者
それでは次に、第9話『最後の一日』に出演された、主なゲストさんを紹介していきます。
髙嶋政伸(たかしままさのぶ)
人気のニュースキャスター、桧山弘一役で高嶋政伸(たかしままさのぶ)さん。
国民的なニュースキャスターです。誰に対しても腰が低く、人当たりもいい人物。キャスターとしての信念を持っていて、ときにはその発言が物議を醸すことも。自身がメインキャスターを務める年末特番のためテレビ局に入った直後、娘を誘拐したという脅迫状を受け取ります。
高嶋政伸さんは相棒初出演。今回のオファーをとても喜び、快諾されたそうです。近年は怪演のイメージがありますが、今回は次第に追い詰められていくニュースキャスター役、真に迫ってました。
藤本隆宏(ふじもとたかひろ)
テレビ局のプロデューサー、澤田正志役で藤本隆宏(ふじもとたかひろ)さん。
亀山・伊丹・益子の警察学校時代の同期である、澤田菜穂の夫です。元々は、桧山がキャスターを務める年末特番のプロデューサーでもあったようですが、その役目は後輩に譲ったとのことで、大晦日は菜穂とともに亀山くんたちをもてなしています。
藤本隆宏さんも相棒初出演。元競泳選手で、オリンピックにも二度出場しているという、異色の経歴を持つ俳優さんです。選手を引退後は劇団四季に入団し、退団後にテレビドラマや映画にも進出しています。競泳選手だっただけに、ものすごくガタイがいい俳優さんです。
高橋光臣(たかはしみつおみ)
桧山弘一の付人、武部友和役で高橋光臣(たかはしみつおみ)さん。
桧山も信頼を置く付き人です。常に桧山の様子を伺い、世話を焼いています。かつてはサラリーマンとして働いていましたが、会社をクビになり途方に暮れていたときに、桧山のニュースを見て励まされ、それがきっかけで付人になったそうです。
高橋光臣さんも相棒初出演。2005年に俳優デビューをされ、同年に『轟轟戦隊ボウケンジャー』で主役を務めた俳優さんです。その後、数々のドラマなどでご活躍されています。奥さんは女優の宮下ともみさんです。
櫻井淳子(さくらいあつこ)
澤田正志の妻、澤田菜穂役で櫻井淳子(さくらいあつこ)さん。
亀山・伊丹・益子とは警察学校時代の同期で、お互いに気ごころの知れた仲です。プライベートではテレビ局のプロデューサーである澤田正志と結婚し、一等地にマイホームを購入しています。亀山くんらは彼女の結婚や新築を祝うため、揃って自宅を訪問しました。
櫻井淳子さんも相棒初出演です。登場シーンはそこまで多くはありませんでしたが、亀山くんたちの同期役という気になる存在でのご出演でしたので、ぜひまた出て欲しいです。夫役の藤本隆宏さんとのピンクのペアルック姿は強烈でした。
石丸謙二郎(いしまるけんじろう)
政権与党の大物議員、伊地知義弘役で石丸謙二郎(いしまるけんじろう)さん。
与党である自生党の議員で、安全保障委員長を務めています。政界で大きな権力をふるっているだけではなく、様々な分野にも強い影響力を持っています。警察の上層部にも繋がりがあり、忘年会には社美彌子、甲斐峯秋、衣笠副総監も招いています。
石丸謙二郎さんは別役で2度目の相棒出演です。一度目はS11第4話『バーター』で、航空関連会社の社長役で出演されています。『バーター』のときも権力を持った悪い大人の役だったのですが、今回はさらにその上を行くほどの悪い役でした。
以上、今回の主なゲストさんは、上記5名になります。元日SPだけに多めです
他には、陣川くんが想いを寄せている女性、中嶋沙央理役で原田佳奈(はあらだかな)さん。桧山弘一の妻、桧山真紀子役で大村彩子(おおむらあやこ)さん。伊地知義弘の妻、伊地知怜子役で西山知佐(にしやまちさ)さん。桧山弘一の弟、桧山賢二役で池田努(いけだつとむ)さん。テレビ局のプロデューサー、澤田正志役役で佐古井隆之(さこいたかゆき)さん。5年前の土砂災害のときに亡くなった、山本ひかり役で水嶋凜(みずしまりん)さんなどが出演されています。
原田佳奈さんは別役で2度目(過去にはS14-8)、大村彩子さんは別役で3度目(過去にはS11-15、S19-16)、西山知佐さんは別役で2度目(過去にはS10-6)、佐古井隆之さんは別役で4度目(過去にはS14-13、S16-8、S20-1と3)の出演です。
それぞれの大晦日
日付けは大晦日。
相棒でお馴染みの顔ぶれも、一年で最後の日をそれぞれに過ごしています。
こんなふうに、事件前のそれぞれの大晦日の様子が描かれるのは、S5元日SP『バベルの塔~史上最悪のカウントダウン!』以来ではないかと。
まず、小手鞠さんと美和子さんは、なんと合唱団で練習に励んでいます。
どうやら二人は市民合唱団に入団していて、夜には「大晦日第九コンサート」で歌うみたいなんです。
なぜ突然合唱団に、と思ってしまいますが、小手鞠さんがお店の客さんに誘われて、二人で始めたとのこと。
小手鞠&美和子が揃って歌うという、これだけでもかなり新鮮なのですが、さらに刺激的な二人組も。
それは右京さんと陣川くん。まさかの二人でお買い物です。
プライベートでデパートでのお買い物。陣川くんが右京さんに付き添ってもらい、宝石店を訪れています。陣川くんはまたしても恋をしていて、その運命の相手にプロポーズをするため、指輪を購入したいんだと。
陣川くんが元日SPに登場するのは初です。
陣川くん自体は、S22第3話『スズメバチ』以来ですね。そのときに亀山くんと16年振りの再会を果たし、今回が亀山くん復帰後は2度目の登場。
元日SPに陣川回がプラスされますので、お楽しみ要素も一つ増えることになります。
陣川くんの今回の恋については、後述させて頂きます。
一方、もう一人の特命係、亀山くんはといえば、伊丹さん、益子さんと三人で休日を共にするという、これまた貴重な大晦日に。
プライベートをこの三人でというのは初の場面です。
中でも益子さんのプライベートというのは、S18第3話『少女』以来なのではないかと。
この三人って同期なんですよね。益子さんが登場したとき、伊丹さんの同期として紹介されていましたので、必然的に亀山くんとも同期ってことになります。これまでその話題は出てきていませんでしたけれど。
ちなみに大木さんと小松さんもこの三人の同期ですね。
で、このたびの大晦日は、三人の警察学校時代の同期である、櫻井淳子さん演じる澤田菜穂の自宅を、揃って訪問しているんです。
こちらが澤田菜穂さんで、お隣はがテレビ局のプロデューサーをしている旦那さん。
ピンクの凄いペアルックです。
しかし、亀山くんたちの同期に、こんな方がいたとは。旧姓は北村さんみたいです。同期の三人とは、お互いの性格を知り尽くしているほど、気の置けない関係のようです。どうやら伊丹さんなんて、彼女に惚れていたみたいですし。
今回の訪問は、澤田夫妻が最近マイホームを一等地に購入したため、結婚祝いや新築祝も兼ねて、みたいな感じかと思われます。
ちなみに澤田夫妻の新婚旅行は、モンゴルだったみたいです。
亀山、伊丹、益子が揃ってのプライベートという、奇跡的ともいえる嬉しいものを見せて頂きましたが、その頃捜査一課の他のメンバー、芹沢さんと出雲麗音は、角田課長の応援に駆り出されています。
お洒落な喫茶店での張り込みです。
張り込みの延長ではありますけど、出雲の私服姿というのも貴重です。
ターゲットは、角田課長らが以前からマークしていた、「ジョーカー」という反社会的組織の関係者。
大晦日もお仕事をしている警察官の方々には、本当に頭が下がりますね。
そして、甲斐峯秋と社美彌子、この二人は大物政治家の忘年会に呼ばれています。
社美彌子は、マリアちゃんが彼氏とデートとのことで、仕事に励むことにしたようです。
忘年会の主催者は、安全保障委員長も務める与党の大物議員、石丸謙二郎さん演じる伊地知義弘です。警察上層部とも密接に繋がりがある人物。
さらに少し遅れて、衣笠副総監も到着してました。スーツ姿で。
衣笠副総監、社美彌子、甲斐峯秋が一堂に会するのも珍しいのではないかと。
甲斐さんや美彌子はSP版ならではですけど、いつもの相棒メンバーがどんな大晦日を過ごしているのか、垣間見えるのは嬉しいです。
休みだったり出勤だったり、みんなそれぞれの大晦日を過ごしてるんですね。
しかしです。
そんな大晦日を破壊してしまう、前代未聞の誘拐事件が発生します。
お馴染みの面々も、否応なしにその事件に巻き込まれていくことに。
誘拐事件とジョーカー
デパートに買い物に来ていた右京さんと陣川くんは、店内で4歳の娘を探す女性に出会います。
母娘は二人で買い物に来ていて、母親が少し目を離したすきに、娘がいなくなってしまったと。
右京さんと陣川くんも、迷子になったお嬢さんの捜索を手伝いますが、見つかりません。
母親は、桧山弘一というニュースキャスターの妻でした。
桧山は国民的ともいえる人気のニュースキャスターで、「プライムフォーカス」という看板番組を持っています。大晦日はその「プライムフォーカス」の年末特番で、6時間生放送予定。
こちらが特番でもメインキャスターを務める、髙嶋政伸さん演じる桧山弘一です。
そして、テレビ局にて特番の準備をしていた桧山の元に「娘は預かった」という脅迫状が届いたことで、デパートで行方がわからなくなった娘は、迷子になったのではなく、誘拐されたことがことがわかります。
誘拐犯は「ジョーカー」。脅迫状には「指示に従わなかった場合、娘の命は保証しない」とも書かれています。
ジョーカーは、利権を狙った反社の手先ともいわれ、何かと暴力的な手段を行使する集団です。
桧山はかつて番組内でジョーカーが関わる案件を激しく非難したことがあり、それ以降嫌がらせを受けていたと。自宅のガレージがジョーカーのより燃やされたこともあるそうです。
ゆえに今回の誘拐事件も、その犯行がエスカレートしたものであるのではないかと。
迷子の追跡から誘拐事件発生を知った右京さんと陣川くんも、テレビ局へ。
また、澤田家にいた亀山くんたち三人も、澤田夫妻への違和感をきっかけに、同じ事件へと導かれて行きます。
角田課長や芹沢さんが追っていたのも、まさにジョーカーと関りがあると思われる男。
で、いつもの警察の面々が、テレビ局に集結です。
それぞれの別の場所で大晦日を過ごしていた刑事たちが、一つの事件に引き寄せられるように、一堂に会してしまうわけです。皆さん、相当強いご縁で繋がっているのではないかと。
さらにこの場にはいませんが、忘年会に参加をしていた社美彌子と甲斐峯秋も、同じく強いご縁があるようです。忘年会を主催していた伊地知が、最近ジョーカーに悩まされていたと。
伊地知は近年、IR構想を推進していたようなのですが、その反対派に対して、ジョーカーの関連団体が暴力を振るう事件が相次いでいたみたいなんです。つまり伊地知にとっては敵ではないものの、その行動が過激ゆえに、支持される側の伊地知も頭を悩まされているってことですね。つい、最近のしばき隊を思い浮かべてしまいますけれど。
ジョーカーは方々で問題を起こしている組織ですが、この度はその行動が桧山に対して一線を越えたのではないかと。
ジョーカーの目的は不明ですが、桧山の元には「予定通り生放送を行え」という次の指示が届きます。
そのため、桧山は娘を誘拐されたまま、生放送のキャスターを務めなければいけません。
これまでの相棒でも、S4第10話『殺人生中継』、S8第4話『錯覚の殺人』で、テレビ局が舞台となったことがありますが、今回もおいっきり事件の中心となる舞台はテレビ局です。
ゆえに、右京さんがカメラの前に登場してしまう一場面も。これはリハーサルでしたけれど。
結局ジョーカーの目的がはっきりしないまま、特番の生放送が始まります。
娘の行方に関する手掛かりもありません。
そして番組を進行する桧山の元には、新たなジョーカーからのメッセージが届きます。
ニュースキャスターの秘密
桧山がジョーカーに狙われるきっかけとなったと思われる発言は、ジョーカーが推しているIR構想を非難するものでした。
桧山は人気もある国民的なニュースキャスターだけに、その発言は常に注目を浴びます。ゆえに影響力も大きいです。過去には報道大賞を三度も受賞しています。
ジョーカーの目的は、桧山にその発言を撤回させることかと思われます。
しかし「予定通り生放送を行え」に続く指示は、IR構想とは関係のない、桧山の「個人的な秘密」を、カメラの前で告白しろというものでした。
娘の身を案ずる桧山は、その指示に従うしかありません。いわば年末特番の生放送は、ジョーカーの支配下にあるのも同然に。
桧山は人気のあるニュースキャスターというだけではなく、奢り高ぶることもなく、人柄もよく、関係者からの信頼も厚い人物。ガードマンにまで心遣いをしています。
付人の武部などは、桧山のニュースに励まされ、付人にまでなってしまったほどです。
何か公表されたら困るような、後ろめたいものを抱えているとは思えないほどの好漢なんです。
しかしジョーカーからの要求を目にした桧山は、動揺を隠せません。「思い当たる秘密」があることは間違いない様子。
そして娘の命を守るため、桧山はカメラの前で、ニュースキャスター生命を終わらせることになるかもしれない、自身の秘密を告白していきます。
一つ告白したら、また次の秘密を暴露しろとの指令。
次第に桧山は追いつめられていきます。
指示に従い秘密を告白していく桧山ですが、最後と思われるジョーカーの指示にだけ、従うことを拒みます。
それは、かつて報道大賞を受賞し、彼の知名度をいっきに上げた、5年前の土砂災害の「秘密」。
追い詰められるも秘密の告白を拒んだ桧山は、突然カメラに向かい「皆さん、助けてください!」と。娘が誘拐されているととを、言い放ってしまいます。
すなわち桧山は、娘の命よりも自分を守るという選択をしてしまいました。
その「秘密」とは、彼のジャーナリスト生命の終わりを決定づけるものだったんです。
一連の事件は、全てその「秘密」が元となり引き起こされたものでした。
そしてその秘密には、伊地知も大きく関わっています。
ジャーナリストとしての桧山、政治家としての伊地知、彼らがその本分を果たしていたのなら、今回の事件は起こらなかったはずです。
陣川がついに結婚?
運命の相手にプロポーズするため、右京さんに付き合ってもらい、指輪を購入した陣川くん。
指輪のお値段は税抜きで55万円。
これだけでも今回の恋の本気度が窺えます。
そして気になるのはお相手の女性がどんな方なのか。
陣川くんいわく、可愛くて優しくて料理上手とのこと。
また、なんともうすぐ子どもが産まれるらしいんです。つまり陣川くん、パパになるってことですね。
右京さんも祝福していました。
しかも陣川くんの子どもではないみたいなんですけど、それでも出産前にプロポーズをしたいと。産まれた子に父親だと言えるようにと。そう話してる陣川くん、かっこよかったです。
ちなみにこちらが陣川くんと彼女とのやりとり。
やっぱり陣川くん、凄いです。常人ではないですね。
そしてこちらがお相手の中嶋沙央理さん。
ショートカットの似合う素敵な女性です。
演じている原田佳奈さんは、S14第8話『最終回の奇跡』で、人気漫画家のお姉さんの役で出演されていた女優さんですね。
なんとこの沙央理さんですが、芹沢さんや出雲麗音が張り込みしていた喫茶店に居合わせていて、そこで破水してしまうんです。
で、張り込み中だった出雲が彼女に付き添い、病院まで行くことに。
もういつ生まれてもおかしくない状態です。
陣川くんのプロポーズが上手くいけば、陣川くんはついに結婚、さらにはパパにまでなっちゃうので、相棒史に残る大事件です。陣川くんの恋バナに終止符が打たれるわけですからね。
そしてその間近に出雲がいるという、これまた今までにない不思議な形になってはいます。陣川くんと出雲麗音は、S20第4話『贈る言葉』で初対面を果たし、S22第3話『スズメバチ』でも顔を合わせていますので、今回が三度目ではありますが、こんなふうにがっつりと絡むのは初めでですね。
その流れから、この二人で食事をしている場面も。
お汁粉食べてました。
この絵だけ見ていますと、出雲麗音が陣川くんの「運命の人」だったら面白いのにな~なんて、思っちゃったりもしたんですけどね。
それはさておき、やっぱり今回の陣川回は、元日SPなだけに、いつもとは一味違います。
陣川くんがついにパパになり、定番の陣川回が終わりを迎えるのかどうか。
この大晦日は、陣川くんにとっても「最後の一日」になりました。
その他の見どころ
では最後に、第9話『最後の一日』のさらに細かい見どころを、いくつか挙げてみたいと思います。SP版ですので多めです。
小手鞠と美和子の合唱
合唱練習をしていた小手鞠さんと美和子さん、夜には「大晦日第九コンサート」で、本番を迎えています。
ホールでオーケストラの生演奏での合唱。合唱団の人数も多いですし、けっこう大規模なコンサートです。
撮影協力は、「所沢で第九を」という、所沢で公募で集まった一般市民による合唱団のようです。撮影場所も所沢市民文化センターのミューズアークホールというところのようですね。
本番前の楽屋での一場面も。
合唱に参加する小手鞠&美和子という、とっても貴重なものも見れました。
また、素敵な第九が聴けたのも嬉しいです。
鏡餅
特命係の部屋に、角田課長が鏡餅を持って来てくれてました。
立派な鏡餅です。
一方、捜査一課トリオは、張り込み中と思われる車の中で、後部座席の出雲麗音が鏡餅を。
こちらは少し小さめな鏡餅です。
お正月のこの時期ならではの一場面が見れました。
内村の孫
内村さんのプライベート情報というのは、これまでもそんなに出てきていません。
年末年始の過ごし方としては、『バベルの塔』のときに、毎年家で餅をつくのが慣習だというのが、唯一の情報です。
そんな内村さんですが、どうやら孫を溺愛しているようです。孫がいるという話も初めて出たのではないかと。まぁ、いてもおかしくはないですからね。
事件前、内村さんは家で孫に「お馬さん」をさせられたようです。
で、内村さん、そんな孫に好かれたいので、お年玉も奮発しています。
孫はまだ小さいようなのですが、一万円入れてまして、中園さんがびっくりしてました。
あの内村さんも、やっぱり孫は可愛いものなんですね。
これまで中園さんの家族はちらっと出てきましたけど、そろそろ内村家にも出てきて欲しい。
家族構成も知りたいですね。
指揮を執る芹沢
亀山くんや伊丹さんがテレビ局に到着する前、誘拐事件の捜査は、芹沢さんが指揮を執ってます。
責任者として、関係者に事情を説明していました。
右京さんの意見を積極的に聴きに行くという、珍しい指揮官にもなってましたけど。
若手刑事だったあの芹沢さんが、気付けばもうベテラン刑事になってるんですね。そしてこんなふうに、大きな事件を指揮する立場になっているのが、感慨深くもあります。
こてまり新年会
昨年の年越しは、右京さんと亀山くんが海外から帰って来られなくなっていたので、小手鞠さんと美和子さんの二人でした。
ですので今年は全員揃うのかと思いきや、またしても二人きり。
美味しそうなおせち料理と日本酒で、女二人の新年です。
もしかしたら、この後右京さんや亀山くんも合流したのかもしれませんけれど。
誘拐事件で大変な大晦日になってしまったので、お正月は皆さんがのんびりと過ごせたらいいですね。
右京から亀山へのプレゼント
今回の元日SPの締めくくりは、右京さんから亀山くんへのプレゼントという、ほっこりするものでした。
抽象的なプレゼントではなく、リアルな物品のプレゼントです。
プレゼントはハンカチ。
亀山くんもとっても喜んでいます。
しかしなぜこんなプレゼントをするに至ったのか。
それは陣川くんとのお買い物からの流れなのですが、右京さんのプレゼントに対する繊細な考えや、亀山くんに対する想いを踏まえると、余計に微笑ましくなるんですよね。
いいものが見れました。
以上、今日は相棒season23第9話(元日SP)『最後の一日』についてでした。