第18話『詩集を売る女』
あらすじと感想
本日は、シーズン20第18話についてです。
相棒season20第18話のタイトルは『詩集を売る女』。放送日は2022年3月9日です。通常版ではS20のラスト回です。つまり、既に卒業が発表されている冠城亘での通常版ラスト回でもあります。
ではまず初めに、第18話『詩集を売る女』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、踏切の前で今にも電車に飛び込みそうな、うつろな表情を浮かべた女性を見かける。どうやら自殺は思いとどまったようだったが、気になった2人があとを追ったところ、彼女は「あたしの詩集を買ってください」という札を首から下げて雑踏に立ち、“ガリ版刷り”の手作りの詩集を売りはじめた。客を装って接触した右京は、彼女が千里一歩(かずほ/太田莉菜)という詩人であることを知る。
自殺の気配が消えた様子の彼女に2人は安心するが、その直後、一歩の前に明らかにガラの悪い男が立ち止まり、何かを告げる場面を目撃。そのとたん、彼女は激しい怒りの炎を顔に宿す。
訝しく思った亘が尾行すると、彼女はコンビニエンスストアでファッション雑誌を買い込み、「あたしはみじめな思いをしてきたのに…」と、憎悪の目で”ある記事”をにらんでいた。一歩が凝視していたのは、新進気鋭のデザイナー・KAZHO(篠原真衣)の特集ページだった。亘はさらに、彼女がナイフを購入するところを確認。もしや、KAZHOを刺すつもりなのか…!?
一歩がよからぬ事件を起こす予感を強くした右京は、彼女が罪を犯す前に止めなければと、“まだ起きていない事件”を調べはじめる。やがて、一歩とKAZHO──2人の衝撃のつながりが明らかに…!? そしてなんと、亘の胸にナイフが突き刺さる、絶体絶命の事態が起きて…!?
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!
まず、いきなり冠城くんが胸を刺されるというシーンから幕を開けますので、インパクト大です。しかも左胸あたりを刺されてますので、もしかして冠城くん死んじゃうの?って少なからず思わずにはいられませんでした。
冠城くん(反町隆史さん)は今シーズンでの卒業が発表されていますので、どうしても殉職というのを考えてしまうんですよ。第19話と第20話の最終話SPで卒業というのも明らかにはなっていますけど、もしかしたら今回で殉職して、最終話は過去の事件ってパターンも無くはないですからね。
ですので、冒頭にて刺されたことで、いっきに心配になっちゃうわけです。
しかしそこから時間軸は36時間前の過去へと遡る展開に。
つまり、どうして冠城くんが刺されてしまうことになったのか、それを遡って説明してくれるってことなので、そりゃ惹き込まれずにはいられません。
今回の物語の中心となるのは、自作の詩集を売る一人の女性です。偶然見かけた彼女の行動が気になった右京さんと冠城くんは、彼女を尾行したりして、「これから起きるかもしれない事件」について調べ始めます。事件が起こる前から捜査を始めるというのも、なかなか珍しいですけれど。それだけ特命係としては、その女性が気になったってことですね。
つまり今回は、犯人を突き止めるといういつもの着地点ではなく、事件を未然に防ぐというのが目的となるストーリーです。
詩人の女性の行動、発言、さらには詩集の中にある彼女の言葉、それら一つ一つを特命係が繋ぎ合わせ、彼女の行動を予測するという流れも面白かったです。詩がちょっとした謎解きみたいにもなってましたし。
中心となる詩人の女性と、彼女が憎しみを抱いているデザイナー、二人の間に一体何があったのか、というのがこの物語の最も重要なポイントであり、大きな謎です。また、その二人が同じ「かずほ」という名を持っている点にも、大きな意味が隠されています。最終的に特命係が解き明かさなければいけなかったのも、そこですね。
二人の「かずほ」さんがそれぞれ歩んできた人生を考えると、どちらにも同情を禁じえませんでした。
結果的には、冠城くんが刺されることにはなってしまいましたが、本来起こるかもしれなかった事件は防げたことにはなりますので、「事件を未然に防ぐ」という目的は果たせたのではないかと思います。冠城くんが刺される別の事件にはなっちゃいましたけど。
刺された冠城くんがどうなったのかは…ここでは書きませんが、とにかく最終話SPを前にして、こんな事件をぶっこんでくるというのは、さすが相棒!と感心してしまいました。
今回の全体の構成からしますと、やっぱり一番気になってしまうのは、刺された冠城がどうなったの?ってとこだったとは思うのですが、同じ名を持つ二人の女性の物語の部分だけ抜き取っても、じゅうぶんに楽しめる内容でした。
大きくなった加藤清史郎くんがゲスト出演した、S16第19話『少年A』に通じるような部分もありました。
AIによる事件の予測だったり、それに対する右京さんの見解なんかも面白かったですし、全体を通して色んな面白さが詰め込まれていた物語だったと思います。
2話連続で出番がなかった青木年男も今回は出てまして、冠城くんに転がされまくってましたね。
出雲麗音が前話に続きお休みでした。きっと最終話SPでは皆さん勢揃いだとは思います。
切ない物語ではありましたが、ラストには人の温かさも感じることができる、救いのあるお話でした。
冠城くんでの最後となる通常回、楽しませて頂きました。
第18話『詩集を売る女』、面白かったです!!
ゲスト出演者
では続いて、第18話『詩集を売る女』に出演された、主なゲストさんを紹介したいと思います。
太田莉菜(おおたりな)
手作りの詩集を路上で販売している女性、マキ役で太田莉菜(おおたりな)さん。
「千里一歩(せんり・かずほ)」というペンネームで詩を書いています。小料理屋で働きながら、その二階に居候をして生活しています。踏切にて線路に飛び込みそうな素振りをしたところを特命係に目撃され、気に掛けられることに。
太田莉菜さんは相棒初出演。日本とロシアとのハーフで、ファッションモデル出身の女優さんです。松田龍平さんの元奥様です。今回の相棒では、とっても影のある不幸な役を演じていらっしゃって、その雰囲気も魅力的でした。
以上、今回の主なゲストさんは、太田莉菜さん1名になります。
他には、気鋭のデザイナー、KAZHO役で篠原真衣(しのはらまい)さん。千里一歩に声を掛けたヤクザ風の男、大倉則之役で日向丈(ひゅうがじょう)さんなどが、その他のゲストさんで出演されています。
日向丈さんは別役で3話目(過去には劇場版Ⅱ、S10-16)の出演です。
冠城亘が刺される
冠城くんは以前にも一度刺されています。
S16第9話『目撃しない女』にて、朝倉あきさんの新崎芽依を救うため、ナイフを持った犯人と対峙して、おなかを刺されて負傷しています。
そのときは幸い命に別状はなく、大事には至りませんでした。じゃっかん楽しそうな入院生活の一場面も出てましたし。
しかし今回は冠城くん、胸をおもいっきりナイフで刺されてます。
場所も左胸のあたりですし、表情も苦しそうですし、これは心配になりますよ。
直後に駆け付けた右京さんや、その場に居合わせた青木年男もめっちゃ心配してます。
この場面、一瞬「かんぼーちょー!!!」を思い出してしまいました。
先述もさせて頂きましたが、冠城亘を演じる反町隆史さんが、S20で相棒を卒業することが発表されていますので、これはもしや冠城くん、殉職なのか…!?と思われた方も多いかと思います。僕も「まだ最終話も残ってるし、ここで殉職はないだろう」と思いつつ、あれ?もしかしてマジで殉職なの?と、色んな心配をせずにはいられない展開に。
ナイフを持っている相手に対し、丸腰で対峙するのって、物凄く勇気がいることですけれど、ほんと相棒に出てくる警察官の方々は、それを当たり前のようにしていますよね。
冠城くんも前回と今回で状況は異なりますが、身を挺して誰かを守ろうとしているんです。そして自らが盾となり刺されてしまったんです。
そんな敬意を表すべき警察官が、簡単に殉職などしていいわけがありません。
冠城くんは、こんなところで殉職してはいけないんです。
二人の「かずほ」
冠城くんがなぜ刺されてしまうことになったのか。
それには「かずほ」という同名の二人の女性が深く関わっています。
片方のかずほは、千里一歩(せんりかずほ)というペンネームの詩人です。
彼女は普段はマキと名乗っていたようですが、ペンネームが一歩(かずほ)ってことですね。
一歩さんは自作の詩集を路上で販売しています。「あたしの詩を買ってください」と段ボールに書き、寒空の中で一人で座って。
僕はこれを見てまず、新宿駅西口で「私の志集 300円」と書かれた紙を提げ、立っていた女性を思い出してしまいました。
新宿西口に何度か足を運んだことがある人でしたら、目にしている機会もあるかと思いますが、実際にそういう女性が自作の詩集を路上販売していたんです。
僕も何度となく目にしていまして、一時期新宿の西口で働いていたときは、頻繁にお見掛けしましたし、同僚が実際に詩集を買い求めたこともあります。もう20年近く前だと思うんですけどね。今もその女性が立っていらっしゃるのか、気になってTwitter等で検索してみたのですが、どうやら現在目撃情報はないようです。
このたびの千里一歩という詩人も、おそらく新宿西口の女性がモデルではないかとは思います。
で、右京さんが買った彼女の詩集は、こんな感じです。
なかなか重ための詩ですね。この中身にも、何か意味が隠されていそうではあります。
小手鞠さんはこの詩を読んで、なんだか切なくなってしまったとのことで、涙していました。
一方の冠城くんはポエムには全く興味が湧かないみたいです。
千里一歩さんは、踏切で電車に飛び込むかも、という場面を特命係に目撃され、気に掛けた二人に尾行されることになってます。
また、彼女が詩集を路上販売しているところに、柄の悪い男が現れ言葉を交わすなど、余計に気になる場面も。
彼女の様子から、彼女はスマホも所持しておらず、泊まる場所もなく、楽な生活はしていないであろうことも窺えます。
そんな彼女を追った先に出てきたのが、もう一人の「かずほ」です。
千里一歩さんは、コンビニで購入したファッション雑誌の記事を、憎悪の目で見ていました。
その記事の中にいたのが、もう一人のKAZHO(かずほ)さんなんです。
KAZHOさんは、新進気鋭のデザイナーで、近年注目を浴びている女性です。詩人の千里一歩さんは、雑誌の中のKAZHOさんの特集記事を、恨めしそうに見ていたんです。
片や絶望と隣り合わせの毎日を送っている詩人のかずほ。片や注目を浴び、華やかなデザイナーとして毎日を送っているかずほ。
千里一歩は、KAZHOに対し「あたしはみじめな思いをしてきたのに…」「道連れにしてやるから」と、その言動などから何かしらの恨みを抱いていることが推測されます。
つまり同名の二人の「かずほ」の間には、過去に何かがあった可能性があるんです。
そんな中、さらに千里一歩がナイフを購入するのを、尾行していた冠城くんが目撃。
冠城くんの尾行、なかなか怪しかったですけど。
これは、千里一歩がKAZHOをナイフで襲うかもしれないってことです。
これから起こるかもしれない事件を未然に防ぐため、特命係は千里一歩の行動を注視しつつ、二人の「かずほ」の間に何があったのかを究明しようと奔走します。
そして特命係が突き止めた先にあったものは、あまりにも不幸な二人のかずほの人生でした。
しかしその過去が新たな犯罪を生み出してしまうことは、なんとしても防がなければいけません。二人のかずほが、被害者と加害者になってしまわないように。さらなる不幸を生まないように。
それを身を挺して食い止めたのは、冠城亘でした。
その他の見どころ
では最後に、第18話『詩集を売る女』のさらに細かい見どころを、一つだけ挙げたいと思います。
非番の青木
いつもながら、特命係に文句を言いつつ、捜査に協力してくれる青木年男。
今回はいつも以上に冠城くんに上手く転がされていました。青木ってひねくれてますけど、ホントに純粋な男なんです。
そんな青木は今回、二度目の私服姿を披露です。しかも冠城くんの車の助手席に座ったり、車を運転したりと、これまた初めての絵まで提供してくれました。
前回青木の私服姿が出たのは、S19第17話『右京の眼鏡』です。そのときは部屋でのスウェット姿と、その上にダッフルコートを着た外出姿でした。
今回は、ファーのついた赤いコート着てますね。
私服ということは、つまりお休みの日に特命に呼び出され、協力してるってことです。
にもかかわらず、相変わらず雑に扱われている青木が不憫でなりませんので…一度くらいは小手鞠での晩酌に誘ってあげて欲しいですね。冠城くんの引退前に。
以上、今日は相棒season20第18話『詩集を売る女』についてでした。