第9話『匿名』
あらすじと感想
本日は、シーズン19第9話についてです。
相棒season19第9話のタイトルは『匿名』。放送日は2020年12月9日です。S19も年内は残すところあと2話となりました。そんな前半戦の大詰めに、「特命」に「匿名」をぶつけてきましたね。どんな匿名の問題に特命が立ち向かうのか。
それではまずはじめに、第9話『匿名』のあらすじから紹介していきたいと思います。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
浅井環那(杏さゆり)という女性が歩道橋で何者かに突き飛ばされ転落死する。環那はSNS上で「インコ日誌」というインコの飼育日誌を書き込んでいる。「インコ日誌」のファンだという小手鞠(森口瑤子)からSNSを見せられた「特命係」の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、そのコメント欄に「お前を絶対に許さない」と書き込まれているのを、たまたま見つけていた。
近所の主婦・飯島智子(藤吉久美子)の目撃証言により、環那の知人でカリスマイケメンシェフの溝口修也(海斗)が重要参考人に浮上。事件の一週間前には、環那とのトラブルで警察沙汰も起こしていたことから、捜査一課は金銭と交際を巡っての犯行という見方を強める。だが、目撃者であり通報者でもある智子の “通報のお手本”とも言える詳細な証言が気になった右京。さっそく自宅を訪ねた右京と亘は、そこでワイドショーと刑事ドラマが大好きだという智子から新たに「歩道橋の上で男女が揉み合っていたときに、男のほうが『まさか先生を!?』と叫んでいた」という証言を得る。
警視庁に戻った2人は、捜査一課の出雲麗音(篠原ゆき子)から、矢坂美月(野村佑香)という弁護士と環那に何らかの関係があったことを聞く。男の言葉は「まさか先生を」ではなく、「矢坂先生を」だったのではないかと考え、美月を訪ねようとする右京たちだったが、なんと美月は6日前に転落事故で亡くなっていた…!
環那を関わりがあった美月が転落死し、その4日後に環那も同じように転落して死亡。2つの事件の関連性が疑われる中、美月がこれまでにも、SNSの裏アカウントにDVやストーカー被害について“匿名”で書き込んでいる女性に自分から声をかけ、相談に乗っていたことが明らかになる。そしてその中には、溝口から脅迫の被害を受けていた女性も…。美月、溝口、そして環那に繋がりが見え始め、捜査は急展開を見せるが、やがて思いもよらぬ事実が判明し…?
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!!
SNSでの悪口や誹謗中傷は、昨今も頻繁に社会問題として取り上げられているかと思いますが、今回はそんなSNSの「善用と悪用」がクローズアップされた物語でした。
ある女性が何者かに歩道橋から突き落とされ、亡くなってしまうという事件が発端です。で、目撃証言から元カリスマシェフが浮上し、そいつが犯人では?となるわけですが、もちろんそんなに単純な内容ではありません。
転落死事件に加え、さらに一、弁護士の転落死という事件が重なっていきまして、じょじょにSNSでの匿名の書き込みや、裏アカウントなどに焦点が当てられていきます。
そして、転落死した二人の女性、元カリスマイケメンシェフ、この三人が終盤にかけて繋がっていくというのが、一本の大きな軸です。
さらにここに、詳細な目撃証言をしたが故に、特命係に目をつけられることとなった、藤吉久美子さんの主婦というのが、もう一つの軸になってきます。彼女が転落死事件やSNSの書き込みに、どう繋がっていくのかというのが、最大のポイントでした。
この主婦が特命に目をつけられている時点で、何かしら事件と関わりがあることは誰しもが予想できたかとは思いますが、それがどのような関わりなのか、最後まで僕は全くわかりませんでした。
そうきたか、と。
そしてその真相というのが、これまた胸が詰まるものでして、僕は泣きそうになってしまいました。
メインゲストの藤吉久美子さんも、とってもよかったです。彼女の演技で、ラストの切なさが際立ちました。
相棒は毎回のゲストさん、皆さん素晴らしいですね。
全体としては、複雑な部類に入る構図の物語だったのではないかと思うのですが、とっても相棒っぽい、いいストーリーでした。
タイトルの「匿名」から、SNS上の匿名性というものを暗に問題視するような内容かといえば、そういうわけではなく。匿名だったりSNSだったり、それを使う人間というものの、美しさ、醜さが描かれていたかと思います。
主婦の想いだったり、弁護士の想いだったり、そういうものに心打たれる一方で、誰かを脅迫したり利用したり、そういう悪意の恐ろしさを垣間見たり。
今回は真相にアプローチする過程で、青木の活躍がいつにも増して光ってもいました。裏アカを特定する青木に対して「こいつが警察官でよかったと改めて思いますね」という冠城くんの一言が、彼の優秀さを物語っています。で、そんな仕事のできる青木を操る特命係にも、笑わせて頂きました。
事件そのものは切ない物語でしたけれど、本筋以外にもばっちり笑いどころが挟まれていまして、そういうバランスも良かったです。
右京さん冠城くんが、藤吉久美子さんに「イケメンの刑事さんたち」と言われていたり、インコと話す右京さんや出雲麗音だったり。
久しぶりに角田課長が右京さんの席に座ってるのも見た気がします。
小手鞠さんのインコ好きも可愛らしかったですね。
こてまりにて、「匿名」という言葉に反応する右京さんの顏もよかったです。
特命が解決する匿名の物語、最初から最後まで、存分に楽しませて頂きました。
第9話『匿名』、面白かったです!!
ゲスト出演者
では続きまして、第9話『特命』に出演された、主なゲストさんを紹介します。今回は2名です。
藤吉久美子(ふじよしくみこ)
歩道橋から女性が転落死した事件の目撃者で、110番通報もした主婦、飯島智子役で藤吉久美子(ふじよしくみこ)さん。
彼女の目撃証言により、重要参考人が浮上します。ワイドショーと刑事ドラマが大好きだというお喋り好きな主婦で、捜査にも協力的です。しかし目撃証言があまりにも詳し過ぎるが故に、特命係に目を付けられることに。
藤吉久美子さんは今回が別役で二度目の相棒出演です。過去にはS3第18話『大統領の陰謀』に、市長の奥さん役でがっつり出ています。前回が2005年ですので、15年ほどの時を経て、別役での出演ですね。夫の太川陽介さんもS12第18話『待ちぼうけ』に出演されていますので、夫婦で相棒出演です。
野村佑香(のむらゆうか)
DVやストーカーに苦しむ女性の相談に乗っていた弁護士、矢坂美月役で野村佑香(のむらゆうか)さん。
歩道橋から転落死した女性と接触していた弁護士ですが、彼女自身も階段から足を踏み外し、転落死しています。事故として処理はされていますが、特命係は何者かの犯行による事件ではないかと考えます。
野村佑香さんはかつて子役としても活躍されていた女優さんとのこと。「チャイドル」として一世を風靡した子役さんとのことで、僕もなんとなく見覚えはある気がします。
以上、 今回の主なゲストさんは上記2名になります。
他には、歩道橋から転落死した浅井環那役で、杏さゆり(あんずさゆり)さん。元カリスマイケメンシェフの溝口修也役で、海斗(かいと)さん。DV被害を受けていた主婦、水野彩香役で白勢未生(しらせみお)さん。弁護士の一倉役で、瀬戸将哉(せとまさや)さん。溝口に脅されていた林早紀役で、三輪明日美(みわあすみ)さんなどが、ちょいゲストさんで出演されています。
海斗さんは別役で2度目(過去にはS11-12)、瀬戸将哉さんも別役で2度目(過去にはS16-8)の出演です。三輪明日美さんのお姉さんは三輪ひとみさんという女優さんで、相棒にも何度か出演されていますので、姉妹で相棒出演です。
SNSの善用と悪用
SNSというのは、とても便利なツールである一方、悪用されたりもします。
近年ではSNS上での誹謗中傷などが、社会問題としても取り上げられていますし、さらには振り込め詐欺や売春などの犯罪にも利用されたりすることも。
SNSの利用は実名でももちろんできますが、匿名でも可能です。つまり、自分の身元を明かさずに情報を発信することができます。本垢、裏垢として使い分けている人も少なくはないかもしれません。
また、同じく自分の身元を明かさずに、他人の発信したものを閲覧することもできます。
このたび、歩道橋から何者かに突き落とされて亡くなった女性は、「インコ日誌」というセキセイインコの飼育日誌をSNSに投稿していました。で、そのコメント欄にはこんな書き込みも。
「お前を絶対に許さない」
怖い書き込みですけれど、これは匿名にて書き込まれていて、誰が書いたものかわかりません。
インコ日誌の女性は、このコメントを書いた相手に、突き落とされた可能性も浮上します。
一方、その女性は一人の弁護士とも亡くなる6日前に接触していまして、その弁護士というのは、DVやセクハラ、ストーカーなど女性の被害者に、救いの手を差し伸べていた人物です。
SNSにてDV被害を書き込んでいる女性がいれば、それが裏アカだったとしても本人を特定し、偶然を装って近づき、手助けをしているんです。
裏アカの特定といえば、どうしても悪用されるイメージが強いかもしれませんが、中にはこんな善用をしている人も、実際にいるのかもしれません。
そうかと思えば、SNSで知り合った人間を騙したり、貶めたり、そういうことをする人間もいます。
匿名で誰でも発言できる場所というのは、安全で便利でもあり、危険で脆くもあります。
「使い方次第ですね、匿名は」と冠城くんが言っていましたけれど、表の顔で使う人もいれば、裏の顔で使う人も。
そしてワイドショーと刑事ドラマが大好きな主婦にも、協力的な目撃者という顔だけではなく、裏の顔があります。
特命係がそんな彼女の裏の顏にたどり着いたとき、全ての点が繋がりました。
苦しんでいる人を助けるために、SNSを利用する人。
自分の欲望を満たすために、SNSを悪用する人。
前者でありたいものです。
その他の見どころ
それでは続いて、第9話『匿名』のその他細かい見どころを、いくつか挙げてみたいと思います。
インコと話す右京と麗音
インコの飼い主が亡くなってしまったため、警察で一時的にインコを預かることに。
二羽のインコ、マリとコマです。
で、どうやら出雲麗音がお世話をしているようで、出雲は普通にインコと話してました。
さらにここに右京さんがやって来まして、一言だけインコと会話を。
インコ「チューシテ」
右京「お気持ちだけ頂きますね」
いいものが見れました。
小手鞠のスマホカバー
小手鞠さんが「インコ日誌」を楽しみにしていると、こてまりにて特命の二人に話している場面。
ここで小手鞠さんのスマホが出てくるのですが、注目なのはスマホのカバーです。
これ、まさに小さな手鞠、小手鞠ですね。
最初は花柄かと思ったのですが、よく見ると手毬になってました。
相棒のこういうこだわり、好きです。(僕は気付かないことが多いですけど…笑)
以上、今日は相棒season19第9話『匿名』についてでした。