第4話『最後の晩餐』
あらすじと感想
相棒season21第4話のタイトルは『最後の晩餐』。放送日は2022年11月2日です。「最後の晩餐」というタイトルが、最後に食べる食事そのものを指しているのか、それともレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画の情景に掛かっているのか。
それではまず、第4話『最後の晩餐』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、乗り込んだタクシーで血液の付着したマフラーを発見。運転手から直前の乗客の情報を聞き出すと、問題の男が帰宅前、唐突にロープを買っていたことが分かる。不穏な空気を察して追跡すると、男は両親の遺産を食いつぶして暮らす堂島(矢柴俊博)という独身の遊び人と判明。薫は、堂島の周辺で何か事件が起きていないか、伊丹(川原和久)に尋ねるが、捜査一課は先月発生した強盗殺人で、それどころではないとあしらわれる。右京は、堂島が何らかの事件を起こし、死を覚悟しているならば、警察を名乗るのは危険と考え、身分を隠して接触。行動を共にし始める。いっぽう薫は、右京の指示に従い聞き込みへ。すると、堂島が最近、若い女性と新生活を始める準備をしていたという情報が。被害者は、その女性…!? 右京と薫は、別行動を取りながら“何が起きているのか”を探っていくが、その過程できな臭い話が次々に浮かんでくる。
怪しい男をマークする右京と別行動の薫
真相解明の鍵はカレーとチャップリン!?
どんでん返しの先に衝撃の結末が!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!!
初回SPの後、第3話より通常版のスタートとなりましたが、第3話はいきなり亀山くんが逃亡者になっちゃうお話でしたので、特命の二人は一緒には捜査していません。ほぼ別行動でしたからね。ですのでこの第4話にて、ようやく特命係の日常が戻ったような、そんな感じです。
亀山くんが復帰して5代目相棒となり、もう4話目ですね。長いインターバルがあったとは思えないくらい自然に見てしまいつつ、とはいえまだまだ不思議な感じもするという、これまでにない相棒を見ている気がします。未公開だった亀山くんシリーズを、再放送で見ているかのような。
そしてこの第4話『最後の晩餐』は、「どんな事件が起きているのかわからない」ままに進行していく物語でして、犯人を突き止めるというよりは、事件を突き止めるというのが大きなミッションになってます。
右京さんと亀山くんが血液の付着したマフラーを発見するところから始まるのですが、殺人にしろ傷害にしろ、その遺体や被害者が出てこないんです。これまでも遺体の見つからない事件というのはありましたけれど、今回のはいつにも増して展開も読めませんでした。
マフラーを忘れた男が誰かを殺害→その際にマフラーに血が付く→殺人を後悔してその男は自殺を考えている、というのがまず提示される単純な図式ではありますが、もちろん真相はそんなに簡単ではなく、もっと複雑です。
被害者を見つけることさえできれば、事件の全貌も明らかになるはずのですので、先ほど「事件を突き止める」のがミッションと書いたばかりではありますが、「被害者を見つけること」とほぼイコールでもあります。
疑惑の中心人物である、矢柴俊博さん演じる独身貴族の男が、何かしら事件に関与していることは明らかでして、右京さんが彼に接近して、ぴったりと張り付くことに。
一方の亀山くんは、その男の周辺を、右京さんの指示も交え単独で捜査。
右京さんの線と亀山くんの線が並行して走るという、相棒ではよく見られるパターンです。
怪しい人物に右京さんがぴったり張り付いて、亀山くんが外で捜査という、月本幸子が初登場したときなどと同じ図式です。このパターン、面白いんですよね。
で、事件そのものを解明していく流れも面白いんですけど、矢柴俊博さんと右京さんのやりとりも見どころです。
それぞれ、右京さんらしい捜査、亀山くんらしい捜査が見れました。亀山くん、前話では単独で真相に辿り着いてましたし、今回も一人でしっかりと調べ上げていましたので、捜査力や推理力がレベルアップしてるのではないかと。終わってみれば、捜査の部分はほぼ亀山くん一人でしたからね。
右京さんの線と亀山くんの線に、さらにもう一本、捜査一課が追っている強盗殺人事件も絡んできちゃったりもしつつ、最後には全てが繋がり、無事真相に辿り着き解決。と思いきや、そこからのどんでん返しも待ってます。
なんとなくもう一山はありそうな感じはしてたんですけどね。でも、そうきたか、と。
カレーとチャップリンというのが、最後に繋がっていくとは思いもしませんでしたよ。ほっこりとさせて頂きました。
右京さんの口からは、身に沁みるような言葉も聞けました。特に最後の堂島に向けた「人生の価値は自分次第」という言葉が印象的でした。
捜一トリオの登場シーンもそこそこありましたし、取り調べ室での捜一トリオ&亀山という絵も見れました。伊丹さんからは「バカ亀」も出ましたね。
前話ではお休みだった土師太は、亀山くんのやりとりで直情型の被害に遭い、胸ぐらつかまれてましたし。
こてまりではついに美和子さんのバイトシーンなんてのも見れちゃいまして、そういった楽しみ要素も満載です。美和子さんの料理をまた目にする日が来るとは。
また、何気ない場面ではありますが、右京さんと亀山くんが夜の街を並んで歩くシーンだったり、一緒にタクシーに乗るシーンだったり、そういうのだけでもまだまだ嬉しくなってしまう自分がいます。
右京さんと亀山くんの相棒がまた見られるという喜びは、そう簡単には薄れません。
独身貴族を巡る、事件自体を突き止める物語、存分に楽しませて頂きました。
第4話『最後の晩餐』、面白かったです!
ゲスト出演者
それでは続きまして、第4話『最後の晩餐』に出演された、主なゲストさんを紹介します。
矢柴俊博(やしばとしひろ)
親の遺産で悠々自適な生活を送っている男、堂島志郎役で矢柴俊博(やしばとしひろ)さん。
セレブな独身男性で、いわゆる「独身貴族」です。血液が付着したマフラーをタクシーに置き忘れ、それを発見した右京さんと亀山くんにマークされることに。その後、身分を隠して近づいて来た右京さんと、バーで一緒に飲んでます。
矢柴俊博さんは別役で3度目の相棒出演です。過去にはS5第4話『せんみつ』で酒造倉庫の社員役、S10第11話『名探偵再登場』でスナックのマスター役で出演されています。『せんみつ』のときは登場シーンも僅かでした。今回は事件の中心人物でして、がっつりのご出演。『名探偵再登場』ではカウンターの中、今回はカウンターの外の場面が中心です。
以上、今回の主なゲストさんは、矢柴俊博さん1名になります。
他には、バーのマスター、久保ミツル役で長村航希(おさむらこうき)さん。クラブのママ、永沢輝子役で大家由祐子(だいけゆうこ)さんなどが、矢柴俊博さんに次ぐゲストさんで出演されています。
大家由祐子さんは別役で4度目(過去にはS4-3、S7-14、S13-10)の出演です。
被害者を探せ
今回の事件は、右京さんと亀山くんが乗ったタクシーで、血液が付着していた忘れ物のマフラーを見つけたことに端を発します。
しかもその血液の量というのがそこそこ多めですので、被害者もそれ相応の出血をしているはず。
当然これを見過ごすことなどできない右京さんと亀山くんは、マフラーを置き忘れた人物を突き止めます。
それがこの男、堂島志郎です。
彼は資産家だった両親を亡くしてから、悠々自適な生活を送っている、独身貴族です。すみません、もしかしたら「独身貴族」ってもう死語な気がしますけど。
彼は血濡れたマフラーを置き忘れただけではなく、そのタクシーでの帰宅前に、唐突にロープを購入するという、おもいっきり怪しい行動まで取っていることもわかります。何らかの事件を起こし、ロープで自殺をしようとしているのでは?と考えちゃう流れですね。
そういったことから、彼が何かしら事件に関与していることは、まず間違いありません。
しかしです。
マフラーに付着していた血液の主、つまり被害者が現れないんです。遺体も発見されませんし、大怪我をしたという人も出てきません。
つまり、まだどんな事件が起きたのか全くわからないんです。
堂島の周辺で何か事件が起きていないか、亀山くんが捜査一課に尋ねるも、特にそれらしきものは無し。
血の付いたマフラーを元に、堂島を聴取をすることもできなくはありませんが、事件がどのようなものかわからない以上、あまり強引な手法は取れません。
右京さんと亀山くんは二手に分かれ捜査を開始します。
右京さんは、堂島が入ったバーで彼の隣に座り、彼を監視しつつ一緒にお酒を飲む作戦に。
右京さんは警察という身分は隠し、サラリーマン設定で堂島に接近してます。
右京さんがこてまり以外でお酒を飲むのは、かなり久しぶりではないかと思います。日本酒ではなくウィスキーですし。
一方の亀山くんは、別行動で堂島の周辺を聞き込み。夜のお店にも行ってます。
バーにいる右京さんの指示で亀山くんが捜査を進めて行きますと、そこには一人の女性の存在が浮上してきます。
堂島は若い女性と新生活を始める準備をしていたと思われますが、その女性が見当たりません。つまり、マフラーについていた血の主は、その女性である可能性が出てきます。
そしてその女性の行方を突き止めたとき、彼女と堂島にいったい何が起こったのか、明らかになることに。
しかしその先には、堂島が予想もしていなかった、もう一つの真実がありました。
チャップリンとカレー
疑惑の中心人物である堂島は、自殺を考えていました。
しかし死ぬ前に食事をと考えたようで、一軒のバーに入ります。
その店の名は『City Lights』。チャップリンの映画のタイトルで、邦題は『街の灯』です。
店内にも映画のポスターが貼られていて、どうやらバーのマスターはチャップリンが好きな様子。
そして堂島もチャップリンが好きなようで、右京さんとチャップリンの話で盛り上がるワンシーンも。
このお店はバーではありますが、カレーも出しているようで、堂島はどうやらそのカレーを最後の晩餐にして、死ぬつもりだったようです。
ホントか嘘かわかりませんけど、右京さんも「実は僕もカレーには目がないんですよ」って言ってました。
しかしマスターに、カレーの材料がないため作れないと言われ、その結果、右京さんと堂島はカレーの材料の買い出しに出掛けることに。
スーパーで買い物をする右京さんという、珍しいものも見れちゃいました。
材料を買って帰った二人は、カレーが出来上がるまでの間、ウィスキーを飲みながら語らいます。
親の遺産で何一つ不自由なく、悠々自適な生活をしているかのように見える堂島ですが、決してその人生が幸せではないことも窺えますし、今回の事件では死まで決意しています。
しかしそんな彼を死から救ったのは、「最後の晩餐」でした。
それは、チャップリンとカレーが繋げた奇跡です。
その他の見どころ
では最後に、第4話『最後の晩餐』のさらに細かい見どころを、いくつか挙げてみたいと思います。今回は多めです。
シン・美和子スペシャル
第2話のこてまりシーンにて、まだ仕事が見つかっていない美和子さんに対し、小手鞠さんが「じゃあ見つかるまでうちでバイトなさらない?」と声を掛ける場面がありまして、美和子さんも乗り気でした。
美和子さんといえば美和子スペシャルという例もある、恐ろしい料理センスの持ち主ですので、右京さんも亀山くんも戸惑ってました。
しかし第3話ではバイトする姿もなく、普通にお客さんとして来店していましたので一安心。
と思いきや…。
なんとこの第4話にて、マジでバイトしてるぽいんです。
しかも新作料理を作っているとのこと。
それを聞いた右京さんと亀山くんのやりとりが、シュールでした。
右京「あの独創的なセンスは健在なのでしょうね」
亀山「そりゃあもう長い異国暮らしで磨きがかかってます」
右京「食欲は湧きませんが好奇心はそそられますね」
こちらは、美和子さんの作っていた鍋を開けた小手鞠さんの表情。
そして出来上がった料理がこれ。
青いカレーでしょうかね…。なかなかの見た目です。まさかS21にて、再び美和子さんの料理を見られる日が来るとは。
既に巷では「シン・美和子スペシャル」として話題になっているようです。
右京さんと亀山くんが、この料理をちゃんと食べたのかどうか気になるところ。
もしかしたら『最後の晩餐』というタイトルは、本当はこちら(右京さんと亀山くん)に掛けられているのかもしれません。
二人でタクシー
右京さんと亀山くんが二人でタクシーに乗るシーンというのは、もしかしたら初ではないかと思います。
右京さんだけタクシーというのは、S2の北海道にて若杉栄一のタクシーに乗る場面をはじめ、何度かありました。
また、車の後部座席に二人でというのも、かなり珍しいかと思います。僕は劇場版Ⅰしか思い出せなかったのですが、コメント欄にてS5最終話『サザンカの咲く頃』でも二人でタクシーに乗る場面があったと教えて頂きました。
どうやらタクシーでこてまりに向かう予定だったみたいです。
タクシーに乗る前は、夜道を二人で並んで歩いてました。
右京さんと亀山くん、仕事が終わった後もつるんでるというのが、なんだかとっても嬉しいです。
仲良しな二人の姿はいいもんですね。
はじっち
初回SPにて、土師太は亀山くんと初対面し、さっそく亀山くんに使われてます。
そんな土師太ですが、今回もまた亀山くんに協力をお願いされ、それに対し悪態をついたところ、キレられて胸ぐらつかまれちゃってます。
もちろん亀山くんも理不尽に怒ったわけではなく、人の命に係わる大事な捜査だったからこそ、怒ったんですけどね。
ちなみに土師太、亀山くんに「はじっち」って呼ばれてました。
土師太は右京さんからも、「青木君なら五分はかかったでしょうが、あなたなら三分で可能でしょう」と書かれた仕事依頼メールも受け取っていて、完全に掌握されてます。
青木年男の穴は、土師太がしっかりと埋めてくれていて一安心。
右京の支払い
堂島と二人でお酒を飲んでいた右京さんは、先にお店を出ます。
その際、一万円札をカウンターに置き、スマートに退店。
おそらくウイスキーを数杯とカレーだけですので、一万円もいっていないとは思うのですが、右京さんは金額も聞かず何も言わず1万円札を置いてます。
すみません、ウィスキー詳しくないので、高いやつだったらアレですけど。
かっこいい大人な右京さんが見れました。
アイリスアウト
今回の相棒は、とっても珍しい終わり方をしました。
物語の結末としての「終わり方」ではなく、ドラマ自体の終わり方の方です。
画面が丸く閉じていって暗転する終わり方で、「アイリスアウト」と呼ばれる手法だそうです。
サイレント映画やアニメを中心としてよく使われていたもので、確かに昔はよく見た気がします。
チャップリンの映画もこの手法が使われているようですので、それを踏まえた遊び心ですね。
相棒のそういう細かい遊び心、素敵です。
以上、本日は相棒season21第4話『最後の晩餐』についてでした。