第14話『亀裂』
あらすじと感想
相棒season22第14話のタイトルは『亀裂』。放送日は2024年1月31日です。タイトルに「亀」という文字が入っているだけで、亀山くんの身に何かが起こるではないかと深読みしてしまうのですが…どんな「亀裂」の物語なのか、タイトルからだけでは全くわかりません。
ではまず、第14話『亀裂』のあらすじから紹介していきたいと思います。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
ある休日。右京(水谷豊)は、著名な美術コレクター・道明寺(小林隆)とチェス喫茶で一局交え、その策士ぶりに舌を巻く。いっぽう、薫(寺脇康文)は美和子(鈴木砂羽)と共に、陶芸教室に参加。講師は“アート界の若きエース”と評される女性芸術家で、図らずも道明寺がかつて支援した人物だった。そんな中、道明寺のコレクションルームで男性の遺体が発見され、美術品がすべて持ち去られる事件が発生。警察は、ここ1か月で2件発生している、美術品強盗グループの仕業とみていたが、右京はこれまでの手口と違う点があることを指摘する。しかし、その後すぐ、遺体の男性が、マークしていた強盗グループの一員であることが判明。それでも独自の捜査を続行。すると、道明寺に強い恨みを持つ人物が浮上し、意外な事実が明らかになっていく。
右京も認めるチェスの策士と殺人事件の関係は?
連続強盗の背景には闇バイトの影!?
消えた美術品の謎の先に驚愕の真実が!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!
チェス喫茶で過ごす休日の右京さん、片や陶芸教室に参加する休日の亀山夫妻という、プライベートな特命係からの導入でした。これだけでもう、なんだか和む感じの導入です。
で、そこからの事件。
右京さんがチェスをしていた相手は、道明寺という著名な美術品コレクターでして、彼の自宅から遺体が発見されるんです。しかも遺体の身元が誰だかわからない。
さらには彼のコレクションも全て盗難に遭っていることがわかりますので、もう大変。
この殺人事件と盗難事件の真相を究明し、解決に導くというのが、この度の特命係のミッション。
遺体の身元はすぐに判明し、美術品強盗グループの犯行の可能性が高まります。しかし右京さんはそれに疑問を呈し、独自の捜査へ。
いつものことではありますが、序盤はいったい何がどう繋がっていくのか、全くわかりません。
とはいえけっこう早い段階で、道明寺に近い人物が犯行に関わっているであろうことが示唆され、数人がピックアップされますので、そういう意味ではわかりやすさもありました。
で、中盤くらいからだいぶ道筋は見えてくるのですが、果たしてそのままいくのか、いかないのか。
道明寺というコレクターに「何か」ありそうだったので、どんでん返しがくるんじゃないかとは推察できたのですが、その「何か」が最後までわかりませんでした。
一見するとわかりやすそうでいて、けっこう複雑な物語だったのではないかと思います。あちこちに目を向けられる展開でしたので。
まるで最初のチェスの対局が、そのまま事件を巡る対決にもなっていたかのようでした。
右京さん、よく真相を見破れましたよ。さすがです。
さすがといえば、右京さんが一瞬見ただけの亀山家の鍵の番号を暗記しちゃってるのもさすがの記憶力でした。右京さん、いつでも亀山家に侵入できますね。
終わってみれば芸術と歪んだ愛情の物語でして、僕はS20第14話『ディアボロス』を思い出してしまいました。『ディアボロス』とは歪み方は全く違うんですけどね。今回の方はエゴというのが主でしたので。
また、どこかストーカー心理に通じるものもあった気がします。
タイトルの『亀裂』も、陶器の亀裂という目に見えるものと、人間関係の亀裂という目に見えないもの、二つの亀裂に掛けられていたのではないかと。
芸術作品に対するアーティストたちの「想い」というものにも、焦点が当てられていたかと思います。
最後の右京さんの「真の愛情とは手放すこと」という言葉がとても印象的でした。それに対する「手放したものはいつかきっと返ってくる」という亀山くんの言葉も。
深いですね。
芸術家とパトロンが取り上げられたのは、前話の『恋文』から2話連続になります。
ゲストの小林隆さんも、けっこう怖かったですね。こういう俳優さんが裏のある役をやると怖いです。
今回は、チェスや陶芸教室という、休日の特命係を見られたのもまた嬉しい。
最後のこてまりシーンも、ほっこりする温かいものでした。
闇バイトやトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)も取り上げられていて、半グレ集団「スコルピオ」の名前もまた出てきました。
トリオ・ザ・捜一は今回も出番が多く、特命部屋での茶番劇はコントでした。最近は捜一が特命と協力体制を取る傾向が強くなっているような気もします。前回お休みだった益子さんも出てます。
なかなか複雑な物語ではありましたが、だからこその見応えがありました。
美術コレクターをめぐる難事件、楽しませて頂きました。
第14話『亀裂』、面白かったです!
ゲスト出演者
では続きまして、第14話『亀裂』に出演された、主なゲストさんを紹介していきます。
小林隆(こばやしたかし)
著名な美術品コレクター、道明寺吉嗣役で小林隆(こばやしたかし)さん。
コレクターでありつつ、若い芸術家の支援も行っていて、その中には世界で認められまでになった芸術家もいます。3年前に妻を亡くし、現在は豪邸で一人暮らし。チェスが趣味で、チェス喫茶にて右京さんも対局しています。その対局後、自宅で遺体が見つかったとの報を受けました。
小林隆さんは別役で二度目の相棒出演です。一度目はS4第12話『緑の殺意』で、レストランのシェフ役で出ています。前回が2006年でしたので、約18年振りの相棒出演ですね。小林隆さん、僕は勝手に他の回にも出ている気がしていたのですが、まだ二度目だったのですね。
以上、今回の主なゲストさんは、小林隆さん1名になります。
他には、若手陶芸家、島川雪乃役で清水葉月(しみずはづき)さん。世界的な洋画家、横井正孝役で小野健斗(おのけんと)さんなどが、小林隆さんに次ぐゲストさんで出演されています。
美術品コレクターと右京
このたびの物語は、休日の右京さんという珍しい一場面から幕を開けます。
右京さん、チェス喫茶に足を運んでます。
僕はチェス喫茶なるものがあることを初めて知りました。
右京さんはけっこう色んな趣味を持っていまして、チェス、クラシック、落語、紅茶など愛好しています。かつてはクラッシックの流れる名曲喫茶や、行きつけの紅茶専門店が出てきたりもしています。
チェス喫茶が登場するのは今回が初ですね。右京さん、こういうところでも休日を過ごしてるんですね。お休みでもスーツですけれど。
紅茶も用意されていますので、きっと至福の時間なのではないかと。
右京さんと対局している和服姿の男性は、小林隆さん演じる道明寺という著名な美術品のコレクター。自宅にはコレクションルームを有し、そこには数々の名品が所蔵されているようです。また、若い芸術家の支援も行っている人物。
どうやらこのチェス喫茶では、右京さんの強さが知れ渡っているようで、道明寺がそんな噂の右京さんに勝負を挑み、このたび対局することに。
道明寺も強かったようですが、対局の結果、勝ったのは右京さん。
右京さん、道明寺の前には学生チャンピオンにも勝ってましたし、やっぱり相当強いんですね。
道明寺は右京さんの差し手について「全てが正しく無慈悲で冷酷」と評してます。まさに右京さんそのものですね。鋭い評です。
そして事件はここからです。
対局を終えた道明寺のもとに、自宅から遺体が見つかったという知らせが入ります。必然的に右京さんも同行し、自宅へ。
特命係の後ろのお家が、道明寺の豪邸です。
この自宅のロケ地、おそらく過去にもS19第5話『天上の棲家』などで出てきた家と同じではないかと思われます。
遺体は美術品が収蔵されているコレクションルームから見つかり、美術品も全て綺麗になくなっていました。
殺人事件プラス、大規模な窃盗事件です。数々の貴重な美術品が収蔵されていましたので、その被害額は20億円相当という、大きなものに。
遺体の方は身元不明で、道明寺も見ず知らずの男でした。
この一か月ほどで2件、立て続けに資産家宅を狙った美術品強盗事件が発生していましたので、捜査一課は同一グループによる犯行と見て捜査を開始。
しかし右京さんは、これまでの事件とは手口が違う点に着目し、独自の捜査を開始します。
ところがどっこい。そんな矢先、遺体の身元が判明し、なんと捜一がマークしていた強盗グループの一員であることが判明するんです。
つまり、そのグループが道明寺の自宅に侵入し、仲間割れか何かが原因で殺害されたのではないかと。
しかし右京さんは最初の違和感を徹底的に追及する刑事です。特命係はそのまま捜査を継続。
するとその先には、事件の別の顔が姿を現します。
芸術家と支援者
右京さんがチェス喫茶での休日を楽しんでいた頃、亀山夫妻は夫婦で陶芸教室に参加。
二人で仲良くエプロン姿で、楽しそうに作業してます。
美和子さんは美和子スペシャルに使うための大皿を、亀山くんはティーカップを作ってるみたいです。美和子さんのは、先生に植木鉢だと思われてましたけど。美和子さん、「料理の腕が上がると器にも凝り出しちゃう」と。
私事ではありますが、僕も15年ほど前に嫁と二人で陶芸をしたことがありまして、そのときのことを久しぶりに思い出しました。珍作が出来上がったことも。
亀山夫妻に陶芸を教えてくれたのは、「アート界の若きエース」ともいわれている、島川雪乃という女性陶芸家。
この陶芸教室も大変人気があり、亀山夫妻も抽選でようやく参加できたみたいです。
そして島川雪乃は、道明寺に支援を受けたアーティストの一人です。
道明寺に支援を受け、名を馳せるまでになった芸術家は他にもいます。中には既に芸術活動を辞めてしまい、道明寺とは袂を分かってしまった人物もいますが、島川は現在も道明寺と繋がっています。
同じく世界的な洋画家である横井正孝という人物は、近々パリに拠点を移すようですが、その前に道明寺宅を訪れています。
右京さんも横井の名を知っていて、対面した際にはテンション上がって、握手もしてました。
横井さんでかいです。演じている小野健斗さんの身長を調べたところ、187cmもありました。
道明寺は芸術家たちにとって良き支援者です。アーティストはパトロンがいることによって、芸術活動に没頭することができますし、その結果素晴らしい作品を生み出すこともできます。
いわば道明寺という存在は、アーティストにとっても恩義ある大切な存在。
しかしです。
今回の事件に、島川や横井が関わっている可能性が浮上するんです。
その真相を暴く鍵は、道明寺の「もう一つの顔」でした。
この事件は、全て仕組まれたものだったんです。
その他の見どころ
では最後に、第14話『亀裂』のさらに細かい見どころを挙げてみたいと思います。今回は一つだけ。
亀山夫妻の陶芸
陶芸教室で作った亀山夫妻の作品が、どんなふうに完成したのか気になるところ。
まずこちらが亀山くんの作ったティーカップです。
右京さんにも小手鞠さんにも、マグカップ、コーヒーカップと思われてましたが、ティーカップです。
これ、なんと亀山くんは右京さんにプレゼントするために作ったんです。
もらった右京さんも嬉しそうでした。「不器用で愚直、そして温かい」と。この台詞、ちょっとグッときちゃいました。
このティーカップに紅茶を注ぐ姿が見てみたいです。
一方こちらが美和子さんの大皿。
これに近々、美和子スペシャルが盛り付けられることになるわけですね。右京さんと小手鞠さんが、今度は大皿の犠牲になる日も近いです。
小手鞠さんには「素敵な洗面器」と間違われてましたけど。
以上、今日は相棒season22第14話『亀裂』についてでした。