第9話『男の花道』
あらすじと感想
相棒season22第9話のタイトルは『男の花道』。放送日は2023年12月20日です。2023年最後の相棒で、S22の前半を締めくくる物語。近年は前半は10話までが定番となっていまして、9話で終わるのはS17以来です。『男の花道』というタイトルからだけでは内容が推測できませんが、どんな男の花道が待っているのか。
それではまず初めに、第9話『男の花道』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。
弓生(赤ペン瀧川)という青年実業家が、闇金トラブルでヤクザと揉め、組の№2を絞め殺す事件が発生。問題の組は、武闘派として知られる広域指定暴力団『扶桑武蔵桜』。その組長である桑田圓丈(大石吾朗)は、正義に目覚める前の内村(片桐竜次)と昵懇の仲にあり、特命係とも浅からぬ因縁を持つ人物。警察は弓生への報復を警戒し、実際、組の若い衆は暴発寸前だったが、トップである桑田はなぜか静観を決め込んでいた。そんな中、検察は弓生の正当防衛を認め、無罪放免を申し渡す。結果、弓生は警察の保護下から離れることに。それを知った内村は、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)に、弓生の身辺警護を指示。ボディーガードとして弓生に張り付くことになった右京と薫だったが、その矢先、桑田の子分から思い掛けない提案がもたらされる。
警察、検察、暴力団…絡み合う思惑
危険な護衛を押しつけられた特命係が
予想もしなかった事態に直面する!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/)
今回も面白かったです!!
内村さんが生まれ変わってからは、もう出てこないんじゃないかと思っていたヤクザ「扶桑武蔵桜」が再登場。かつては懇意にしていた組長の桑田も出てきます。
それに伴い、内村さんの登場シーンも多いです。最近は内村さんの出番が少なかったので、それだけでも嬉しいですね。必然的に同じく出番が少なめだった中園さんもちょいちょい出てます。
ゲストには相棒大好きでお馴染みの、赤ペン瀧川さん。
赤ペン瀧川さん演じる青年実業家の弓生が、扶桑武蔵桜のNo.2である若頭を絞め殺してしまうという導入からの、特命係が彼の警護に付くという流れ。もうこれだけで面白い。
中盤くらいまでは、物語がどんなふうに展開し、どこに向かっているのかも、なかなか読めませんでした。終盤になって、なんとな~くわかる部分もあるんですけどね。なんだか当たり前のこと書いてるかもですけど。
大きな軸としては、まず扶桑武蔵桜の弓生に対する報復です。特命係が弓生を警護する中、果たして報復が行われるのかどうか。
そしてここにもう一つ提示されるのが、弓生による若頭殺害の真相です。一般人が屈強なヤクザを一人で絞め殺すなんてことが本当にできたのか?という謎です。
大きな軸は報復の方なのですが、殺害の真相という軸も太くはないものの、同時に並行して走っている感じですね。
追加で色んなものが絡んではきますが、主にはその2本の軸です。
さらには終盤にて、内村さんが階段から転がり落ちるという、もう一つの大きな目玉ともなる事故が起きまして、そちらもどっちになるのか気になって仕方なかったです。どっちというのは、生まれ変わったままなのか、それともまた昔に戻るのか、ですね。ブラック内村なのかホワイト内村なのか。階段落ちの場面は大いに笑わせて頂きました。死んだ、という第三の選択肢も考えてしまいましたし。
内村さんと桑田の絡みというのも、『超・新生』により袂を分かって以来でした。
暴力団絡みの事件ということもあり、角田課長も活躍。組対の部長も登場します。
トリオ・ザ・捜一は拳銃シーンが出てきます。三人が拳銃を構える絵はかっこよかったです。
久しぶりに記者の美和子さんってのも見れました。組事務所に突撃までしちゃってましたし。
検死室にいる特命係など、珍しい場面もいくつかありました。
ゲストの赤ペン瀧川さんもよかったですね。ハマってました。配信企画などで進行役をしていた方が、こんなふうにゲストでおもいっきり登場というのも、またいつもとは違った面白さがありました。
タイトルの『男の花道』も、内村さんなのか、桑田なのか、弓生なのか、中盤まではなかなかわからなかったので、そういった意味でのドキドキ感も少しありました。内村さんが引退するという線も考えられなくはなかったので。
また、暴対法や暴力団排除条例というのも、クローズアップされていたのではないかと。同時に暴力団と警察との関係も。
僕はもちろんヤクザの全てを肯定するわけではありませんが、必要悪という部分では、その存在も然り、さらには警察との繋がりというのも必要なのでは、と思ってしまうんですよね。治安を維持する表と裏ですからね。警察と一切繋がりのない半グレや不良外国人が、裏社会を仕切るようになることの方が怖いです。実際に暴力団が弱体化すればするほど、そうなってきているかと思いますし。
必要悪だなんて言ったら、右京さんや亀山くんには怒られちゃうかもですね。
とはいえ今回の物語自体、少なからずヤクザの側の肩を持ちたくなるような、そんな部分もあったかとは思います。もちろんドラマのヤクザと実際のヤクザは違いますけれどね。
終わってみれば、何かと盛りだくさんの物語だったのではないかと。
最後にはしっかりオチも待ってましたし。
第9話『男の花道』、面白かったです!
ゲスト出演者
それでは続きまして、第9話『男の花道』に出演された、主なゲストさんを紹介していきます。
大石吾朗(おおいしごろう)
広域指定暴力団「扶桑武蔵桜」の組長、桑田圓丈役で大石吾朗(おおいしごろう)さん。
桑田圓丈は「くわたえんじょう」と読みます。扶桑武蔵桜は武闘派として知られる暴力団。桑田は以前、内村刑事部長と昵懇の仲でしたが、S19第10話『超・新生』で内村さんが生まれ変わって正義の人になり、絶縁を宣言されています。この度はそのとき以来の再登場。
大石吾朗さんは今回が4回目の相棒出演です。桑田圓丈役の役で、S19第1話『プレゼンス』とS19第10話『超・新生』に、プロダクションの社長という別役でS9第10話『聖戦』に出演されています。グループ・サウンズ「寺内タケシとバニーズ」のギタリストだった方で、ラジオの伝説のパーソナリティとしても知られています。
赤ペン瀧川(あかペンたきがわ)
暴力団員を絞め殺してしまった青年実業家、弓生崇智役で赤ペン瀧川(あかペンたきがわ)さん。
自身の経営する会社の資金繰りがきっかけてヤクザと関りを持つも、扶桑武蔵桜の若頭、鬼丸を揉み合いの末に絞殺してしまった男です。検察には正当防衛を認められ釈放されますが、組員から報復で命を狙われる可能性が高いため、特命係が彼の警護に付くことに。
赤ペン瀧川さんは今回が別役で2度目の相棒出演です。前回は瀧川英次名義で、S13最終話『ダークナイト』に模倣犯役で出演されています。映画プレゼンテーターであり、相棒の大ファンとしても知られ、新シーズン放送開始前の配信企画では、毎回進行役をされています。
以上、今回の主なゲストさんは、上記2名になります。
他には、扶桑武蔵桜の若頭補佐、虎鉄役で鳥谷宏之(とりたにひろゆき)さん。扶桑武蔵桜の組員、虎太郎役で田中俊介(たなかしゅんすけ)さん。検事の階真役で辻本祐樹(つじもとゆうき)さん。弓生に絞殺された扶桑武蔵桜の若頭、鬼丸役で三国一夫(みくにかずお)さんなどが、上記のお二人に次ぐゲストさんで出演されています。
鳥谷宏之さんは3度目(過去には同じ役でS19-10、別役でS21-7)、田中俊介さんは同じ役で3度目(過去にはS19-1、S19-10)、辻本祐樹さんは6度目(過去には同じ役でS20-1、S20-2、S20-3、別役でS5-18、S15-1)、三国一夫さんは同じ役で3度目(過去にはS19-1、S19-10)のご出演です。
赤ペン瀧川の正当防衛
今回の事件は、一般人である青年実業家が、広域指定暴力団の若頭を絞殺してしまったことに端を発します。
その青年実業家が、赤ペン瀧川さん演じる弓生崇智。
弓生は会社の資金繰りが苦しくなった際に、そうとは知らずにヤクザから出資を受けてしまい、黒い交際が続いていました。そのヤクザというのが、以前にも相棒の舞台に登場している『扶桑武蔵桜』です。武闘派としても知られる広域指定暴力団で、冠城くん時代の特命係とも対峙しています。さらには組長が、生まれ変わる前の内村刑事部長とは昵懇でした。そんな何かと因縁のある組。
で、弓生はその関係性の末、扶桑武蔵桜のNo.2である若頭の鬼丸と揉み合いになり、鬼丸を絞め殺してしまったんです。
若頭の鬼丸は、S19の第1話『プレゼンス』と第10話『超・新生』にも登場している人物で、貫禄のあるヤクザ。武闘派ヤクザの若頭ですし、巨漢で屈強な男です。
そんな男が、武術の心得など一切ない、一般人の弓生に絞め殺されてしまったわけです。
弓生は大学時代にプロレス研究会に所属していたそうですが、本格的な格闘技の経験などはなく、まさに「窮鼠猫を噛む」状態。鬼丸を知る内村さんも「一般市民が素手であの鬼丸をか」と驚きの様子。
弓生がいったいどんなふうに鬼丸を絞め殺したのか、弓生自身の記憶は曖昧のようでして、無我夢中で抵抗しているうちにそうなっていまったと。つまり、殺意もなく、身を守ろうとした末の殺人だと主張しています。
検察もそんな弓生の主張を認め、正当防衛と判断し、不起訴処分で釈放します。
釈放時には多くの記者が待機していて、美和子さんもその中にいました。
美和子さんのこういう姿は久しぶりです。
そして弓生を待っていたのは美和子さんだけではありません。そこには特命係の姿も。
若頭を殺された扶桑武蔵桜は、当然ながら弓生に報復をする可能性が高いです。弓生が堅気の人間だとしても、組のNo.2を殺されたわけですからね。釈放されたということは、実質的に警察の保護下から離れることになりますので、報復もしやすくなります。
そこで内村さんの指示で、右京さんと亀山くんが弓生の警護に付くことになったんです。
相棒の大ファンである赤ペン瀧川さんにとって、右京さん亀山くんと行動を共にするというのは、きっと最高に嬉しい共演なのではないでしょうか。見ているこちらまで、ついそんな嬉しい気持ちになってしまいます。
しかしそんな呑気なことは言っていられません。扶桑武蔵桜がいつどこで弓生を狙ってくるかわかりませんし、なかなか危険な警護です。
さらに右京さんは、弓生がどうやって鬼丸を絞殺したのかが気になるよう。弓生の記憶が曖昧なので、その検証も同時進行です。
扶桑武蔵桜による報復の阻止。
鬼丸絞殺事件の真相。
このたび特命係に与えられたミッションは、この2つです。
ヤクザの苦境と信念
若頭の鬼丸を殺された扶桑武蔵桜は、報復しようと殺気立っています。特に組の若い衆は暴発寸前といった様子。
しかし殺気立つ若い衆に対し、組長の桑田圓丈はなかなか動こうとはしません。息子も同然と思っている一番の子分を失ったのですから、胸中穏やかではないはずですが、組員の暴発を抑えています。
桑田圓丈は過去に、S19の第1話『プレゼンス』と第10話『超・新生』の2回登場していますが、名前だけはそれ以前のS16最終話『容疑者六人~アンユージュアル・サスペクツ』から出ていました。当時は週刊フォトスが「警察幹部と暴力団との癒着」について調べているとされ、それが内村刑事部長と桑田圓丈だったんです。
警察とヤクザというのは、持ちつ持たれつの時代もありました。その繋がりがあるからこそ、治安が維持されるという部分も少なからずあったのではないかとは思います。
しかし時代は変わり、暴力団に対する扱いは厳しいものとなっていますし、警察との繋がりなどもってのほか、という風潮にもなりました。
お葬式を挙げるのも一苦労です。
ヤクザの肩を持つわけではありませんが、そういった行き過ぎた暴力団排除というのも、問題点が多々あるのではないかと思います。小手鞠さんもそう言ってました。
それは遺体の引き取りという問題に関しても同様のようです。
桑田圓丈は、鬼丸の遺体を引き取らせてくれないかと、その交渉に警視庁を訪問しています。
角田課長と交渉、さらに特命係とも対面しています。右京さんは二度目ですね。
どうやら遺体は親族以外には引き渡せないことになっていて、引き取り手がいない場合は区や市などが引き取るみたいです。親子同然とはいえ、組には戻してくれないという、なんとも世知辛い扱いです。
警察とヤクザが繋がっていた頃は、その辺りにも人情があったんでしょうけれどね。
今回の事件に対しても、もしヤクザが報復などしようものなら、その罪は重いものとなり、激しく糾弾されることは目に見えています。
しかしです。
だからと言って扶桑武蔵桜は、報復をしないという選択はしません。
内村の階段落ち
内村刑事部長と桑田圓丈は、かつて昵懇の中でした。
内村さんは『容疑者六人~アンユージュアル・サスペクツ』で、大阪ヤクザ「風間燦王会」の組長の妻、加賀まりこさんの風間匡子とも、桑田圓丈の紹介で密会しています。風間匡子は風間楓子のお母さんでした。
その後、桑田圓丈の正体が明らかになったのが、S19第1話『プレゼンス』です。このときが桑田圓丈の初登場。
そしてS19第10話『超・新生』で、内村さんと桑田圓丈が、実際にモニター越しにですが会話をする場面が初めて出てきます。
ここで週刊フォトスが調べていたという内村さんの疑惑が、完全に黒だということが明らかにもなりました。それまではあくまでも黒い交際の「疑惑」だったのですが、『超・新生』にてその繋がりが確定した形ですね。
右京さんもその関係性には気付きます。角田課長なんかは、以前から知っていたっぽいです。
内村さんと桑田圓丈は、30年もの付き合いという、かなり親密な間柄でした。
しかし、そんな繋がりに大きな変化が起きたのも、また同じく『超・新生』のとき。扶桑武蔵桜が絡んだ贋作絵画のトラブルに巻き込まれ、内村さんが背後から鉄パイプで頭を殴られ、一時は瀕死の状態になります。そして目覚めたときに…なんと一切の悪を許さない、正義の人へと生まれ変わってしまったんです。
完全なキャラ変です。
そして桑田圓丈に対しても絶縁を宣告してしまいます。桑田圓丈からしたら、意味がわからないですよね。長らく懇意にしていたのに、いきなりキャラ変されて絶縁を宣告されたわけですからね。裏切られたようなものでもあります。
その後も内村さんが元のブラック内村に戻る気配はなく、約3年が経ちました。
しかしです。なんとこの度、内村さんが警視庁の階段から、派手に転がり落ちるという事故が起きます。
かなり唐突な事故でした。
中園さんと二人でいるときに起こった事故ですが、決して照生が押したわけではございません。一人で勝手に転落しました。照生も無関係ではないんですけどね。
で、こんなことになってます。
一瞬、死んだか?と思うほどです。
しかし内村さんの生命力は並じゃありません。またしても昏睡状態から目覚め、復活します。
この流れは、もう完全に『超・新生』ですよね。これはまさかの再キャラ変で、元の悪い内村さんに戻ってしまうのか?と誰しもが思わずにはいられない。
戻るのか?戻らないのか?その答えは、最後に特命係が内村さんと対面したときに判明します。刑事部長室に掛けられた額の文字にも注目です。
何よりも、内村さんが死んでなくてよかったです。
その他の見どころ
それでは最後に、第9話『男の花道』のさらに細かい見どころを、いくつか挙げてみたいと思います。今回は多めです。
トリオ・ザ・捜一の拳銃
弓生の警護を命じられたのは特命係ですが、トリオ・ザ・捜一もそのお手伝いに参加します。
そんな中、三人が拳銃を抜くシーンが二度も出てきます。
一度目は構えただけですが、二度目は発砲もしています。
どちらもかっこいい場面でした。
相棒では刑事たちの拳銃シーンはそんなに多くは出てきませんので、今回はいいものが見れました。
ヤクザ嫌いの階真
今回の事件、検察は鬼丸の絞殺について、弓生の正当防衛が成立するとの判断を下しました。その判断をしたのが、検事の階真(きざはし まこと)です。
階真は、S20の初回3部作『復活』で登場していまして、今回が2度目。
どうやら階真は心底ヤクザが嫌いなようでして、「ヤクザは社会のクズ」とまで言っています。
それらの発言や態度などから、階真は人間性に問題があるのではないかとも。
階真は今回二度目の登場ですし、今後何かしら特命係と対決することになる事件が起きるかもしれません。
組対部長の登場
角田課長のいる組織犯罪対策部の部長が登場しました。
浅戸彰良という部長で、演じているのは間瀬英正さん。
かなり若めの部長です。まだ新任の部長とのこと。
相棒で組織犯罪対策部長が登場するのは、劇場版Ⅱ以来ではないかと。川上博康という組対部長が、S9と劇場版Ⅱに出ています。
新任の浅戸部長は、どうやら内村刑事部長に対してもあまりいい印象を持っていないようでして、今後警視庁内で一悶着あるかもしれません。
マジックミラー越しの特命係
取調室の様子を、特命係がマジックミラー越しに外から見ているという場面は、けっこう出てきます。
しかし今回、特命係自体が取調室の中にいて、それをマジックミラー越しに外から映すという、珍しい場面がありました。
中には特命係とトリオ・ザ・捜一と弓生がいます。
これ、赤ペン瀧川さんにとってはたまらない場面ですよね。相棒ファンとしては、僕もぜひこの中にいてみたい。
直江喜一さん
鬼丸の葬儀が行われたお寺の住職役で、直江喜一(なおえきいち)さんという俳優さんが出演されています。
僕は全然気付かなかったのですが、彼が出てきた瞬間に、僕と一緒に相棒を観ていた嫁が、「あ、かとうまさるだ!」と。
『3年B組金八先生2』の加藤優です。腐ったミカンの。
現在も俳優さんをされていたのですね。知らなかったです。
ちなみにですが、「かとうまさる」は「か」で始まって「る」で終わります。
以上、今日は相棒season22第9話『男の花道』についてでした。