第8話『センチメンタル・ジャーニー』
あらすじと感想
相棒season22第8話のタイトルは『センチメンタル・ジャーニー』。放送日は2023年12月13日です。「センチメンタル・ジャーニー」とは、直訳しますと「感傷的な旅」みたいなことかと思います。松本伊代さんのデビューシングルの曲名でもありますね。何かしらの旅のお話かと思われますが、どんな「センチメンタル・ジャーニー」なのか。
それではまず、第8話『センチメンタル・ジャーニー』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
角田(山西惇)が、旅行の日程をめぐって妻とぶつかり、離婚騒動にまで発展しているらしい。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は愚痴に付き合うが、当の角田は「一人旅にでも出ようか」などと言って、すっかり頑なになっていた。ところが数日後、“一人旅”に出たのは、なぜか右京だった。北に向かう高速バスに乗り込み、隣席の老婦人からそれとなく情報を引き出していく。やがて右京は、尾上絹(中尾ミエ)と名乗ったその老婦人について、犯歴の照会を角田に依頼。右京の単独捜査には、何やらのっぴきならない理由があるようだ。いっぽう、別行動の薫(寺脇康文)は、都内の工場街で不審車両を追跡していた。どうやら、犯罪者グループに拉致された女性を救出するべく、動いているようだが……!?
北に向かう老婦人と拉致事件の謎が同時進行
右京と薫はいったい何を追っているのか!?
“感傷旅行”が意外な真実を浮き彫りにする!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!!
まず、特命係が完全に二手に分かれての捜査というのが、かなり久しぶりではないかと思います。もちろんちょいちょい二手に分かれることはよくありますけれど、これだけおもいっきり別行動というのは、そう多くはないかと。いわゆるS12第18話『待ちぼうけ』的な感じですね。
そして、事件そのものが明かされないまま物語が始まっているというパターンもまた、『待ちぼうけ』に近いものがありました。いったん過去に戻っての種明かしは、けっこう序盤の方ではありましたが。
さらには今回、右京さんが一人で高速バスに乗るんです。これはおそらく多くの人が、月本幸子が初登場したS4第19話『ついてない女』を思い浮かべたのではないかと。バスに乗る右京さんと、バスに乗っていない亀山くんという設定も、『ついてない女』と同じです。
右京さんの乗るバスの行き先が「弘前」というのも、遠征感があってワクワクします。
もうこの時点で面白い要素が満載。
冒頭からの惹き込み方が、いつも以上に強力でした。角田課長の一人旅の流れから、右京さんのバス旅になるとは。
で、右京さんとバスの旅を共にするのが、中尾ミエさん演じる尾上絹という老婦人。この老婦人が一癖も二癖もありまして、物語をさらに魅力的なものにしてくれています。
ちなみに尾上絹というキャラは、どうやら尾上縫という実在の人物をモデルにしたっぽいです。
中尾ミエさん素晴らしかったですね。一貫して、彼女の存在感が際立っていました。
一方の亀山くんは、不審車両を追跡。最終的にはトリオ・ザ・捜一とともに張り込みをしていて、その組み合わせも新鮮でしたし、まるで亀山くんが捜査一課の一員のようにも見えちゃったり。
バスに乗る右京さんと老婦人という軸。
不審車両を追う亀山くんの軸。
ぶっといのは右京さんの軸の方ではありますが、この2本の軸が並行して走っていくわけです。
いったん過去に戻り、「誘拐事件」が、二つの軸の起点になっていることが明かされますので、そこから色んな推測はできるのですが、一番の謎は「なぜ尾上絹が弘前に向かっているのか」でした。
誘拐された孫娘を救うためであることはわかるのですが、それがなぜバスに乗ってるのかってことですね。
全ての謎を解く鍵は「尾上絹の正体」です。
その正体を突き止めようとする右京さんと、対する尾上絹のバスの中でのやりとりが、大きな見どころでした。見どころといいますか、このやりとりが今回のメインですね。
冒頭のこてまりシーンにて、右京さんが旅を意味する英語について、トラベルやツアーとジャーニーの違いを解説してくれています。勉強になりました。で、人生を振り返りながらする旅は、センチメンタル・ジャーニーだとも。
バスでの右京さんと尾上絹のやりとりこそ、まさに『センチメンタル・ジャーニー』でした。
尾上絹の正体というのは、右京さんの言動から、過去に何かしらの犯罪を犯したのでは?と早い段階で推測はできたんですけどね。それゆえに、孫娘のことも警察には通報できなかったんだろうな~と。
そして彼女が北に向かっている理由も、彼女の過去の犯罪と関係があるであろうことは推察できたのですが、それがいったいどんなものなのかまでは思い及ばず。
結末は少し寂しさも残るものではありました。
『センチメンタル・ジャーニー』というタイトルが、見終わってからもじわじわときちゃいました。
一番の見どころは右京さんと尾上絹とのやりとりですが、亀山くんの方も見どころが色々ありました。亀山&出雲、亀山&トリオ・ザ・捜一という2パターンの組み合わせも新鮮でしたし、最後には亀山くんの熱い言葉もありました。
また、角田課長のレアシーンがいくつか出てきますので、そちらもまた必見です。何気にプチ角田回でもあったのではないかと思うほど。
とはいえやっぱり終わってみれば、中尾ミエさんの印象が強烈に残っている回ではあります。
右京さんと老婦人のバス旅の物語、楽しませて頂きました。
第8話『センチメンタル・ジャーニー』、面白かったです!
ゲスト出演者
では次に、第8話『センチメンタル・ジャーニー』に出演された、主なゲストさんを紹介します。
中尾ミエ(なかおミエ)
弘前行きの高速バスに乗る老婦人、尾上絹役で中尾ミエ(なかおミエ)さん。
一人でバスに乗る70代後半と見られる老婦人です。隣りの席に座った右京さんは、道中で彼女の身の上話を引き出します。現在進行形で彼女の孫娘が誘拐事件の被害に遭っていると考えられ、その救出のために弘前に向かっているのではないかと。
中尾ミエさんは相棒初出演です。今回は尾上絹と右京さんのバスの中でのやりとりが中心の物語でして、何か秘密を抱えている老婦人役、素晴らしかったです。二人のやりとりには惹き込まれるものがありました。ノーメイクでのご出演ではないかと思われます。
以上、今回の主なゲストさんは、中尾ミエさん1名になります。
他には、尾上絹の孫娘、後藤真奈役で紗葉(すずは)さん。誘拐事件を主導している、磯貝直樹役で松本哲也(まつもとてつや)さんなどが、中尾ミエさんに次ぐゲストさんで出演されています。
中尾ミエと右京のバス旅
東京から弘前行きの高速バスに、一人乗車する老婦人がいました。中尾ミエさん演じる尾上絹です。
お隣の席にはなぜか右京さん。
二人は知り合いでも何でもなく、どちらも一人旅の乗客です。
しかし偶然お隣どうしになったわけではありません。右京さんが意図的に彼女と同じバスに乗り、横並びになりました。
尾上絹の孫娘が白昼堂々と拉致され、彼女は孫を取り返すためにバスに乗っていると思われます。
しかし、孫娘が連れられたのは東京で、現在も都内で監禁されていると思われますので、なぜ彼女が北に向かっているのか、その理由は不明。
長い相棒の歴史の中でも、こんなふうに右京さんが一人でバスに乗り、メインゲストさんとお隣どうしというのは、過去には一度しかありませんでした。その一回は、S4第19話『ついてない女』の月本幸子さんですね。今回はそのとき以来のバス旅の物語。
月本さんの行き先は空港でしたけど、尾上絹の行き先は青森県の弘前です。なかなか遠いです。10時間という長旅。
右京さんは尾上絹に話し掛け、彼女の身の上話などを引き出していきます。みかんを勧めたりもしてます。
右京さん、めっちゃ話し掛けてますので、一人でゆっくりバス旅を楽しみたい人には、相当迷惑だとは思うんですけどね。
尾上絹も最初は少し警戒していた感はあったのですが、時間とともに二人の距離は縮んでいったようでして、お酒まで呑んじゃってます。ワンカップを呑む右京さんというのも初です。
お酒を呑みながらの移動というのは、バス旅ならではですね。
お酒も進み、尾上絹は身の上については右京さんに語りますが、現在拉致されている孫娘については触れようともしません。
そもそも右京さんがバスに乗ることになったきっかけは、彼女の顔なんです。右京さんは彼女の顔に見覚えがありました。つまり、右京さんは「彼女を知っている」可能性がわけです。
尾上絹という名前を聴き出した右京さんは、角田課長に彼女の犯歴の照会を依頼します。右京さんは彼女のことを「犯歴がある人物」として見覚えがあることを示唆しています。
孫娘が誘拐されたら、普通はまず警察に届けますからね。それをしないということは、彼女に何かしら警察とは接点を持ちたくないという理由が考えられますし。
そして右京さんは、彼女の正体に辿り着きます。
しかしです。
尾上絹はただの老婦人ではありませんでした。
正体を突き止められ、右京さんが刑事だと知った彼女は、なんと休憩で立ち寄ったSAにて、デコトラをヒッチハイクして逃亡するんです。
右京さん、してやられました。それに気付いたとき、こんな顔しちゃってます。
こんなふうに右京さんが完全に出し抜かれるというのも、なかなか珍しいですからね。
で、こちらはデコトラを追う右京さん。今回は初めてのものが色々見れます。
逃亡した尾上絹対し、右京さんはパトカーを調達し、弘前の地にて追いつきます。
こちら、青森県警のパトカーで登場する右京さん。
そして尾上絹と今度はバスの外で対峙することに。
センチメンタル・ジャーニーの目的地は、彼女にとって大切な場所でもありました。
しかしその大切な場所にて、彼女は自身が考えていたのとは、全く違った結末を迎えることになります。
人生とはそういうものなのかもしれません。
亀山と捜一の張り込み
右京さんが高速バスにて尾上絹との攻防を繰り広げている間、亀山くんは一人で誘拐された孫娘を追っています。
そして犯人グループのアジトを突き止めるものの、孫娘の行方がわからないため、張り込みをしています。
犯人グループは、どうやら捜査一課が追っている連続強盗事件の犯人であることも判明。
で、そんな流れでまずは出雲麗音が亀山くんに合流します。
亀山&出雲がツーショットで張り込みという、貴重なワンシーンになってます。ちなみに亀山くん、出雲を「れおんちゃん」と呼んでました。
で、この後に伊丹&芹沢も加わります。
車は特命係のエクストレイルで、運転席には亀山くん、助手席に出雲麗音、後部座席に伊丹さんと芹沢さんという配置。
亀山くんとトリオ・ザ・捜一が、こんなふうに4人で張り込みするというのも初です。
強盗事件を追う捜査一課と、誘拐事件を追う亀山くんが、たまたま流れで一緒に張り込みをすることになったわけですが、まず大事なのは孫娘の救出です。それが亀山くんの役目。
右京さんと連絡と取りつつ、張り込みを続けます。
そしてついに孫娘の姿を確認し、亀山&捜一は4人でアジトに踏み込みます。
捜一トリオが揃って警察手帳を出す、かっこいい一場面も。立ち位置的に、なんとなく亀山くんがボスみたいになってますけど。
しかしこの誘拐事件には裏がありました。
全ては尾上絹の正体へと繋がっていたんです。
その他の見どころ
それでは最後に、第8話『センチメンタル・ジャーニー』のさらに細かい見どころを、いくつか挙げてみたいと思います。今回は全て角田課長絡みです。
こてまりに角田
角田課長がこてまりに初来店です。
2020年にTELASAで限定配信された『冠城亘はここにいる』では、来店しているんですけどね。本編では今回が初になります。
美和子さんも同席していますので、右京さんと亀山夫妻と4人でのこてまり呑み。
どうやら角田課長は奥さんと計画している京都旅行を巡って喧嘩になったようで、離婚騒動にまで発展しているとか。よほど揉めたと思われます。で、こてまりで愚痴ってます。
京都といえば、角田課長の双子の兄が京都府警に勤務しています。犬猿の仲とのことですが、お兄さん元気でしょうかね。久しぶりにそのことを思い出しました。
小手鞠さんも併せて、この5人の絵というのも大変貴重です。
角田課長と小手鞠さんとは、S19第14話『忘れもの』にて初対面はしていますので、今回が対面自体は二度目ですね。限定配信は除いてです。
角田課長は花の里への来店もS15第9話『あとぴん~角田課長の告白』の一度だけでしたので、特命係との呑みシーンも今回を含めてわずか2回のみ。
いいものが見れました。角田課長には、またちょいちょい来店して欲しいですね。
スルメを焼く角田
奥さんとの夫婦喧嘩が元で、角田課長は家にも帰らず、特命係の部屋で寝泊まりをしています。
そしてなんと、部屋でスルメを焼いて一杯やってます。こちらは様子を見に来た出雲麗音とのツーショット。
ここでスルメというのも凄い場面ですけど、角田課長と出雲麗音の2人だけがこの部屋にってのも、また貴重です。
後日公式のインスタには「居酒屋・特命係」としてこの絵が出てました。ハッシュタグでは「肴はあぶったイカでいい」とも。
角田の奥さん
角田課長の奥さんは、これまで何度か話題には出てきています。しかし一度も登場はしていません。
特命係の二人も、まだ写真でも奥さんの顔は見たことがありませんでした。
しかし今回、夫婦喧嘩からの仲直りを経て京都旅行に出掛けた角田課長から、旅先での写真が送られてきます。その中には奥さんが写っているものあったようで、それを見た右京さんと亀山くんの表情がこれ。
写真は視聴者には見れないようになっていましたので、この二人の表情から判断するしかありませんが、二人ともだいぶ失礼な反応をしています。
奥さんがどんな人なのか、ますます気になるじゃないですか。
いつかぜひ登場して欲しい。
以上、今日は相棒season22第8話『センチメンタル・ジャーニー』についてでした。