第7話『同日同刻』
あらすじと感想
本日は、シーズン19第7話についてです。
相棒season19第7話のタイトルは『同日同刻』。放送日は2020年11月25日です。同日同刻とは、そのままですけど「同じ日の同じ時間」という意味です。特定の日、特定の時間がキーワードになる内容かと思いますが、それ以上はタイトルからだけでは推察できません。
それではまず、第7話『同日同刻』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
解体された空き家から白骨化した遺体が発見される。鑑定の結果、遺体は2年前に足立区で発生したアポ電強盗殺人の被疑者・野添のものと判明。強盗の共犯者による犯行と睨んだ捜査一課の伊丹憲一(川原和久)は、警察の威信にかけ、犯人逮捕に乗り出す。
その頃、2年前に町田で妊婦が転落死した事件の犯人も判明。別件で事情聴取を受けていた男・須藤龍男(成田瑛基)が犯行を自供したことで、突如として新展開を迎えていた。
その矢先、「特命係」の杉下右京(水谷豊)のもとに弁護士の連城建彦(松尾諭)から連絡が入る。東京拘置所にいる“平成の毒婦”こと遠峰小夜子(西田尚美)から、右京と冠城亘(反町隆史)に“ある情報”を提供したいという申し出があったのだ。拘置所を訪ねた2人に小夜子は、なんと「妊婦転落死の被疑者・須藤は犯人ではない」と告げる!妊婦が死亡した同じ日の同じ時刻、町田とは正反対の葛飾区で須藤を目撃していたという小夜子。「一度見た顔は忘れない」という小夜子の証言を信じるべきか、慎重に検討する右京と亘だったが…?
捜査を進めるため、須藤を連行した警察官のもとを訪ねた右京らは、たまたまそこで、同じように須藤の自供に違和感を抱いた出雲麗音(篠原ゆき子)と遭遇。白バイ隊員時代に須藤の違反キップを切ったことを覚えていた麗音は、「須藤は何の得もない妊婦を突き飛ばすようなタイプの男ではない」と断言する。
小夜子が須藤を目撃したという葛飾区の現場に出向くと、通りを挟んだ反対側の足立区にはアポ電強盗殺人の捜査をする伊丹たちの姿が。目撃場所と、アポ電強盗殺人の事件現場が至近距離だったことに気づいた右京と亘はあらためて事件の経緯を洗い直していく…。
果たして、犯行を自供した須藤をかばう小夜子の真意とは…!?
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!
過去2シーズンに渡り特命係と対決した、西田尚美さん演じる遠峰小夜子の再登場。もうこれだけでワクワクしてしまいました。
遠峰小夜子回はこれまで、『ブラックパールの女』『いびつな真珠の女』と、真珠に絡んだ「~の女」がタイトルでしたので、次もそっち系での三部作になるのかと思いきや、全く違うパターンでしたね。
また、遠峰小夜子と右京さんの対決が、ついにこれで決着なのか?という内容であることも考えられましたが、そちらも全く違いまして、最終決戦はまだ先になりそうです。
伊武雅刀(いぶまさとう)さんの南井十が、3シーズンに渡る三部作で完結しましたので(もしかしたら生きてるかもしれないですけど)、遠峰小夜子も三部作かと勝手に思ってたんですけどね。違いました。
最終決戦ではありませんでしたが、今回も遠峰小夜子の恐ろしさというのは、存分に発揮されていた回かと思います。
いつものごとく連城弁護士経由にて小夜子と会うこととなった特命係は、妊婦の転落死事件を自供した男を、同日同時刻に別の場所で見たとの目撃証言を提供されます。
それをもとに捜査を開始するのですが、小夜子が特命係に「情報提供をした理由」というのがわからず、不気味なんですよ。小夜子の証言が正しければ、自供した男の無実を証明することになるわけですが、あのサイコパスな小夜子が、正義感で動くなんてことあるわけないですからね。そこには間違いなく何かがあるんです。その何かというのが、このストーリーを通しての最大の謎です。
その謎が見えて来ぬまま、特命係は2年前の妊婦転落死事件を捜査しますが、そこにもう一本、同じく2年前に起きたアポ電強盗殺人とういうのが絡んできます。どちらも未解決のままだった事件です。
そんな2つの事件がじょじょに繋がっていき、それぞれの真相には意外と早い段階で辿り着きます。
だがしかし、そこからが本当の勝負です。
「二つの未解決事件」は前半だけで、中盤からは「遠峰小夜子の意図」って感じですね。
最終的にはやっぱり、「右京さんvs遠峰小夜子」という図式の内容にはなっていました。
前回にように緊迫感のある展開ではありませんでしたが、二つの未解決事件から、少しずつ小夜子の意図へと迫っていく過程も面白かったです。
そして辿り着いた小夜子の意図というのが、これまたなかなかに複雑でして、僕は最後に右京さんの説明を聞くまで、ちゃんとはわからなかったです。怪しい人物の目星はついたんですけど、小夜子とどう繋がっていくのかが、全然予想できませんでした。
全て計算の上だとしたら、小夜子というのは本当に恐ろしい女です。
遠峰小夜子は、特命係をも利用して、ゲームを楽しんでいたわけですね。
小夜子役の西田尚美さん、相変わらず不気味さ全開でした。怖いけれど、どこか魅力を感じてしまう、そんなキャラですね。
遠峰小夜子回は、彼女のキャラクター故かとは思いますが、物語にも独特の空気感がある気がします。南井十シリーズとはまた違った不気味さがあります。
今回は子供時代の小夜子や両親も出てきまして、その生い立ちにも少しだけスポットが当てられていましたので、おそらく次回はその辺りももっと深く掘り下げられるのではないかと。
また、遠峰小夜子といえば、毎回必ず登場する連城弁護士の、小夜子の味方疑惑が前シーズンより継続しています。こちらも今回ではまだ終止符が打たれることはなく。依然、敵なのか味方かのかは謎のままです。というか連城さん、いつも出番少ない気がします。笑
小夜子とは縁のある月刊プレスも出てきますが、そちらの女性記者の演技も凄かったです。かなりインパクトありました。
出雲麗音が加わった捜一トリオと特命の絡みも、いい感じで面白くなっています。やっぱり出雲の存在は、相棒に新しい風を吹き込んでくれていますね。
青木年男の仕事の早さにも笑わせて頂きました。笑
あとは何かが足りないと思っていましたら、S19になってから全話に出てきたこてまりが、今回初めて出てこなかったんですね。遠峰小夜子に意識が行ってしまっていたので、放送が終わってしばらくしてから気が付きました。
小夜子と右京さんの決着は今回もつきませんでしたので、まだまだこれが楽しめるというのは、嬉しいことでもあります。
果たして次の小夜子回で、決着がつくのかどうか。楽しみに待ちたいと思います。
第7話『同日同刻』、面白かったです!
ゲスト出演者
それでは次に、第7話『同日同刻』に出演された、主なゲストさんを紹介します。今回は2名です。
西田尚美(にしだなおみ)
連続殺人事件の被告であり、現在は二審の裁判中で未決囚として拘置所に収容されている、遠峰小夜子役で西田尚美(にしだなおみ)さん。
S17第6話『ブラックパールの女』、S18第17話『いびつな真珠の女』に続く、三度目の登場になります。2年前に起きた妊婦転落死事件の犯行を自供した男を、同日同時刻に別の場所で見たという情報を提供するため、特命係を呼び出しました。「平成の毒婦」とも呼ばている天才詐欺師で、意のままに人を操ることができる、超危険人物です。
西田尚美さん、この役で出演されるたびに怖さが増している気がします。怖さもありつつ、どこか人を惹きつけてしまう、悪魔的な雰囲気が素敵でした。西田さん自身が、ほんとにこういうサイコパスなんじゃないかと思えてきちゃうくらい。
松尾諭(まつおさとる)
遠峰小夜子と特命係を繋げた人物で、会話の98%を記憶できるという弁護士、連城建彦役で松尾諭(まつおさとる)さん。
今回が6度目の登場になります。遠峰小夜子回である、S17第6話『ブラックパールの女』とS18第17話『いびつな真珠の女』にはどちらも出ています。それ以外ですと、S15第16話『ギフト』、S16第6話『ジョーカー』、S18第19話『突破口』での登場です。遠峰小夜子の味方ではないか?との疑惑のある弁護士です。
松尾諭さん、今回も登場は冒頭のほんの少しではありましたが、安定の不気味さがありますね。もう少し長く出てきて欲しいですけど。
以上、 今回の主なゲストさんは上記2名になります。
他には、月刊プレスの記者、白石佳奈子役で魏涼子(ぎりょうこ)さん。転落死事件被害者の夫、井原俊樹役で福井博章(ふくいひろあき)さん。妊婦転落死事件の犯行を自供した、須藤龍男役で成田瑛基(なりたえいき)さんなどが、上の2名に続くゲストさんでしょうか。
魏涼子さんは別役で4度目(過去にはS7-1、S13-17、S16-18)、福井博章さんは別役で2度目(過去にはS12-19)、成田瑛基さんは別役で2度目の出演(過去にはS12-7)です。
遠峰小夜子の崇拝者
西田尚美さん演じる遠峰小夜子は、右京さんに「彼女は危険です」と言わせるほど、危ない女です。
天才的な詐欺師でもあり、過去には100人以上もの相手から、真珠の養殖詐欺で3億円も騙し取っています。さらには詐欺に気付いた男性3人を、次々と殺害した容疑も掛けられています。
連続殺人の裁判では一審で死刑判決が下りましたが、現在控訴中でして、拘置所に収容されています。
小夜子には外部に支援者も多いとのことで、そんな人間からの差し入れなのか、彼女は見るたびに新し服を身に付けていてお洒落です。なんともいえない妖艶さも漂わせていますし、まさに「平成の毒婦」です。
特命係との出会いは、S17第6話『ブラックパールの女』でした。「有能な刑事と話がしたい」との小夜子の要望から、連城弁護士経由で初対面を果たします。
彼女は現在拘置所の中にいる状態ではあるのですが、それでも危険な存在なんです。というのも、拘置所から他の人間を意のままに操り、犯罪を犯しているのでは?という疑惑があるんです。
S18第17話『いびつな真珠の女』では、冠城くんが想いを寄せる、キッチンカーを営む新崎芽依が狙われ、間一髪で助かりました。
小夜子が具体的にどのような方法で外部と連絡を摂り、人を操っているのかはまだはっきりわかっていません。特命係と小夜子を繋げた連城弁護士も、実は小夜子の味方であり、彼女の連絡係をしているのでは?との疑いもあります。
小夜子は人の心を操る術に長けているだけでなく、一度見た顔は忘れない「相貌認識能力」という特殊能力も持っています。
今回彼女がもたらした目撃証言は、そんな「相貌認識能力」のある小夜子だからこそ、信憑性があったりもするんです。
妊婦を転落死させたと自供した男を、同日同刻に別の場所で見たんだと。小夜子の能力を持ってすれば、それを記憶に留めておくことは可能ですからね。あと、小夜子は記憶力も半端なくいいです。
つまり小夜子の証言は、犯行を自供した男の「冤罪」を証明するものになるんです。
しかしサイコパスな彼女が、見知らぬ男の冤罪をはらすためだけに、そんな証言をしたとは考えられません。そこにはきっと何か別の目的があるはずだと、右京さんも冠城くんもそう考えますが、それが何なのか、簡単には辿り着くことはできません。
右京さんvs遠峰小夜子の、三度目の対決です。
小夜子は、右京さんの能力というのは、おそらくじゅうぶんに把握しています。
前回は冠城くんの心を操り、まるでゲームのように楽しんではいましたが、一方で特命係の捜査能力は高く評価もしているはずです。
故に今回の目撃情報を特命にもたらしたということは、「真相に辿り着いて欲しい」「特命なら辿り着ける」という算段もあるわけです。
つまり特命係が目撃証言より真相に辿り着くことが、小夜子の望む「何か」を達成することにもなるわけです。
今回は、遠峰小夜子というサイコパスが生まれた背景に繋がる、子供時代の彼女も出てきました。
子供時代の小夜子、怖いです。
演じているのは、佐々木告(ささきつぐ)さんという子役さんですね。
遠峰小夜子の母親は、どうやら彼女が子供の頃に、階段から転落して亡くなっているようなんです。で、その死には小夜子も何かしら関わっているのではないかと。
今後、幼少時代の小夜子がさらにクローズアップされることが予想されます。
連城弁護士は彼女のことを「モンスター」と呼んでいました。
そんなモンスターに対戦相手として選ばれたのが、右京さんです。連城弁護士は「モンスターにはモンスターを」といって右京さんをぶつけました。
遠峰小夜子というモンスターを止められるのは、同じくモンスターである、右京さんしかいません。
今回も小夜子の思い通りに事が運びながらも、右京さんはその意図に辿り着きます。
そしてそこには、初めて顕著になった、彼女の崇拝者の存在がありました。
崇拝者は遠峰小夜子に憧れ、信奉し、模倣します。
そして小夜子はそんな崇拝者を、思いのままに操り利用します。
しかし小夜子は、崇拝者を自分にとって都合よく操るだけではなく、破滅させることもできる、モンスターでした。
その他の見どころ
それでは続いて、第7話『同日同刻』のその他細かい見どころを、少しだけ挙げてみたいと思います。
魏涼子の白石記者
転落死事件の記事を月刊プレスで書いていたのは、白石佳奈子という女性記者です。
ゲスト出演者の項でも紹介させて頂きましたが、演じているのは魏涼子(ぎりょうこ)さんです。
相棒には過去にも三度、別役で出演されていますが、今回はかなりインパクトの大きな役でした。
かなり病んでいるといいますか、ヤバい女です。
最初の登場シーンからヤバい感じは出ていたのですが、終盤ではそれが爆発していました。
どこかシャブ山シャブ子に通じるような部分もあったのではないかと。笑
魏涼子さんは祖父母が上海生まれで、北京語も話せるバイリンガルだそうです。
今回は遠峰小夜子回ではありましたが、一番目立っていたのは、魏涼子さんな気もします。
青木が紅茶
特命係の部屋、右京さんの席に青木年男が座り、紅茶を飲んでいます。
右京さんのカップで。笑
これは特命に依頼された仕事を迅速にこなし、その報告をリモートで行っている際の一場面です。
今回も青木は特命におもいきり使われてました。しかしその仕事を、ものすごいスピードで片づける、有能さも発揮しています。
冠城くんにも「あいつ仕事だけは早いな」って言われてました。笑
以上、今日は相棒season19第7話『同日同刻』についてでした。