最終話『ディープフェイク・エクスペリメント』
あらすじと感想
本日はシーズン18最終話(第20話)についてです。
相棒season18最終話(第20話)のタイトルは『ディープフェイク・エクスペリメント』。放送日は2020年3月18日で、2時間9分SPでの放送です。「ディープフェイク」とは、人物画像合成の技術を指す言葉で、「エクスペリメント」は実験や試みを意味します。そのままの解釈ですと「人物画像合成技術の実験」というような和訳になるかと。果たしてどんな事件が巻き起こるのか。
ではまず最初にざっくりと、最終話『ディープフェイク・エクスペリメント』のあらすじから紹介していきます。
冠城くんは、右京さんの推理力が最近衰えているのではないかと感じていて、角田課長にも相談します。右京さんがスランプに陥っているのではないかと。そんな中、武器輸出推進の中心人物であり、以前特命係により軍事転用技術の横流しが発覚し失脚した、元東亜ダイナミクス社長である桂川宗佐が、自宅の寝室で何者かに刺殺されるという事件が発生します。桂川は失脚したものの立件は免れ、新会社を設立し、社会復帰していました。現場から見つかった桂川のスマホは、音声認識アプリが立ち上げられていて、「99」という謎の数字が残されていました。この事件に興味を持った右京さんと冠城くんも、現場である桂川の自宅を訪れたところ、そこには青木年男の姿が。青木は上層部から「特命係一派」とみなされ、捜査から外されてしまったそうで、それに反発して特命への協力を思い立ったとのこと。青木は捜査資料を無断で持ち出していて、現場から押収されたパソコンに入っていた、ある動画を二人に見せます。それは桂川と女性のベッドシーン動画で、相手の女性は顔認証から、内閣情報調査室のアナリストである、柾庸子という人物だとわかります。彼女には完璧なアリバイがあったため、捜査対象からは既に外されているとのこと。彼女が政府直轄組織の人間ということで、警察としても配慮せざるを得ず、それ以上の聴取は行われていない模様です。柾庸子は動画に関しても、映っているのは自分だと認めているとのことですが、右京さんは高度な合成技術を用いた「ディープフェイク」ではないかと疑います。一方、伊丹さんと芹沢さんの捜査一課は、桂川をスポンサーとして最新の映像技術を研究していた、大学の特任准教授である鬼石美奈代など、被害者の交友関係をあたるものの、これといった手がかりは得られず捜査は難航します。そんな中、週刊フォトスが桂川と柾庸子のスクープ映像を入手し、庸子に対する疑惑も再燃します。また、事件には、桂川と密接な関係を持っていた、内閣官房長官の鶴田翁助が何かしら絡んでいるのではないかと推測されますが、捜査には圧力がかけられ、真相究明には多くの壁が立ちはだかります。一体誰が何のために桂川を殺害したのか?動画はフェイクなのか?果たして特命係は真相にたどり着けるのか?そして、右京さんのスランプは?
おおまかではありますが、だいたいこんな感じの内容になります。
今回も面白かったです!
S18もこれで最後だと思うと寂しいですけれど、その締めとなる最終話SP、盛りだくさんの物語を楽しませて頂きました。
今回は笑いの要素がとても多く、ここまでコミカルなSP版というのは、他にないのではないかと。その分、スリリングな展開とか、緊迫感といったものはほぼありませんでしたけれど…笑。とにかく、始終笑いどころが多くて、ゆる~い感じだった気がします。最初の桂川のポスターから、ちょっとおかしいな、とは思ったんですけどね。桂川の死に方とか、ほら貝とかも、かなり攻めてましたね。個人的にはこういうの、けっこう好きです。
S18は全体的にシリアスな回が多かった気がするので、まさか最後にこんなに緩い回が待っているとは。笑
導入は、右京さんの推理力が衰えているのでは?不調なのでは?という珍しい入り方だったのですが、同じパターンが以前にも一度だけありました。きっと古くからの相棒ファンの方は、すぐにピンときたかもしれないですけれど、僕もまさに思い出しました。以前は花の里に関係した落ちが待っていましたので、今度も自然とそのあたりを期待してしまいます。で、その期待通りというか、それを若干裏切るような形も含め、嬉しい結末もありました。花の里の行方がずっと気になって仕方なかったので、それにようやく区切りがつきましたね。
事件の方は、S18にてこれまでにも二度登場している桂川宗佐が、何者かに殺害されるという幕開けです。桂川宗佐、失脚してもう再登場はないのかと思っていたら、まさかの殺されるという再登場。
で、捜査は難航するのですが、一番の鍵となるのは、タイトルにもなっている「ディープフェイク」です。つまり、高度な技術を用いた合成動画ってことですね。桂川のパソコンから押収されたベッド動画や、週刊フォトスが入手した動画などが大きなポイントとなります。
音声認識で桂川のスマホに残された「99」という謎の数字も、事件を紐解く鍵の一つです。ここでは、かつて右京さんも苦戦した音声認識アプリ「buddy」が再び登場してました。
内閣情報調査室という機関や、特定秘密にもスポットがあてられていました。
最終話SPだけありまして、登場人物も多彩で、それぞれが皆疑わしく見えてきてしまいます。動画に桂川と映っている張本人、内閣情報調査室の柾庸子をはじめとして、桂川と密接な関係があったとされる内閣官房長官の鶴田、最新の映像技術を研究している准教授の鬼石美奈代、そして鶴田の馴染みの芸者である小出茉梨、この誰からも目が離せません。
物語の構図としては、前話と同じく「特命係vs権力」という、相棒ではお馴染みの形に突入していくのかな?と思いきや、そっちの要素はそこまで色濃くはなかったです。
武器輸出を推進していた桂川が殺され、内閣情報調査室のアナリストが登場し、さらには内閣官房長官まで出てきているので、特命係が国家的な「何か」に対するであろうことは序盤から推測はできたのですが、事件そのものは意外なほどシンプルだった気がします。
そしてストーリーと平行して、「右京さんのスランプ」というのがちょいちょい顔を出すわけです。サブストーリー的な感じもありつつ、ほどよく事件とも絡みつつ。
しかしそんな不調説をものともせず、終盤に見事に事件を紐解いていく右京さんはさすがでした。
今回はAIやフェイク動画というものに大きな焦点が当てられていたためか、青木年男の出番もかなり多かったです。もはや青木は、完全に第三の特命係になってましたね。
レギュラー陣のいつもはなかなか見れないようなシーンも多く、そういった意味でも楽しめました。事件現場での伊丹さんと益子さんのやりとりとか、珍しい組み合わせでの鉢合わせなどもありました。
S18では一度も登場していなかった、大河内さんの姿も見れて嬉しいです。社美彌子さんもS18では初回SPにしか出ていなかったので、久しぶりの登場です。あと、風間楓子や甲斐峯秋も出てきます。どうせなら衣笠副総監とか日下部さんとか、鑓鞍兵衛も出たらいいな~と思いつつ見ていたのですが、そこまでオールスターではなかったです。あとは、やっぱり組対5課の小松さん、S18では最終話まで一度も出ていませんので、気掛かりではあります。
そして最終話ですので、終わり方というのもめっちゃ気になるところでした。事件の方は、内閣官房長官に対してなど一部遺恨は残っているものの、真相には辿り着くことはできました。しかし相棒ファンとしては、次のS19があるのかどうか(あるとは思いつつ、不安はありましたので)。その判断材料として、この最終話の「終わり方」が重要になるわけです。中盤で既に来シーズンが約束された流れは出てきましたが、やはり本当に最後まで目は離せませんでした。
そして、最後までしっかりと見届けさせて頂きました。
S18も振り返ってみればあっと言う間でしたが、最初から最後まで例年どおり楽しませて頂きました。
最終話を終え、これでしばらく相棒とはお別れになってしまいますが、もう少しの間、その余韻に浸っていようと思います。
最終話(第20話)『ディープフェイク・エクスペリメント』、面白かったです!!
ゲスト出演者
それでは続いて、最終話『ディープフェイク・エクスペリメント』に出演された、主なゲストさんを一人ずつ紹介していこうと思います。今回は6名です。
坂井真紀(さかいまき)
最新の映像技術を研究している、城和工科大学の特任准教授、鬼石美奈代役で坂井真紀(さかいまき)さん。
映像技術研究のエキスパートです。彼女の研究は、殺害された桂川が資金援助をしていたため、その支援の背後には政府の要請があった可能性もあります。癖のある准教授で、事情聴取に来た伊丹さんらを、のらりくらりとかわすような場面も。
坂井真紀さん、なんとなく過去にも出てそうですけれど、今回が相棒初出演です。坂井真紀さんって、今回の准教授のような、癖のあるというか、個性的な役がとっても似合う女優さんだな~と思ってしまいました。
相島一之(あいじまかずゆき)
続いて、内閣官房長官の鶴田翁助役で、相島一之(あいじまかずゆき)さん。
殺害された桂川とも関係があったと思われる人物です。定例会見で桂川の死に関して質問を受けた際には、「官邸としては個別の殺人案件に特別な関心を払うことはありません」と答えています。動画に映っていた柾庸子が所属する内閣情報調査室は、彼の直轄です。
相島一之さんは今回が別役で三度目の登場です。過去2回もそれぞれメインのゲストさんとしてがっつり出ていました。1度目がS5第18話『殺人の資格』で、2度目がS15第9話『あとぴん~角田課長の告白』です。3度にもわたり別役でがっつりとゲスト出演というのも、なかなか珍しいパターンになります。
遠山景織子(とおやまきょおこ)
続いて、内閣情報調査室のアナリスト、柾庸子役で遠山景織子(とおやまきょおこ)さん。
柾庸子は「まさきようこ」と読みます。内閣情報調査室のカウンターインテリジェンスセンターという部署に所属しています。桂川のパソコンから見つかったベッドシーンの動画に映っていた女性で、本人もそれは自分だと認めています。また、事件当夜にははっきりしたアリバイもあります。
遠山景織子さんは今回が別役で二度目の相棒出演です。過去にはS6第4話『TAXI』に、シングルマザーのホステス役で出ています。そのときが2007年ですので、約13年振りの再出演です。
村上新悟(むらかみしんご)
続いて、元東亜ダイナミクス社長で、自宅で何者かに殺害された、桂川宗佐役で村上新悟(むらかみしんご)さん。
防衛技術振興協会の副会長も務めていて、武器輸出推進の旗振り役を担っていた人物です。政府とも密接な関係があったと考えられ、片山雛子とも繋がりがあります。軍事転用技術の横流し事件で一度は失脚していますが、現在は新たな会社を設立し、国防技術アドバイザーとしても活動していました。
村上新悟さんは、今回と同じ桂川宗佐役で、S18第1話と第2話『アレスの進撃』、第9話『檻の中~告発』に出演されています。また、別役でS9第15話『もがり笛』、S13元日SP『ストレイシープ』にも出演されていますので、今回が5回目の出演(話数ですと6話目)です。
森口瑤子(もりぐちようこ)
続いて、内閣官房長官の鶴田がひいきにしている赤坂の芸者、小出茉梨役で森口瑤子(もりぐちようこ)さん。
芸者としての名前は小手鞠(こてまり)です。鶴田だけではなく、政財界の錚錚たる人物たちからひいきにされている芸者さんです。
森口瑤子さんは相棒初出演です。着物姿のとっても美人な芸者さん役でした。相棒で着物姿といえば、花の里の女将とついつい結びつけてしまいますが、きっと女将の役も似合うと思います。
陰山泰(かげやまたい)
続いて、内閣情報調査室の長である内閣情報官で、鶴田とも密に繋がっている、栗橋東一郎役で陰山泰(かげやまたい)さん。
柾庸子がいる内閣情報調査室のトップです。内閣情報調査室は、情報の収集や分析を行う、日本版CIAの先駆けとして創設された、実在する機関です。2年前のS16『サクラ』のときには石原良純さん演じる広瀬篤が内閣情報官でしたので、その後異動があり、栗橋になったものと思われます。
陰山泰さんは今回が別役で3度目の相棒出演で、過去にはS3第4話と5話『女優(前後篇)』、S12第12話『崖っぷちの女』に出演されています。話数ですと4話目の出演になります。
以上、今回の主なゲストさんは上記の6名になります。
他には、週刊フォトスの編集長、八津崎奨役で橋本拓也(はしもとたくや)さん。サイバーセキュリティ対策本部の係長、牧原芳宣役で関口晴雄(せきぐちはるお)さん。城和工科大学の学生役で、磯田龍生(いそだりゅうせい)さんと花影香音(はなかげかのん)さん。桂川宗佐の秘書である水戸弓子役で、佐々木春香(ささきはるか)さんなどが、ちょいゲストさんで出演されています。
橋本拓也さんは、同じフォトスの編集長役で過去2回(S16-20、S17-1)、別役で1回(S15-17)出ているので、今回が4度目の出演です。佐々木春香さんは、けっこう癖のある秘書役でして、ちょこっとの出演でしたけれど印象に残りました。
フェイク動画の恐ろしさ
今回の事件で最も焦点があてられたのは、「ディープフェイク」と呼ばれる、高度な技術を用いて作成されたフェイク動画です。
かつてはS15第17話『ラストワーク』にて、「フェイクドキュメンタリー」というのが出てきましたけれど、今回はそれとは全く別もので、AIにより合成(加工)されて作られた、「動画そのもの」が取り上げられた形です。
つまり、例えば自分が実際はいなかった場所に、合成された自分が登場してしまう、というような怖ろしいことが、動画の中で起こってしまうんです。
右京さんの言葉を借りますと、「事実を作り上げるディープフェイク。ありもしない事実をでっちあげられるようになったわけです」ってことですね。
考えただけで怖ろしい。
まず、このたび最初にディープフェイクではないかと思われた動画は、殺害された桂川と、内閣情報調査室の柾庸子、この男女のベッド動画でした。
遠山景織子さん演じる柾庸子は、動画に映っているのは自分だと認めています。
にも関わらずです。右京さんはこの動画がフェイクではないかと疑うんです。
仮に右京さんの言うとおりフェイクだとしたら、柾庸子が自分だと認めていることは、とても不自然な状況になるわけです。
そしてまさにその点こそが、真相究明への大きな鍵になります。
さらに柾庸子は、ベッド動画に続き、週刊フォトスが入手したスクープ動画にも登場します。それは事件の数日前、桂川と柾が一緒に訪れたクラブにて、柾が桂川に往復ビンタをしているという映像です。
右京さんは同じくこちらもディープフェイクではないかと疑うのですが…。
有能な青木年男でさえも、映像がディープフェイクであると証明することはできないんです。
事件や事故ではカメラの映像が動かぬ証拠になることは、よくあることだと思います。しかしそれが実は作られた映像で、しかもフェイクかどうか証明できないとしたら…もはや「映像=事実」という図式が成り立たなくなります。
逆に言えば、フェイク動画が「フェイク」だと証明できなければ、すなわち「事実」になってしまうってことです。
そのような動画を「フェイクとして楽しむ」というレベルだったら面白いのかもしれませんけれど、悪用されてしまったら、それはめちゃめちゃ怖ろしい事態です。
映像だけではなく、音声も自動で作成できるようになっている、と聞いたことがあります。その人の声で発した単語を繋ぎ合せて、普通に喋っているように作成できる技術です。つまり、喋ってもいないことを、喋ったことにされてしまうことも可能ってことです。
ファクトとフェイクの境界線が、とっても曖昧になってしまう気がします。怖ろしい世の中になってきました。
そして、そんな映像技術に精通していて、桂川とも関わりがあった人物が一人。坂井真紀さん演じる、大学の准教授である鬼石美奈代です。
彼女は7歳でパソコンゲームを作り、天才少女と呼ばれていたそうです。青木もその名前を聞いただけでわかってしまったくらい、業界では有名人だったようです。
桂川と柾庸子の動画が、右京さんの推測通りディープフェイクだとしたら、鬼石美奈代が関わっている可能性も高まります。
捜一コンビも彼女に事情聴取しますが、いいように弄ばれてました。笑
まず、動画が「フェイクなのかフェイクではないのか」。
もしフェイクだとしたら、なぜそのような動画が作られたのか。そして柾庸子はなぜフェイクを事実として認めたのか。
ディープフェイクで架空の事実を作ることはできたとしても、本当の真実は作れません。
右京さんのスランプ
相棒の長い歴史の中で、かつて右京さんのスランプが取り上げられたことが一度だけあります。
それは、S10第12話『つきすぎている女』のときです。月本幸子さんが花の里の女将に就任した回ですね。
このとき、右京さんの不調は神戸くんや月本さんにも指摘され、右京さん自身も「最近なんとなく調子が出ない」「頭が冴えない」とこぼし、米沢さんに相談しちゃったりもしてました。米沢さんには、更年期障害では?って言われてましたけど。笑
結局このときのスランプの原因は、なんと「花の里ロス」だったんです。
S10の第1話にて、たまきさんが旅に出るとのことで、花の里が閉店してしまいます。で、人は長年の習慣を変えると調子が狂ってしまうことがあるようで、右京さんは毎晩訪れていた花の里がなくなり、それで習慣に変化が生じ、スランプに陥ってしまったのだと。
月本幸子さんの二代目女将就任で花の里が再開され、右京さんの不調もそれとともに解消されました。
そして今回、そんな右京さんに二度目のスランプ疑惑。
前回は右京さん自身も不調を自覚していましたが、今回は冠城くんが、「右京さんの推理力が衰えているのでは?」と心配する形で、右京さんにその自覚はありません。
冠城くんは、右京さんが『アレスの進撃』のときに捕まって消息不明になったことや、『右京の目』でメロンの箱で目を負傷したこと、『檻の中』で一度は真相を見誤ったことなどを挙げています。
つまり冠城くんの心配は、ちゃんと根拠があってのことってことなんですね。
で、ここに神戸くんからの情報が冠城くんに伝わり、「花の里ロス」が原因ではないかとなるわけです。前回のスランプ時は特命係は神戸くんでしたので。
どうやら冠城くんからどんどん話が広まり、青木年男、角田課長はもちろん、中園参事官や大河内監察官、さらには社美彌子やサイバーの土師太にまで、右京さん心配されちゃってました。笑
推理力減退症候群が疑われていますので、今回の事件の捜査についても、右京さんが動画をディープフェイクなのでは?と言い出したとき、冠城くんも青木年男も、懐疑的だったりするんです。笑
「推理力が衰えているのでは?」と思っている相手の推理は、どうしても懐疑的な目で見てしまうものですからね。
推理力減退症候群疑惑は右京さん自身の耳にも入りますが、右京さんはこれをおもいきり否定します。一度花の里ロスによりスランプに陥ったため、抗体ができたので同じ病にかかることはない!と。笑
で、「勝手な心配は大いに迷惑!」と怒ってます。「推理力の減退などあり得ない!」「花の里欠乏を僕は見事に克服しています」とも。
この右京スランプ疑惑をめぐる一連のやりとりには、おおいに笑わせて頂きました。
右京さんは否定して怒っていますけれど、冠城くんが挙げたように、確かにS18では実際に右京さんらしからぬミスも目立つといえば目立ちます。
本人は花の里欠乏を克服したと言っていますが…。
そんな右京さんの推理力減退を本気で心配した甲斐さんが、解決のために一肌脱ぐことに。
右京さんへの大きなプレゼントを用意しました。
新・花の里「こてまり」の開店
長年にわたり右京さんが毎晩のように通っていた小料理屋、花の里。
二代目女将の月本幸子さんが、S17第19話『漂流少年~月本幸子の決断』にて、お店を去ることとなりました。
とても前向きな引退でして、月本さんらしい卒業です。
『漂流少年~月本幸子の決断』の放送が2019年3月13日でしたので、それから現在までちょうど1年くらい、花の里はずっと閉店したままです。
月本さんの引退後から、三代目候補として様々な女優さんの名前も挙がったりしていたので、近いうちに決まるのかな~と勝手に思っていたのですが…。花の里は開店しないまま、ついにS18が最終話まできてしまいました。
ちなみに、今までニュースなどで女将候補として名前が挙がった女優さんは、こちらの記事でまとめてあります。
丸々1シーズン、花の里が出てこないというのは、「もう花の里は終わりなのでは?新しい女将は登場しないのでは?」という不安を抱かずにはいられませんでした。
しかしこの最終話にて、「右京さんのスランプ」という、花の里再開を匂わせるような事案が。
さらにはそれに加えて、ゲスト出演者として、着物姿の美人も登場。
この美人さんは、森口瑤子さん演じる小出茉梨という芸者さんです。森口瑤子さんは女将候補としてこれまで名前は挙がっていなかったものの、イメージとしてはかなり合いそう。
この流れは、森口瑤子さんが最終話SPにて、花の里の三代目女将に就任するのでは?と、どうしても思わずにはいられませんでした。
そんな期待を抱きつつ見ていたところ…。
なんと花の里ではなく、それに代わる新しいお店が誕生するという驚きの展開が待っていました。
お店の名前は「こてまり(小手鞠)」です。
店名の前には「家庭料理」とも付いています。
森口瑤子さんの小出茉梨は、芸者としてのお名前が「こてまり」ですので、もう、そのままですよね。小料理屋「こてまり」の女将さんは、芸者を引退した「こてまり」さんです。
お店こそ花の里ではなくなりましたけれど、高樹沙耶さん、鈴木杏樹さんに続く三代目の女将は、森口瑤子さんになりました!!(ネタバレすみません)
花の里が閉店してから約1年。ようやく花の里問題に区切りがついたことになります。
こてまり開店のお膳立てしたのは甲斐さんです。開店までの具体的な経緯ややりとりはまだ明かされていませんが、右京さんのために、甲斐さんが尽力したであろうことが窺えます。
開店前には、甲斐さんと右京さん、二人でお店を訪れてもいます。
また、早速右京さんは今回の事件解決のヒントを、このお店で得ています。まさに「こてまり」は、これまでの花の里のような役割を、いきなり担うことになりました。
事件の解決後には、右京さんが冠城くんを連れて「こてまり」を訪れまして、冠城くんが神棚のセットを手伝ったりもしていました。
三人で神棚に手を合わせる場面も。
店内はかなり花の里に近い感じです。
というか、この絵はもう、ほぼ花の里ですね。笑
右京さんの後ろには、小さな手毬も置いてあります。
これからは、完全にこの「こてまり」が、花の里に代わるお店として、毎回のように登場するはずです。
第16話『けむり~陣川警部補の有給休暇』では居酒屋「あおびょうたん」、第18話『薔薇と髭との間に』では、ゲイバー「薔薇と髭と…」が、花の里の代わりになるのか?と思わせるような形で出てきましたけれど、そのどちらでもなかったですね。新しい、一から始めるお店です。
花の里がもう見れないのは正直とっても寂しいことではありますけれど、こうしてそれに代わる新たなお店が決まったというのは、それはそれで嬉しいです。
新・花の里としての「こてまり」に期待しちゃいます。
森口瑤子さん、着物もとっても似合いますし、お店の雰囲気にも合っています。素敵な女将だと思います。花の里はなくなってしまいましたけれど、認識としては、花の里の三代目女将ですね。
僕は見たことがないのですが、かつては火曜サスペンス劇場の『地方記者・立花陽介』というシリーズで、森口瑤子さんは水谷豊さんと、長年に渡り夫婦役を演じていたそうです。そういう意味でも、右京さんとの相性ばっちりなのかもしれません。
小出茉梨さんは芸者として、錚々たる顔触れの各界著名人から贔屓にされていたとのことなので、今後はその辺りから、物語が新たな広がりを見せることもあるかもしれません。
森口瑤子さん、女将就任おめでとうございます。
右京さん、通えるお店ができてよかったですね。
青木年男と特命係
今回は、青木年男の出番がめちゃめちゃ多かったです。多かったというか、もはや特命係の一員のようになっていたかと思います。憎まれ口をたたきつつ、全面的に特命の捜査に協力してました。おもいっきり自主的に。
物語の始まりも、右京さんと青木のチェスシーンでした。
やっぱり青木は、頻繁に特命の部屋に足を運んでるみたいですね。
別シーンではありますが、社美彌子には、「あなたここ、そんなに居心地いいの?」「サイバーに戻ったものの、ここが恋しくてしょっちゅう来てるって専らの噂よ」って言われてましたし。笑
そんなんですので、どうやら彼は「特命一派」と見なされてしまっているようで、今回の事件の捜査からも外されたそうです。
ですので逆に、その腹いせとして特命係に協力するんだと。
冠城くんには「お前屈折してるな」って言われてました。笑
ともかく理由はどうあれ、そんな流れで今回の捜査は、青木年男が特命係に全面協力です。青木は人間的に問題はありますけれど、サイバー知識もめちゃめちゃありますし、驚くほどに優秀ですからね。特命係にとっては強い味方であることは間違いありません。
青木は右京さん冠城くんと一緒に、週刊フォトスにも行ってます。
フォトスにいる青木というのは、今後も含めかなり貴重なシーンになるのではないかと。フォトスではサイバー攻撃であるDos攻撃、DDos攻撃について、解説したりもしていました。
また、屋外のカフェにて特命と落ち合う場面も。
ちなみにこのカフェのシーンでは、右京さんがタマゴサンドらしきサンドウィッチを頬張ってました。
サンドウィッチ美味しそうでした。合流した青木も、冠城くんの食べかけのサンドウィッチを奪ってましたし。笑
先述もしましたけれど、ほんとに青木、特命係の一員のような感じになってましたね。
元々青木は特命の二人を憎んでいましたし、なんとかして陥れようとしていたはずですが、表面上は悪態をつきながらも、すっかり仲良しになっている気がします。笑
今回のキーワードが「ディープフェイク」であり、それ故に青木の役割も大きかったとは思うのですが、これだけがっつりと青木が特命と絡んでくれると、その分笑いどころも増えますので楽しいです。
関西弁で右京さんに突っ込む場面なんかもありました。笑
色んな青木が見れました。
青木年男と特命係の関係が、今後どうなっていくのか楽しみです。
その他の見どころ
それでは最後に、最終話(第20話)『ディープフェイク・エクスペリメント』の、そのほか細かい見どころを挙げて締めたいと思います。今回は見どころが多すぎて、取捨選択が難しかったです。
内閣官房長官の鶴田
相島一之さん演じる、内閣官房長官の鶴田翁助。
政権の中枢を担う、めちゃめちゃ大きな権力を持つ人物です。
今回の事件に関しても、内閣情報官の栗橋とともに、背後で動いていました。「ディープフェイク」で、警察を相手にある実験を行った疑惑もあります。
そんな鶴田と、右京さん、冠城くんも対面します。
このとき鶴田の口からは亀山くんの名前も出ました。
さらには、S3の三部作『双頭の悪魔』にて内閣官房長官として登場した、本田博太郎さん演じる朱雀の名前も。朱雀官房長官は、右京さんと亀山くんの活躍により逮捕され、失脚した人物です。
朱雀はなんと鶴田の師匠とのこと。政治のイロハを教わったんだそうです。
『双頭の悪魔』は2004年ですので、16年後に再び朱雀の名前が出てくるとは思ってもいませんでした。
また、殺人犯の保釈という離れ業をやってのけた男として、小野田官房長の名前も出していました。この殺人犯というのは、S4第1話『閣下の城』で出てきた、長門裕之さん演じる北条晴臣のことを指していると思われます。
鶴田の口から思わぬ懐かしい名前が数人出てきて、ファンとしては嬉しい限りです。
この鶴田内閣官房長官、特命係に対し「また君らに会えるのを楽しみにしている」とも言っていましたし、今回も遺恨が残る形ではありましたので、おそらく今後も登場するのではないかと。
「僕としたことが」への不満
「僕としたことが!」というのは、右京さんの口癖の一つです。推理を見誤り、それに気付いた瞬間などに口にする言葉です。
これ、当たり前のようにこれまで僕も聞いていたのですが…。
なんと冠城くんがこれに難癖をつけました。笑
「私としたことが」と口にした社美彌子さんも巻き添えを食らい、右京さんと社美彌子、二人ともが冠城くんに責められた形です。
「お二人とも なんのためらいもなくそういう言い回ししますけど、それって自分が優秀な人間だって前提に立った、謙虚さがこれっぽっちもない物言いですからね。けっこう感じ悪いですよ」
これが冠城くんの主張です。
なるほど、言われてみればその通りかもしれません。笑
言われたときの右京さんの顔もすごかったです。
右京を手玉にとる社
社美彌子さん、S18では初回SPにちょこっとだけ登場したっきり、ず~っと出てきませんでした。
ですのでこの最終話にて、久しぶりにその姿を拝見しました。
社さんが警視庁を退庁しようとしていたところ、エレベーター前にて特命と遭遇します。社美彌子の退庁シーンも貴重ですし、ここで特命と会うというのも、きわめて貴重なワンシーンではないかと。
この後特命は、冠城くんの車にて、社美彌子さんを自宅まで送ってあげていました。
右京&冠城&社という珍しい組み合わせでの、カフェシーンもあります。
今回、社美彌子の登場シーンもけっこう多めでした。お茶シーンだけでも全部で3回もありました。
で、なんと今回の事件、右京さんはまんまと社美彌子に誘導される形で、捜査を進めてしまったかもしれないんです。
つまり右京さんは、社美彌子にいいようにコントロールされてしまったのではないかと。手玉に取られた形ですね。笑
これに対し右京さん、少々不機嫌になってるのですが、冠城くんに「右京さんって人はコントロールするくせに、コントロールされると怒る」って突っ込まれてました。
珍しい組み合わせ
今回は、普段なかなか特命係の部屋を訪れる機会がない方々が、代わる代わる姿を見せてました。
その結果、珍しい組み合わせが何パターンか成立することに。
まずはこちら、大河内さんが特命の部屋を訪れ、角田課長も併せての4ショットです。
続いて、青木年男はいつものことですけれど、ここに社美彌子と中園参事官も加わってます。これはなかなか見れない絵です。
さらには社美彌子と角田課長という組み合わせも。
このとき角田課長、いつもの「暇か?」の調子で「邪魔か?」と。笑
あとは特命の部屋ではありませんが、珍しい場面繋がりで、伊丹&芹沢が中園参事官を丸め込んで、三人で親指を立てている場面も。
ちなみにですが、中園さんのハゲネタもしっかりと一ヶ所ぶっこまれてました。他の笑いが多すぎて、埋もれてしまった気もしますけれど。笑
サイバーの係長と土師太
青木年男や土師太の所属するサイバーセキュリティ対策本部の、係長というのが初めて登場しました。青木や土師の上司ってことですね。
関口晴雄さん演じる、牧原芳宣という係長です。青木の後ろにいるこの人です。
今回は土師太(はじふとし)もちょいちょいと登場し、楽しませてくれました。青木と同じくかなりひねくれた感じのキャラですので、誰かと絡むと面白いんですよね。特命ともばっちり今回も絡んでます。捜査会議では、二人に挟まれてました。笑
大河内さんが青木の元に向かった際には、「ミサイル接近中」とチャットで青木に教えてあげてました。大河内さんを「ミサイル」と呼ぶセンスが素晴らしい。笑
あとは、捜査会議にてみんなの前で説明をする姿も。
ちなみにこの後、鑑識の益子さんも同じくみんなの前で話していました。
ほんとに今回は、珍しいシーンが満載です。
冠城と角田がお弁当
冠城くんと角田課長が、昼下がりの公園で二人でランチしてました。シートまで広げて。
なぜか冠城くんが角田課長の愛妻弁当と思われる弁当を、で、角田課長は逆にコンビ二飯と思われるものを。
どうやらこれ、角田課長役の山西惇さんのTwitterによると、たまには愛妻弁当以外も食べたくなるという、角田課長の気持ちを冠城くんが汲んで、弁当が逆になってるみたいです。角田課長が食べてるのは、コンビ二のドリアとのこと。
この際に冠城くん、右京さんの推理力減退について、角田課長に相談してました。
滅多に見られない、貴重なランチシーンでした。
さよなら桂川宗佐
このたび自宅にて殺害されてしまった、桂川宗佐。
彼は元東亜ダイナミクス社長で、日本の武器輸出を推進する旗振り役でした。
S18の初回SP『アレスの進撃』で初めて登場し、中盤の前後篇『檻の中』、そして最終話SP『ディープフェイク・エクスペリメント』と、バランスよく今シーズンに出てきたキャラクターです。
この最終話にて殺されてしまったので、もう今後の新たな登場はありません。
こちら、事件の起きた彼の部屋に飾られたポスターです。
これ、ランボーを意識したと思われる、桂川宗佐自身のポスターです。笑
このポスター、リビングと寝室にありました。もしかしたら他の部屋にもあるかもです。
これだけでもけっこう攻めてるな~と思ったんですけど、さらに凄かったのが、彼の死に方です。
「おい、ちょ待てよ」のキムタクから、「なんじゃこりゃぁあ!!!」の松田優作という、連続攻撃。笑
桂川はそんなに目立って登場したキャラではないですけど、最後になかなかのインパクトを残していきました。
さよなら桂川宗佐。最後に楽しませてくれてありがとう。
S18からS19へ
最終話というのは、どのような終わり方をするのか、来シーズンを期待する相棒ファンとしては、なかなか重要度が高いポイントです。
冠城くんが卒業してしまうかもしれませんし、最悪の場合、相棒自体が終わりを迎えるという、悲しい事態もないとは言えないですからね。
今回は中盤で花の里に新しい展開があり、その時点で来シーズンの存在はかなり期待できてしまったんですけどね。
とはいえ何があるかわかりませんので、最後まで気を抜かず。
結果、冠城くんの卒業の気配は一切ありませんでした。
なんだかいつもよりネタバレ気味の文面が多くて申し訳ありませんが、一番最後のシーンはこちらです。
花の里の代わりとして誕生した「こてまり」にて、三人がお酒を飲んでいるシーンでした。
こてまりがせっかく誕生したのに、これで相棒が終わってしまうわけないですもんね。間違いなくこれ、来シーズンに繋がっていくはずです。
まだまだ未解決の問題も残されていますし、今年の10月にはS19の放送が始まることでしょう。
まだS18が終わったばかりですけれど、S19も今から楽しみにしています。そして、S20、S21、S22と、永遠に続いていって欲しいです。右京さんがジジイになるまで。
今シーズンもたくさん楽しませて頂きました。
相棒を提供してくださった関係者の皆様、本当にありがとうございました。
お疲れ様でした。
もう一度書きますけれど、S19を今から楽しみにしています!!
以上、今日は相棒season18最終話(第20話)『ディープフェイク・エクスペリメント』についてでした。