第18話『薔薇と髭との間に』
あらすじと感想
本日はシーズン18第18話についてです。
相棒season18第18話のタイトルは『薔薇と髭との間に』。放送日は2020年3月4日です。「薔薇と髭と」といいますと、初期の相棒でちょいちょい登場していた、ヒロコママが経営するゲイバーの名前を思い出す人も多いかと思います。しかしヒロコママが最後に登場したのは、もう10年以上前です。果たしてあのヒロコママに関係した話なのかどうか。
ではまず最初に、第18話『薔薇と髭との間に』の、ざっくりなあらすじから紹介していきたいと思います。
リゾート開発会社である如月リゾートが、オーベルジュの契約のために用意した現金1億円が、運搬の途中で何者かに強奪される事件が発生します。運搬は如月リゾートの社員である鶴橋光太郎が一人で行っていて、手土産を買うため立ち寄った和菓子屋の駐車場にて、背後から何者かに襲われ、現金を奪われてしまいました。光太郎はその際に負傷し、命に別状はなかったものの、入院を余儀なくされます。そして光太郎と懇意にしていたゲイバーのママ・ヒロコは、旧知の仲である右京さんに「こうちゃんを傷ものにした犯人を捕まえて」と捜査を依頼します。さっそく捜査を開始した右京さんと冠城くんが光太郎に直接事情を聴いたところ、契約金の運搬は急遽決まったことだとわかります。しかし強奪現場は人通りもなく防犯カメラもない場所でしたので、右京さんは犯人が事前に入念な下調べをしたうえでの、計画的な犯行だったのではないかと推理します。その後右京さんと冠城くんは如月リゾートを訪れ、現金の運搬を指示した光太郎の上司に話を聞いていたところ、突然光太郎の兄である宗一郎が押し掛けてきます。宗一郎は課長である押田と話がしたいとやって来ました。光太郎と宗一郎の兄弟の実家は元々熱海で旅館を経営していましたが、現在は如月リゾートが買収し、運営しているとのこと。買収前には経営が悪化していて、その原因は宗一郎が客に暴力を振るったという事件が関係しているとの情報も。そんな中、強奪事件の関係者が遺体で発見され…。果たして1億円の強奪は誰の犯行なのか?殺人事件の犯人は?特命係が真相を暴き出します。
おおまかではありますが、だいたいこんな感じの内容になります。
今回も面白かったです!
まず、あのヒロコママがなんと12年振りに登場というのが、相棒ファンとしてはめちゃめちゃ嬉しい。
ヒロコママといえば、亀山くんシリーズでちょいちょい登場していたゲイバーのママで、なかなかに濃ゆいキャラです。初期相棒ではお馴染みのキャラだったにも関わらず、亀山くん卒業後は一度も登場していなかったんです。
そんな彼女(彼)が、12年もの時を経て再登場。亀山くん時代のみ複数回出ていたゲストさんが、こんなふうに同じ役で久しぶりに登場するのは、ヒロコママが初めてのパターンです。
ほんとに、まさかのヒロコママです。よくぞ再登場してくださいました。ありがとう。
今回の事件は、そんなヒロコママから久しぶりに右京さんに電話が入り幕を開けます。
ヒロコママはこれまでも特命係に事件を連れてくる存在でしたけれど、それは変わってないですね。
始まりは1億円の強奪事件です。現金の運搬はごく限られた人間にしか知らされていない情報でしたので、おのずと犯人はその誰か、もしくは関係者に絞られてきます。
契約のため1億円を支払う側だったのは、リゾート開発会社の如月リゾート。受け取る側だったのは洋食店。そして実際にお金を運搬していたのは、如月リゾートの社員1名。
捜査を進める中で、襲われた社員の兄という存在が突然姿を現したことで、焦点はこの兄弟へと移っていきます。中盤からは、この兄弟の物語、という印象が強かったかと思います。
タイトルの「薔薇と髭との間に」は、ヒロコママの店名に掛かっているのはもちろんだと思いますけど…中心となる兄弟が、弟は美男な感じで、兄は髭を生やしていましたので、それで薔薇と髭なのか?ともちょっと思ってしまいました。全然関係ないかもしれないですけど。笑
事件の方は、現金の強奪だけではなく、その後も殺人事件が新たに起こったりしますが、恒例のどんでん返しで犯人逮捕に至ります。きっと勘のいい方は、早い段階である程度犯人の目星はついたのかもしれませんが、鈍い僕は最後までわからず。
兄弟の旅館や、親子の洋食店を巡る真相が暴かれるにつれ、買収の汚い手口も明らかになり、恐ろしいな~とも思ってしまいました。実際に同様のことがあるのかどうかはわかりませんが、もしあるとしたら、ほんとに恐ろしいことです。罠に嵌められ、買収を受け入れざるを得なくなった側に、同情せずにはいられません。
犯人の方に関しては、結果的に悲しい終わり方にはなってしまいましたけれど、もう一つの兄弟のストーリーに関しては、希望の残るものだったかと思います。
また、ヒロコママのおかげで空気が和む場面も多かったです。
今回、青木年男はお休みでしたけれど、ヒロコママが青木を遥かに超える、笑いの部分をカバーしてくれていました。
右京さんの、捜一に対する「あと一つだけ、本当に」も地味に僕はウケてしまいましたけれど。笑
最後のゲイバーでやりとりもたまらなかったです。ヒロコママには、是非またの登場を期待したいです。
第18話『薔薇と髭との間に』、面白かったです!
ゲスト出演者
続きまして、第18話『薔薇と髭との間に』に出演された、主なゲストさんを紹介していきます。今回は4名になります。
細田善彦(ほそだよしひこ)
現金の運搬中に襲われてしまったリゾート開発会社の社員、鶴橋光太郎役で細田善彦(ほそだよしひこ)さん。
背後から何者かに襲われ現金を奪われ、その際に負傷して入院を余儀なくされます。ヒロコママのお気に入りで、ママからはハニーと呼ばれています。
細田善彦さん、失礼ながら僕は存じ上げていない俳優さんだったのですが、ドラマや映画など数多くの作品に出演され、ご活躍されている俳優さんでした。ヒロコママのお気に入りだけあって、イケメンです。
夙川アトム(しゅくがわアトム)
続いて、突然現れた鶴橋光太郎の兄、鶴橋宗一郎役で夙川アトム(しゅくがわアトム)さん。
宗一郎と光太郎の実家は、熱海で評判の旅館だったのですが、宗一郎が客に暴力を振るった事件をきっかけに経営が傾き、リゾート開発会社に買収されたという過去があります。
夙川アトムさんは元お笑い芸人さんです。2011年に芸人活動を休止し、以降は俳優さんに専念されているそうです。相棒には今回が別役で二度目の出演で、過去にはS13第3話『許されざる者』に出ています。
清水昭博(しみずあきひろ)
続いて、洋食店「みやくら」の店主、宮倉進役で清水昭博(しみずあきひろ)さん。
デミグラスソースが評判の洋食店ですが、食中毒を出してしまったことで経営が悪化し、リゾート開発会社に経営を譲渡する話が進んでいたお店の店主です。
清水昭博さんは、かつて『太陽にほえろ!』にも出演されている俳優さんです。相棒には今回が別役で二度目の出演で、過去にはS3の第1話~3話の三部作『双頭の悪魔』に首相秘書官の役で出ています。話数でいいますと、今回が4話目の出演ということになります。
深沢敦(ふかざわあつし)
続いて、ゲイバー「薔薇と髭と…」のママであるヒロコ役で、深沢敦(ふかざわあつし)さん。
ヒロコママと呼ばれています。今回の事件で被害者となったリゾート開発会社の面々が、「薔薇と髭と…」の常連で、襲われた光太郎はヒロコママのお気に入りでした。
深沢敦さんは、ヒロコママとして12年振りの相棒出演になります。劇場版も含めますと、今回が8回目の出演です。以前の出演作は全て亀山くんシリーズになりますので、神戸くん、カイトくんを飛び越えて、冠城くんでの再出演という、相当珍しいパターンでの出演になります。
以上、今回の主なゲストさんは上記の4名になります。
他には、リゾート開発会社である如月リゾートの課長、押田洋彰役で大内厚雄(おおうちあつお)さん。同じく如月リゾートの部長、高山敬依子役で宗清万里子(むねきよまりこ)さん。洋食店「みやくら」の店主の息子、宮倉涼役で溝口琢矢(みぞぐちたくや)さん。旅館の支配人である下山憲一役で橋沢進一(はしざわしんいち)さんなどが、ちょいゲストさんで出演されています。
大内厚雄さんは別役で3度目(過去にはS11-9とS12-17)の出演、橋沢進一さんはなんと今回が全て別役で8回目(過去にはS1-9、S2-12、S3-9、S7-10、S9-16、S14-11、S16-15)の出演という常連さんです。溝口琢矢さんは別役で二度目の出演で、過去にはS9第13話『通報者』で、中学生の役でがっつり出ています。
ヒロコママが12年振りに再登場
ヒロコママといえば、初期相棒ではちょいちょい姿を見せた、お馴染みの登場人物です。
おかまちゃんでして、ゲイバー「薔薇と髭と…」のママでもあり、なかなかに濃いキャラでもあります。
これまでの登場は全て亀山くんシリーズでした。神戸くん、カイトくんのときは一度も出てきていません。
初登場はS1の第3話『秘密の元アイドル妻』で、目撃者として登場しています。そこで亀山くんのことを気に入ってしまい、特命係との交流が始まります。以降も特命に事件を持ち込んでくる、そんな役回りで何度も登場しています。
これまでのヒロコママ登場回を以下にまとめてみました。
- S1第3話『秘密の元アイドル妻』
- S1第6話『死んだ詐欺師と女美術館長の指紋』
- S2第20話『二分の一の殺意』
- S3第17話『書き直す女』
- S5第18話『殺人の資格』
- S6第13話『マリリンを探せ』
- 劇場版『絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』
以上、劇場版を含めこれまで7話に登場していることになりますので、今回が8話目です。
ヒロコママ最後の登場である劇場版の公開が2008年でしたので、なんとそこから約12年の時を経て、めちゃめちゃ久しぶりの再登場ということに。
ヒロコママが特命係に捜査を依頼する電話をかけ、再会が叶いました。
右京さんとの久しぶりの再会は、病院です。冠城くんとはこれが初対面です。
伊丹さん、芹沢さんとも久しぶりの再会で、二人のびっくりした顔も印象的でした。
ヒロコママは、冠城くんのことは最初あまり信用していない感じでした。きっとヒロコママの中では、右京さんの相棒といえば亀山くんですからね。冠城くんに対し、「大体あんたね、見た目からしてね、信用できないのよ」って言ってましたし…笑。それでも事件が解決する頃には、だいぶ打ち解けたのではないかと思います。
12年も経ってはいますが、ヒロコママ全然変わってなくて、健在なのが嬉しいです。
ヒロコママの口からは「薫ちゃん」という名前も出てきまして、懐かしくなりました。
右京さんと冠城くんは、この後「薔薇と髭と…」にもお邪魔しています。
今回だけで全部で3回もお邪魔していて、まずこちらが一回目。オープン前と思われます。
「薔薇と髭と…」の店内、かつてとは少し違う感じがしたのですが、改装したのかもしれないです。
そしてこちらが2回目。今度はお店の開いている時間帯にお邪魔していて、他のお客さんもいます。
以前、はるな愛さんも「薔薇と髭と…」の従業員として出演されたことがありましたので、今回もサプライズでこっそり店内にいるかも?とちょっと期待してしまったのですが、残念ながら姿は見えませんでした。
ヒロコママに会えたので、それだけでも大満足ですけれど。
そしてこちらが3回目。今度はカウンターで飲んでます。
2回目のときと同じく、右京さんも冠城くんも、飲んでいるのは焼酎でしょうか?鏡月のボトルにも見えます。だとしたら二人で焼酎というのも珍しいですね。
そしてヒロコママといえば、そのファッションもいつも過激でしたけれど、そちらも相変わらずで安心しました。笑
右京さん冠城くんが「薔薇と髭と…」を訪れるだけではなく、ヒロコママの方からも特命係の部屋に来ちゃってます。
久しぶりの再登場で、ちょこっとしか出てこないと逆に残念だったりするのですが、これくらい頻繁に出てくれると嬉しいですね。
ところで、演じている深沢敦さん自身、ゲイなのかどうか?というのが僕はずっと気になっていたのですが、これまでちゃんと調べたことがありませんでしたので、この機会にググってみたところ…。
どうやら深沢敦さんはゲイではないっぽいです。オカマの役は多いみたいですけれど。
僕は相棒での姿しか見ておりませんので、もうゲイのイメージになっちゃってるんですけどね。笑
ちなみに深沢さん、タイ旅行が趣味で、タイ語に堪能だと、Wikipediaに書いてありました。料理も得意みたいです。
(画像出典:https://talent.thetv.jp/)
なにはともあれ、ヒロコママの元気な姿を久しぶりに見ることができて、本当に嬉しいです。こういう再登場はたまりません。
是非またちょいちょい出てきて欲しいですね。
松尾貴史さんのホームレス一郎くんとか、高橋惠子さんの蓮妙とか、何シーズンもの時を経ての登場というのは、それだけでテンション上がってしまいます。
ヒロコママと同じように、亀山くん時代のみ何度か出てきた登場人物というのは、数人います。松下由樹さんの武藤かおり弁護士、マギーさんの若杉栄一、西村雅彦さんの鹿手袋敬介、奥貫薫さんの美咲先生などでしょうか。
ヒロコママに続き、その辺りにもぜひ再登場して欲しいです。
守る者と壊す者
事件の一つの形として、「守ろうとする側vs壊そうとする側」という図式が成り立つものは、往々にしてあるかと思います。
まさに今回の事件は、そのような図式のものだったのではないかと。
前話もそうでしたけどね。守ろうとする側が冠城くんで、壊そうとする側が遠峰小夜子でした。
今回は、守ろうとする側が、熱海の人気旅館だったり、デミグラスソースが評判の洋食店だったりします。
こちらが熱海の旅館です。
余談ですが、こちらのロケ地は厚木の七沢温泉にある「元湯玉川館」という旅館みたいです。
続いてこちらが洋食店。
同じく余談ですが、こちらのロケ地は大田区にある「蓮月」という古民家カフェとのこと。
どちらも素敵な雰囲気の旅館と洋食店です。
今回はこの素敵な場所を壊そうとする側が、リゾート開発会社の如月リゾートということになります。
もちろん一概に「壊す」という行為が悪だとは思いません。壊して新しいものを生み出すということもあるでしょうし、それがプラスに働くことも多々あるかと思います。
しかし、ただ己の私利私欲のために、誰かの大事にしているものを壊そうとする行為は、許されるものではありません。壊すというよりも、「奪う」という言葉の方が当てはまるかもしれないですね。
旅館の兄弟も、洋食店の親子も、自分たちが大事にしてきたものを守りたかったんだと思います。
結果として守ることができなかったとしても、壊されても、奪われても、また一から作り直していけばいいと、最後の兄弟のシーンは、そう思わせる希望がありました。
兄弟の旅館も、親子のデミグラスソースも、また一から作り直して、前よりもいい旅館に、いいお店になったらいいですね。
その他の見どころ
では次に、第18話『薔薇と髭との間に』の、そのほか細かい見どころをいくつか挙げてみたいと思います。
溝口琢矢さんの成長
ゲスト紹介の項でも少しだけ触れたのですが、今回洋食店の息子役で、溝口琢矢(みぞぐちたくや)さんという俳優さんが出演されています。
登場シーンはそんなに多くなかったのですが、あれ?この俳優さんどっかで見たことあるな~と思ってたんです。で、放送後に調べてみたところ、相棒でした。笑
前述もしましたが、過去の出演はS9第13話『通報者』で、事件を目撃した中学生の役でがっつり出てます。2011年1月に放送された回です。
ですので今回、9年振りの相棒出演ということになります。前回と今回の写真を並べてみました。
前回の出演時は15歳とかだと思うので、当たり前ですけれど、大人になってますね。溝口さんは現在24歳とのこと。
子役で相棒に出て、大人になって再出演というのは、加藤清史郎くんの例もありました。溝口さんの場合、清史郎ほど年齢の振り幅はないものの、こういうパターンは嬉しいですね。
次はぜひ、染谷将太さんあたりにも再出演して欲しいです。
角田を呼ぶ右京
特命係の部屋に、角田課長が「暇か?」と言いながら入ってくるのは定番です。
た~まに組対5課の部屋にて、特命係も含めみんなでお話するような場面もありますが、基本的には角田課長が特命の部屋に入り、お話するパターンです。
しかし今回、特命の部屋の中から、組対5課にいる角田課長に、右京さんが声を掛けるという珍しいシーンが。
これはかなりレアなパターンではないかと思います。自信はないですけど、もしかしたら初めてかもしれません。
角田課長自身も、「そっちから俺を呼ぶなんて珍しいじゃないの」って言ってました。ちょっと嬉しそうでした。笑
橋沢進一さん
ゲスト紹介の項でも触れましたが、旅館の支配人として出演した、橋沢進一(はしざわしんいち)さんという俳優さんに関してです。
この方です。
顔を見た瞬間に、あれ、この人よく見るな~とは思ったんです。
しかし、まさか今回が相棒に全て別役で8回目だとは、思ってもみませんでした。8回目ってことは、ヒロコママと同じですからね。
もしかしたら、僕が把握していない回もあるかもしれませんので、もっと多いかもしれません。
全てちょい役での出演ですが、過去の出演回を書き出してみました。
- S1第9話『人間消失』
- S2第12話『クイズ王』
- S3第9話『潜入捜査~私の彼を探して!』
- S7第10話『ノアの方舟~聖夜の大停電は殺人招待状!』
- S9第16話『監察対象 杉下右京』
- S14第11話『共演者』
- S16第15話『事故物件』
以上ではないかと。
ここまでたくさん出演されていますと、次回も楽しみになってしまいます。
髭の里
事件解決後、ゲイバー「薔薇と髭と…」にて、ヒロコママの口から花の里が話題に上りました。
花の里がなくなっちゃったので、うちの店を花の里にしたら?と。
ヒロコママ、なんと看板も「花の里」に変えてもいいとまで言ってます。
その後、「薔薇と髭と…」と「花の里」が合体し、「薔薇の里」と「髭の里」が新しい店名の候補に。笑
僕は個人的には「髭の里」がかなりセンスのいい店名ではないかと思ってしまいました。
花の里の復活がもしないのだとしたら、ぜひとも「髭の里」でいって欲しいです。笑
以上、今日は相棒season18第18話『薔薇と髭との間に』についてでした。