第15話『マッターホルンの殺人』
あらすじと感想
相棒season22第15話のタイトルは『マッターホルンの殺人』。放送日は2024年2月7日です。マッターホルンといえばスイスにある世界的な名峰ですが、タイトルそのまま「マッターホルンで起きた殺人事件」の物語なのかどうか。
それでは最初に、第15話『マッターホルンの殺人』のあらすじから紹介していきたいと思います。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
サイバーセキュリティ対策本部の土師(松嶋亮太)が、特命係に奇妙な動画を持ち込んでくる。土師いわく、スイスの高山・マッターホルンの山中で“完全犯罪”が行われた証拠映像だという。動画には、「善ちゃん」と名乗る配信者が何者かに襲われ、テント内で息絶える姿が映し出されていた。現場がスイスでは完全に管轄外だが、興味を持った右京(水谷豊)は、薫(寺脇康文)とともに独自の捜査を開始する。さっそく、映像から「善ちゃん」が何者かつきとめた右京は、勤め先の芸能プロを訪問。善ちゃんこと善家光明(加治将樹)は、「夢を追う若者を支える仕事に就きたい」と社長に直談判し、6年前から同社で働いていたと分かる。その事務所では現在、ジュニアアイドルグループを売り出し中で、善家はメンバーからも同僚からも慕われていたという。ただ、なぜ急に登山に熱を入れ始めたのかは判然としなかった。そんな中、善家には意外な過去があり、その過去をめぐって一人の少年と深い繋がりがあることが明らかになってくる。
特命係がスイスの高山で越境捜査!?
背景には右京をしのぐ天才少年の存在が
交錯する思いが驚がくの事件に繋がる!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!
はじっちが特命係に事件を持ってくるという、なかなか珍しいパターンでの導入。
生配信中の殺人事件、しかも現場はマッターホルンという、もうこの部分だけでもけっこう濃いです。既に情報が多いですからね。
マッターホルンはスイスの名峰ですので、もしや特命係がスイスまで行くのか?と一瞬思いはしたのですが、通常版ではなかなかその展開にはなりません。
スイス遠征とはいきませんでしたが、捜査の方は色んな方向にぶっ飛んでいきます。
マッターホルンに始まり、天才少年棋士やジュニアアイドルまで登場してきちゃいますからね。
タイトルの時点では、舞台も山の中が中心の物語をイメージしちゃっていたのですが、全くそういうわけではなかったです。一瞬だけ山の中も出てきましたけれど。
今回も、何本かの軸が並行して走る系というよりは、一本の軸に次々と色んなものが絡まりながら走っていくような感じです。今シーズンはそのパターンが多い気がします。そっち系ってけっこう複雑な展開になっていくんですよね。
一番の鍵は、配信中に殺害された被害者と天才少年棋士、この二人の繋がりです。
最初は被害者である「善ちゃん」の身元もわかりませんでしたので、動画だけを頼りにその割り出しをするのが、まず特命係に課せられたミッション。で、身元を突き止めた先に天才少年棋士の宗介くんがいまして、彼が重要人物としてクローズアップされていきます。
犯人はもちろん、殺害された理由もわかりませんので、それらを明らかにするためには、善ちゃんという人物像を紐解いていく必要があります。その解明へと繋がるのが、宗介くんってことですね。
しかも宗介くんがただの少年ではなく、天才棋士というのがまた肝。
「俺に勝ったら教えてあげる」という宗介くんの言葉により、右京vs宗介の対局まで開催されちゃいます。
前話では右京さんのチェスの対局が見れましたが、続けて今度は将棋の対局が見られるとは。
また、右京さんと子供の絡みというのも、やっぱり見ていて面白いですね。
宗介くんから善ちゃんの話を聴き出せたあたりから、捜査はいっきに真相に向けて動きます。
善ちゃんを殺した犯人、その動機、どちらも僕は終盤までわからなかったです。怪しい人物が数名ピックアップされるので、その誰かだろうな、というところまではわかるんですけどね。さらにラストには恒例のどんでん返しまで用意されているので、よく練られてるな~と。
「子供の夢と親のエゴ」の物語でした。
そこに「善ちゃん」という一人の鈍くさいお人好しが出てきて、色んな事件が起きてしまうという。そう書くと善ちゃんがマイナスの存在のように思われちゃいそうですけど、逆です、プラスです。
前話はパトロンのエゴが元凶になっていたお話でしたけど、今話もそれに通じるような部分もあったかと思います。
前話とは違い、今回の終わり方は温かみが残るものではありました。
ゲストの加治将樹さんが、善ちゃんという愛されキャラをいい感じで演じてらっしゃいますので、そのキャラにも癒されます。
宗介くん役の伊奈聖嵐くんも、小生意気な天才棋士がよく似合ってました。天才少年繋がりで、S1第5話『目撃者』のとき子役で出演した、染谷将太さんを思い出しました。だいぶ古いですけれど。
最近特命と距離が近めだった捜一は、今回は登場シーン少ないです。一瞬だけでした。同じく美和子さんもこてまりシーンの一瞬だけでしたね。捜一と美和子さんがこれだけちょこっとしか出てこない回は、S22では初かもしれないです。その分、土師っちと益子さんは出てきてくれましたけれど。
他にも、初めてのBGMが流れたり、エクストレイルで特命係が奥多摩に行ったり、新田神社が出てきたり(僕は神神社巡りが趣味なので)、何かと細かい楽しみどころもあれこれあった回でした。
最後に出てきたバンガローのロケ地は、もしかしたらS11『BIRTHDAY』と同じ気がします。宗介くんの家も、どこかで見た覚えあるんですよね。
ロケ地を掘り下げ始めると、きっとキリがないので、いつもあまり触れないようにはしているんですけどね…。
善ちゃんと天才少年棋士の物語、楽しませて頂きました。
第15話『マッターホルンの殺人』、面白かったです!
ゲスト出演者
では続きまして、第15話『マッターホルンの殺人』に出演された、主なゲストさんを紹介していきます。
加治将樹(かじまさき)
ライブ配信中に何者かに殺害された、善家光明役で加治将樹(かじまさき)さん。
配信は「善ちゃん」という名でしていました。芸能プロダクションの社員で、鈍臭い反面、愛されキャラとして同僚や所属タレントからも慕われています。半年ほど前から登山に凝り始めていて、事件当時はマッターホルンに登ると言って休暇を取っていたそうです。その登山中に殺害されたと見られます。
加治将樹さんは相棒初出演。失礼ながら僕は存じ上げていない俳優さんだったのですが、多くのドラマ、映画、舞台でご活躍されている俳優さんです。髭もじゃでしたので、ぱっと見は年配の方なのかと思いきや、昭和63年生まれの36歳の俳優さんでした。『ミュージカル テニスの王子様』でデビューされたとのことですが、「加治将樹 テニスの王子様」で画像検索しますと、なかなかびっくりな写真が出てきますので、ぜひ。
以上、今回の主なゲストさんは、加治将樹さん1名になります。
他には、天才少年棋士の垣原宗介役で、伊奈聖嵐(いなせいら)さん。ジュニアアイドルのママ、戸嶋佐奈子役で柊瑠美(ひいらぎるみ)さん。垣原宗介の父、垣原駿作役で越村友一(こしむらともかず)さん。垣原宗介の母、垣原七恵役で真下玲奈(ましたれな)さん。芸能プロダクション社長の大菅泰平役で、平野貴大(ひらのたかひろ)さん。将棋センターの席亭、根室和晴役で園岡新太郎(そのおかしんたろう)さんなどが、加治将樹さんに次ぐゲストさんで出演されています。
越村友一さんは別役で4度目(過去にはS14-10、S19-4、S21-20)、真下玲奈さんは別役で2度目(過去にはS18-19)、平野貴大さんは別役で2度目(過去にはS8-8)、園岡新太郎さんは別役で5度目(過去にはS8-10、S11-1、S11-6、S13-5)のご出演です。
余談ですが、柊瑠美さんは『千と千尋の神隠し』で千尋の声を演じた女優さんです。
マッターホルンでの殺人
土師太が、ある動画を右京さんと亀山くんに見せるため、特命係の部屋を訪れます。
はじっちは普段は特命を避けながらも捕まってしまうキャラではありますが、今回は自分から飛び込んできてます。なんやかんや、特命のことが嫌いではないんでしょうね。
完全に青木年男ポジションですけれど。
土師っちが二人に見せた動画は、「善ちゃん」という配信者が、マッターホルンの山頂付近から生中継で配信していたものになります。
動画のタイトルは『【マッターホルン・テント泊】登頂1日目 猛吹雪ライブ配信!!』。どうやら外は吹雪いているようで、テントの中からの配信です。
善ちゃんはこれまでも登山の動画を配信しています。
この動画でも登山の様子を語ったりしていました。「宗介」という人物に呼びかける場面も。
マッターホルンといえばスイスの名峰。一人で登頂というのが可能かどうか不明ではありますが、善ちゃんは一人っぽいです。
そして事件はこのライブ配信中に起きました。
善ちゃんは配信の途中で何かに気付き、テントの外に出て襲われました。そしてなんとかテント内に戻ったものの、直後に絶命したとと思われます。
事件現場はマッターホルンの山中ですので、もし捜査をするとなると、それはスイスの警察になります。
まだ遺体が発見されたわけでもなく、事件化もされていません。情報源はこの配信のみ。
で、はじっちに煽られつつも、この動画におもいっきり興味を持った特命係も、独自の捜査を開始します。
まず「善ちゃん」の身元すら不明でしたので、それを突き止めるところから。
ヒントは映像だけですが、そこはさすがの右京さん、あっさりと突き止めちゃいます。
善ちゃんは善家光明という名前で、芸能プロダクションの社員でした。6年前に「夢を追う若者を支える仕事に就きたい」と、現在のプロダクションの社長に直談判し、就職。
鈍臭いところがありつつも、同僚や所属タレントにも慕われる、いわゆる「愛されキャラ」だったようです。誰かに恨まれるような人間でもありませんでした。
こちらは善ちゃんが働く芸能プロダクションを、特命係が訪れた一場面。
このプロダクションでは、現在ジュニアアイドルグループを売り出し中とのことで、その子供たちとママたちです。
善ちゃんはこの子供たちからも慕われていたみたいですね。
そんな善ちゃんが登山を始めたのは半年前ほど。
事件の直前には「マッターホルンに登る」と言って休暇を取っていました。
たった半年の登山歴でマッターホルンに登るというのも、かなりハードルが高いのではないかと思われますが、善ちゃんがそこまでする何らかの理由があるはずです。
そして善ちゃんの人物像を掘り下げて行きますと…
善ちゃんは過去に、プロ棋士の養成機関である奨励会の会員であったことが判明します。ほんの一握りの強者しか在籍できない会でして、善ちゃんもかなりの実力を有していたことが窺えます。
そして善ちゃんが通っていた将棋センターに、善ちゃんが親しくしていた少年がいることがわかります。
その少年こそ、動画で善ちゃんが呼びかけていた「宗介」でした。
天才少年棋士
善ちゃんと交流のあった「宗介」は、天才棋士と呼ばれる少年でした。
まだ小学生にもかかわらず、その実力は飛び抜けていて、将棋センターでは敵う相手がいないほど。
こちらが宗介くんです。
将棋センターにて、善ちゃんはよく宗介くんと将棋を指していたと。
善ちゃんも奨励会に籍を置くほどの実力者ですので、天才少年の宗介くんとは、良き対局相手だった様子。宗介くんは善ちゃんの自宅でも将棋を指していたみたいです。
善ちゃんはプロ棋士にはなれず奨励会を去っていますが、一方の宗介くんは、これから奨励会に入り、プロ棋士になることだって、夢ではありません。
宗介くんの才能や可能性を目の当たりにしている善ちゃんは、宗介くんに奨励会に入ることを強く勧めています。
しかし宗介くんは…
父親が弁護士で、自分も弁護士になるのが夢なんだと。
善ちゃんはどうやらかなりお人好しなようでして、宗介くんや芸能プロダクションの子供たちに対しても、その将来について、親身になって話をしていたことが窺えます。
善ちゃんは配信された動画の中でも宗介くんに呼びかけていますし、この度のマッターホルン登山についても、宗介くんが何か事情を知っている可能性があります。ですので特命係も宗介くんから話を聞こうとするのですが…
この宗介くんが、なんとも小生意気な子供でして、そう簡単には話をしてくれません。
で、右京さんに対し、「俺に勝ったら教えてあげる」と。
右京さんもそれに応え、対局が実現。
その場にいた大勢が見守る中での対局です。
右京さんはチェスはかなりの腕前ですが、将棋もけっこう強いです。しかし相手は天才少年棋士。そう簡単にはいきません。
さらには後日、今度は公園でチェス対決です。今度は右京さんから宗介くんに対局を申し込みました。
宗介くんはチェスもかなりの腕前とのこと。
右京さん、前話でもチェスの勝負をしていますので、これで二話続けてのチェスシーンですね。
右京さんと宗介くんの絡みも楽しめます。右京さんが子供と対峙するときって、独特の面白さがあるんですよね。
将棋とチェス、この勝負がどうなったのか、ここでは書きませんが…
特命係はこれらの対局により、善ちゃん殺人事件へと繋がる大きなヒントを手に入れることには成功します。
善ちゃんは、宗介くんのために「マッターホルン登頂」を決行していたんです。
登山は宗介くんの「夢」のためでした。
そして善ちゃんは、子供たちの「夢」を守ろうとして、事件に巻き込まれてしまったんです。
その他の見どころ
では最後に、第15話『マッターホルンの殺人』のさらに細かい見どころを挙げてみたいと思います。今回は一つだけ。
特命を訪れる益子
特命係が鑑識にいる益子さんを訪ねる場面は、よく出てきます。
しかし逆に益子さんが特命係の部屋を訪れるというのは、これまでの相棒でもほんの数回しかありません。
今回はそんな貴重な場面が久しぶりに見れました。
益子さん、鑑識結果をわざわざ持って来てくれたんです。
前回益子さんがこの部屋を訪れたのは、S19ではないかと思います。そのときは青木年男もいました。
そのうち益子さん、こてまりにも顔を出して欲しいですね。
以上、今日は相棒season22第15話『マッターホルンの殺人』についてでした。