第19話『突破口』
あらすじと感想
本日はシーズン18第19話についてです。
相棒season18第19話のタイトルは『突破口』。放送日は2020年3月11日です。おそらく事件解決への何かしらの「突破口」に焦点が当てられたストーリーかと思うのですが、タイトルからだけでは内容が推測できません。
それではまず、第19話『突破口』のあらすじから、おおまかにではありますが、紹介していこうと思います。
大手ゼネコン会社の社員が社屋から転落死するという事件が発生します。亡くなったのは足立という男で、彼の勤務先は国の開発事業をめぐる水増し請求疑惑が現在取り沙汰されている会社で、与党幹事長による口利きも疑われていました。足立はまさにその渦中にいた人物で、水増しに関する会計処理を行ったとされる若手社員であり、近々地検による事情聴取が行われる予定でした。転落現場には争ったような形跡があったり、遺体の指には異様な骨折があったり、不審な点が多かったにも関らず、警察上層部のリークにより、足立の死は既に自殺として処理されようとしています。捜査一課も自殺として報告書をまとめるよう指示されていて、関係者の事情聴取すら許されず。納得のいかない伊丹さんと芹沢さんは、青木をけしかけて特命係に捜査をさせようと目論見ます。青木から見せられた捜査資料から、権力による口封じ殺人である可能性をにらんだ右京さんと冠城くんは、すぐに独自の捜査を開始し、事件の第一発見者である、嘱託社員の山野の自宅を訪ねます。山野は事件の夜、激しい雨の中で会社に忘れたスマホを取りに戻った際に、怪しい人影を目撃したと証言します。しかし山野は、目撃者になったことで自分も狙われるのではないかとひどく怯えてしまい、及び腰になってしまいます。その後右京さんが、亡くなった足立の会社の経理部長に接触したところ、内村刑事部長から捜査の中止を命じられることに。明らかに警察に圧力が掛けられたことが窺えますが、それでも特命係は捜査を止めません。気弱な目撃者の証言が、事件解決の糸口となるのか？果たして特命係は、それを突破口にして真相を明るみにすることができるのか？そして右京さんは大きな賭けへと打って出ます。
ざっくりではありますが、だいたいこんな感じの内容になります。
今回も面白かったです！！
大きな権力に対する特命係という、相棒ではお馴染みの構図の事件です。
口封じ殺人の可能性が高い事件が、圧力がかかり自殺として処理されようとしていて、一課も捜査をすることができず、真相究明できるのは特命係のみ。
そして、その突破口となるのが、中本賢さん演じる目撃者の山野です。しかしです、この山野がとっても弱気なんです。証言をしたら次は自分が狙われるのではないかとビビってしまっていて、なかなか役に立ちそうにはありません。
山野が事件解決への鍵を握る人物であろうことは、前半からも推測できるのですが…。目撃者として大きな役割を担うのかと思いきや、終盤にかけて予想外の展開へと突き進んでいきます。
特命係vs権力という、構図としてはけっこうわかりやすいストーリーなんですけど、真相はそんなに単純ではないという、一ひねりも二ひねりも加えられた仕上がりになっていました。
とっても相棒っぽいというか、相棒らしいストーリーでした。
どことなく、劇場版Ⅰ『絶対絶命～』に通じるような、そんな物語でもありましたね。
どんでん返しは相棒の常ですが、今回は最後にもおまけのようなどんでん返しもついていて、お得感もあります。笑
青木や捜一コンビとの絡みも楽しめましたし、正義感の強い益子さんも見れました。あとは、まるで山野に催眠術をかけているかのような右京さんだったり、全力で走る右京さんもよかったです。走る右京さんというのは、僕はどうしてもつい笑ってしまうんですけどね。笑
最初から最後まで、全体を通して完成度の高い、面白いストーリーでした。
予想外だったのは松尾諭さんの連城弁護士です。この二話前に再登場したばかりですので、一話挟んで再び出てくるというのは、かなり珍しい形です。登場はほんの一瞬でしたけれど。しかも右京さんからのアプローチという驚きの登場で、今後への期待が膨らんでしまいます。
また、今回のゲストさんである中本賢さんと野仲イサオさんですが、二人とも以前同じ回にゲスト出演されていますので、その二人が再び同じ回に別役で出演というのも、これまた珍しいパターンになります。
前々話では西田尚美さんの遠峰小夜子の再登場と共に、朝倉あきさんの新崎芽依も再登場というサプライズ。そして前話では12年振りのヒロコママ。最近かなり変則的な再登場、再出演の流れになっているような気がします。もちろん新鮮で楽しめるので、全然ありなんですけどね。
S18はまだ最終話SPが残ってますけれど、今から来シーズンの再登場キャラなども、楽しみになってきちゃいます。
そして最終話前、通常版ではS18最後の回となる今回の物語は、個人的に大満足の回でした。
第19話『突破口』、面白かったです！！
ゲスト出演者
それでは次に、第19話『突破口』に出演された、主なゲストさんを紹介していきます。今回は3名です。
中本賢（なかもとけん）
転落死した社員と同じ大手ゼネコン会社に勤務する嘱託社員で、遺体の第一発見者である、山野稔役で中本賢（なかもとけん）さん。
転落事件の夜、会社に忘れたスマホを取りに行き、遺体を発見することとなります。後の事情聴取にて、その際に不審な人影を見たとも供述しています。亡くなった社員とは親しい間柄でした。
中本賢さんは、今回が別役で二度目の相棒出演で、過去にはS7の元日SP『ノアの方舟～聖夜の大停電は殺人招待状!』にフリーライターの役で出ています。中本賢さん、僕は個人的には『釣りバカ日誌』のハマちゃんのお隣さんの印象が強いのですが、もう少し上の世代だと、コメディグループのメンバーで、「アパッチけん」さんというイメージも強いみたいですね。
野仲イサオ（のなかいさお）
続いて、大手ゼネコン会社の経理部長、竹田晴彦役で野仲イサオ（のなかいさお）さん。
転落死した社員の上司で、水増し疑惑などについて実際に指示を出したのではないかと思われる人物です。嘱託社員の山野とも古くからの顔見知りです。
野仲イサオさんは、今回が別役で三度目の相棒出演です。一度目は中本賢さんと同じく、S7の元日SP『ノアの方舟～聖夜の大停電は殺人招待状!』で、大学講師の役で出てます。二度目はS14第13話『伊丹刑事の失職』で、雑誌の編集長役での出演です。
松尾諭（まつおさとる）
続いて、会話の98％を記憶できるという恐るべき頭脳の持ち主、弁護士の連城建彦役で松尾諭（まつおさとる）さん。
登場シーンはほんの少しですが、この事件の被告人を弁護することになり、最後の方で姿を見せました。少しの登場でも不気味なインパクトのある人物です。
前々話の『いびつな真珠の女』で出てきたばかりですので、一話挟んでの再登場という、珍しい形です。松尾諭さんは連城弁護士として、今回が5度目の相棒出演です。
以上、今回の主なゲストさんは上記の3名になります。
他には、転落死したゼネコン会社の社員、足立和也役で関口まなと（せきぐちまなと）さん。与党の幹事長、松木大輔役で児玉頼信（こだまらいしん）さん。捜査二課の刑事、永井真一役で鈴木豊（すずきゆたか）さんなどが、ちょいゲストさんで出演されています。
児玉頼信さんは今回が別役で4度目（過去出演はS2-11、S6-19、S12-10）、鈴木豊さんも今回が別役で4度目（過去出演はS8-1、S9-5、S13-10）の出演になります。
関口まなとさんは、なんと竹下景子さんの息子さんでした。コメント欄にて教えて頂きました。竹下景子さんはS14第16話『右京の同級生』に出演されていますので、親子で相棒出演です。
中本賢の気弱な目撃者
転落死した足立和也は、国の開発事業をめぐる水増し請求疑惑の渦中にある人物でした。経理の担当として、水増し請求に深く関わっていたと考えられ、近く地検による聴取も行われる予定だったと。
その彼の遺体を最初に発見したのが、中本賢さん演じる嘱託社員、山野です。彼は忘れ物を取りに会社に戻ったところ、遺体を窓から見つけてしまうことに。
山野の忘れ物というのはスマートフォンで、会社に置き忘れていることを教えてくれたのは、亡くなった足立です。
山野は亡くなった足立とは、部署も年齢も違いますが、親しく付き合っていました。二人で将棋したりもしてます。
友人としてとってもいい関係だったであろうことが窺えます。
そんな仲のいい相手が、突然の転落死。その第一発見者となってしまうことって、とても辛いことだと思います。
第一発見者というのは、捜査上でも重要度の高い存在になるかと思いますが、山野は翌日の右京さんたちの聴取にて、怪しい人影を見たことをも思い出します。つまり、遺体の第一発見者であるとともに、殺人事件の犯人らしき人物の、目撃者にもなってしまうわけです。
事件解決への鍵を握る、とっても重要な人物になってしまった山野。
この事件は、早々に外部から警察に圧力がかかり、自殺として処理されようとしていました。しかし現場の争ったような状況や、山野の怪しい人影を見たという証言により、口封じのための殺人事件である可能性が高まります。
証言によりさらに存在の重要度が増した山野ですが、彼はとっても臆病なんです。足立が口封じのために何者かによって殺害されたとしたら、次に狙われるのは、目撃者となってしまった自分なのではないかと怯えます。そんなふうに思ってしまうのは当然かもしれませんけれど、彼は人一倍動揺して、ビビってます。
その結果、なぜか右京さん冠城くんと一緒に、鍋を囲むことに。笑
これは山野を一人にするのが心配だった右京さんの計らいです。こんなふうに誰かの家で特命係が鍋をつつくという、とっても貴重なシーンも見れました。このときの特命と山野のやりとりも笑わせて頂きました。
そしてこの気弱な山野が、第一発見者として、また目撃者として、事件解決への大きな突破口になるのかと思われましたが…。
右京さんは、山野を第一発見者でもなく、目撃者でもない形で、大きな突破口とする選択をします。
そこには、足立の死に対する山野の、特別な想いがありました。
その他の見どころ
では次に、第19話『突破口』の、そのほか細かい見どころをいくつか挙げてみたいと思います。
山野の自宅
今回の事件の鍵を握る山野。右京さんと冠城くんは、何度か彼の家を訪れています。借家とのことですが、彼は一軒家に一人で住んでいまして、こちらが家の入口です。
この入口を見た瞬間、「あ、ここは何度も見たことがある家だ」と気付いてしまいました。おそらく同じように気付かれた相棒ファンの方も多いと思います。
杉並区にある一軒家で、相棒に限らず色んなドラマでも登場している、知られたロケ地みたいです。
相棒では、S5第18話『殺人の資格』、S8第17話『怪しい隣人』、S14第13話『伊丹刑事の失職』、S17第7話『うさぎとかめ』で使われてます。『怪しい隣人』が一番わかりやすいかもしれません。
さらに今回、右京さんと冠城くんが捜査で訪れたこちらの喫茶店も、上の一軒家を超える頻出のロケ地です。
こちらは練馬区にあるBANFF（バンフ）という喫茶店で、相棒だけでなんと、もう10回以上も出ているという常連のロケ地です。
僕はいつか相棒のロケ地巡りをしてみたいと思いつつ、まだ実行できておりません。
右京と連城
弁護士の連城建彦は、前々話の『いびつな真珠の女』にも登場していて、ある疑惑が浮上している人物です。
新崎芽依の拉致などに関して、拘置所にいる遠峰小夜子には、自殺した男の他にも協力者がいた可能性があり、それが連城なのではないかと。
もしそうだとしたら、それは許せない行為ですし、特命係にとって彼は明確な敵になるわけです。逮捕するべき相手ですからね。
しかしこの度、そんな疑惑の連城弁護士に対し、右京さんからのアプローチ。
大事な事件の被告の弁護を、右京さん自ら連城弁護士に依頼したんです。
これは、弁護士としての連城さんを、右京さんが高く評価しているからなのか、それとも信頼しているからなのか、その両方なのか。
犯罪に加担した疑いのある弁護士に、大事な被告を任せるというのも、右京さんらしからぬ行為のように思います。そう考えると、右京さんは連城弁護士を敵とは見做していないのか。
右京さんと連城弁護士の今後が、今から気になって仕方ありません。
青木で特命を釣る捜一
転落死事件の捜査をしたい捜査一課ですが、上からストップがかかってしまい、関係者の聴取すら許されません。
そこで伊丹さんと芹沢さんは、青木年男を特命に行かせ、右京さんと冠城くんが捜査するように仕向けます。
まるで、青木という釣り竿に、捜査資料という餌をつけて、特命係を釣り上げたような感じです。笑
右京さんも冠城くんも、びっくりするくらい簡単に餌に食いつき、釣り上げられ、捜査を開始してました。笑
伊丹＆芹沢の思いどどりの展開です。
もしかしたら特命係を一番上手く利用しているのは、伊丹さんと芹沢さんなのかもしれないですね。
以上、今日は相棒season18第19話『突破口』についてでした。
