相棒が好き過ぎて

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相棒22第4話『天使の前髪』女優の証言vs特命係。

第4話『天使の前髪』

あらすじと感想

相棒season22第4話のタイトルは『天使の前髪』。放送日は2023年11月8日です。

「天使の前髪」というのは、どうやら「幸運の天使(女神)には前髪しかない」というギリシアのことわざからのタイトルではないかと思われます。「チャンスは訪れたそのときに掴まなければならない」という意味のことわざみたいです。恥ずかしながら僕は知りませんでした。「追いかけようとしても天使には後ろ髪がないから、転じてチャンスは向かってくるときに掴みなさい」みたいな言葉のようですね。

このタイトルからだけでは内容は推測できませんが、どんな「天使の前髪」のお話なのか。

それではまず、第4話『天使の前髪』のあらすじから紹介していきます。テレビ朝日の公式サイトより引用させて頂きます。

右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)が連れ立ってクラシックコンサートに向かっていたところ、血まみれの女性に遭遇。部屋をあらためると、ナイフが胸に突き刺さった男性の遺体が。署で事情を聞くと、女性は小さな劇団を主宰する久保崎美怜(藤井美菜)という女優で、死亡した男性は数日前、オーディションで審査員を務めていた舞台演出家だという。美怜は、男性にしつこくつきまとわれた上、突然マンションに押し掛けられ、乱暴されそうになったと証言。無我夢中で抵抗するうち、ナイフが刺さってしまったという。薫は正当防衛だと直感するが、右京は状況に違和感を覚え、彼女が“女優”であることに引っ掛かっていた。美怜の周囲を調べると、主宰する劇団は活動休止状態で、金銭的に困窮していたことが判明。それでも活動は続けていたというが、関係者からは美怜が、「才能に悩んでいた」との証言も聞かれる。さらに、彼女の過去についても、驚くべき事実が明らかになる。

刺殺事件で正当防衛は成立するのか?
真相に繋がる女優の重大な過去とは!?
右京の観察眼が驚愕の事実をたぐり寄せる!
(引用元:https://www.tv-asahi.co.jp/

今回も面白かったです!!

初回前後篇SPの後、第3話が陣川回でしたので、そういう意味ではこの第4話がS22で最初の通常回と言ってもよいのではないかと。

今回は「証言の真偽vs特命係」という、構図としてはシンプルではありましたが、見ごたえがありました。

正当防衛で人を殺めてしまったと思われる女性の証言の信憑性が焦点となります。その完璧な証言や状況が右京アンテナに引っ掛かりまして、特命係が真相を暴いていくという流れ。

証言をした女性が女優さんでして、それが肝になっています。

過去にも相棒では女優が事件の中心となるお話がありましたけれど、今回もおもいっきり「女優」がクローズアップされていました。

また、同時に「芝居」というものが物語を通しての大きな軸になっていたかと思います。あらゆるところに「芝居」が絡んでいましたからね。最後は「芝居の神様」の審判が下ったとも取れる結末でもありましたし。

女優の証言が嘘であることは、見ている側も最初からわかってはいるのですが、何が嘘なのか、真相は何なのかというのはなかなかわかりませんでした。彼女の過去のお話とお墓がリンクした辺りから、ようやくなんとな~く予測はできたんですけどね。

トリックは巧妙でしたし、右京さんにとってもなかなかの強敵だったのではないかと思います。どうやって運んだんだ?とか、痕跡は残ってないのか?という点は、ツッコミたくはなっちゃいましたけれど。

しかし辿り着いた真相というのが、切なくて…。刺された被害者がこれまたひどいクソ野郎なので、どうしても庇いたい気持ちは生じてしまいます。

立場を利用したセクハラだったり、そういうものの卑劣さも描かれていました。

女優役は藤井美菜さんでして、可憐な雰囲気がありつつも、強い意志を持った女優を演じていて、彼女自身が魅力的な「女優」さんでした。文章ちょっとややこしいですけど。

タイトルの「天使の前髪」は、色んな解釈ができるかとは思うのですが、女優が最後に掴んでしまったのは「悪魔の前髪」だったのかもな~なんて思ってしまいました。もしくは天使の前髪は掴んだものの、間違った使い方をしてしまったのかもしれません。

「芝居は本来人を幸せにするもの」というラストの右京さんの素敵な言葉に集約されていた気もします。

今回、笑いどころはやや少なめの回ではありました。とはいえ鉄板の捜一と特命のやりとりも見れましたし、右京さんと亀山くんのお出掛けも見られましたし。出雲麗音は右京さんとだいぶ仲良しになってますね。

亀山くんと美和子さんの外食、右京さんのこてまり一人呑みも見れました。男女格差やジェンダーフリーの話題がわざわざぶっ込まれていたのは、少々辟易としてしまいましたけれど…。

亀山くんが怒りを抑えられず、右京さんに制されるなんていう場面もありました。

あと、右京さんの聴覚の鋭さやクラシック好きも功を奏してましたね。導入のクラシックコンサートのくだりが、トリックを解明する音響の部分にも繋がるという作りにもなってます。

聴覚だけでなく、右京さんのすさまじい記憶力も発揮されてました。

女優の証言の真偽を究明する物語、楽しませて頂きました。

第4話『天使の前髪』、面白かったです!

 

ゲスト出演者

それでは続きまして、第4話『天使の前髪』に出演された、主なゲストさんを紹介します。

藤井美菜(ふじいみな)

小さな劇団を主宰する女優、久保崎美怜役で藤井美菜(ふじいみな)さん。

男性を刺殺してしまった女性です。事件直後にたまたま通り掛かった特命係に保護されます。その証言から、正当防衛による偶発的な事故である可能性が濃厚かと思われますが、右京アンテナに引っ掛かってしまい、証言の真偽を疑われることに。

藤井美菜さんは相棒初出演です。可愛らしい顔立ちなのですが、意志の強い女優役、とても魅力的でした。失礼ながら僕は、なんとなく見たことあるかな~くらいしか存じ上げておりませんでしたが、うちの嫁は『駐在刑事』というドラマを見ていて、そちらでお馴染みの女優さんだったようで、よく知っていました。

 

以上、今回の主なゲストさんは、藤井美菜さん1名になります。

他には、久保崎美怜が働いている居酒屋の店長、中村修役で瀬口寛之(せぐちひろゆき)さん。久保崎美怜の妹、久保崎美由役で石崎日梨(いしざきひな)さん。刺された舞台演出家、工藤祐一役で大内厚雄(おおうちあつお)さん。劇団「W」の劇団員、有村凛役で朝井瞳子(あさいとうこ)さん。映画会社社員の皆川隆二役で島丈明(しまたけあき)さんなどが、藤井美菜さんに次ぐゲストさんで出演されています。

瀬口寛之さんは別役で2度目(過去にはS18-11)、大内厚雄さんは別役で4度目(過去には、S11-9、S12-17、S18-18)のご出演です。

 

正当防衛による刺殺

ある夜、右京さんと亀山くんは連れ立ってクラシックコンサートへ。

この二人でコンサートなんて、仲良しですね。どのような経緯で二人で行くことになったのかはわかりませんが、クラシック好きの右京さんから亀山くんに声を掛けたと見るのが順当ではないかと。もしかしたら小手鞠さんに声を掛けたものの都合が合わず、亀山くんにお鉢が回ってきたのかもしれません。勝手な推測ですけど。

それはともかく、二人で会場に向かい夜道を歩いていましたところ…なんと血まみれの女性に遭遇してしまうんです。

女性は怪我をしていたわけではなく、血は他人のもの。自室で男に襲われそうになり、無我夢中で抵抗した際に、部屋にあった果物ナイフでその男を刺してしまったんだと。

右京さんと亀山くんはコンサートには行けなくなってしまいましが、それどころではありません。

女性の部屋に確認に行くも、既に男は絶命していました。

彼女の証言通りなら、刺してしまったのは故意ではなく、正当防衛が成立し、罪には問われない可能性もあります。乱暴されそうになって、抵抗している最中に偶発的に刺してしまったってことですからね。

実際に現場の状況なども、彼女の証言を裏付けるものばかり。

さらには第三者による決定的な証拠まで出てくるんです。

誰の目にも正当防衛が成立すると思われ、捜査一課もそう判断し、後に彼女の勾留を解きます。

しかしです。

右京さんは彼女に違和感を覚えるんです。

何よりも右京アンテナに引っ掛かったのは、彼女が「女優」であることでした。

 

女優の証言の嘘

相棒では過去にも「女優」が何人か登場し、彼女たちが主役になる物語がありました。

S3の第4話と第5話は、まさに『女優』というタイトルが付けられた前後篇ものでした。羽田美智子さんがゲストの回ですね。

同じくS3の第17話『書き直す女』では高畑淳子さんも女優役で登場。

S14第11話『共演者』でも多岐川裕美さんと高橋かおりさんが女優役で出ています。

そして今回の物語も、主役となるのは「女優」です。

男性を刺してしまった女性は、『W』という小さな劇団を主宰している女優で、名前は久保崎美怜。

元々は名の知れた劇団に所属していましたが、10年前に『W』を自ら立ち上げ、脚本から演出まで一人でこなしていたようです。

才能溢れる女優で、劇団員からも尊敬されています。

一方このたび久保崎美怜に刺殺された男は、舞台演出家で、美怜が女優として受けたオーディションにて審査員も務めていた人物です。久保崎美怜によると、そのオーディションをきっかけにして彼女に執拗に言い寄るようになり、この日は突然マンションに押しかけられ、乱暴されそうになったと。

で、夢中で抵抗していた際に、意図せず果物ナイフが刺さってしまったというわけです。

正当防衛と認められるだけの完璧な証言。さらには証言を裏付ける完璧な現場状況。

しかし彼女に対し違和感を感じてしまった右京さんは、彼女の聴取を繰り返し、亀山くんとともに捜査へ。

すると彼女が主宰している『W』は現在活動休止状態であることや、金銭的に困窮していたこと、さらには彼女が女優としての才能に悩んでいたとの証言も。

そして彼女の過去が、じょじょに今回への事件と結びついていくんです。

女優が演出家を殺害しなければいけなかった理由。それが存在するとしたら、事件は正当防衛ではなく、正反対の殺人事件へと変わります。そして正当防衛だと思わせる「トリック」も同時に存在することに。

しかし彼女の証言や証拠は、全て完璧に彼女の正当防衛を裏付けています。故意の殺人だと証明するには、その全てを覆さなければいけません。

それには「女優の嘘」を見破らなければいけないんです。

それができるのは右京さんをおいて他にいません。

久保崎美怜が、女優生命を懸け、芝居の神様に審判を仰いだ大芝居。

しかしその芝居は、芝居の神様が見たかったものではありませんでした。

 

その他の見どころ

それでは続いて、第4話『天使の前髪』のさらに細かい見どころを挙げてみたいと思います。今回は二つ。

右京の聴覚

今回の事件は、右京さんのクラシック好きという趣味に加え、聴覚の鋭さというものが、真相究明へと繋がっていました。

右京さんの聴覚は以前も取り上げられたことがあります。S17第17話『倫敦からの刺客』とかS18第6話『右京の目』とかですね。

今回もその聴覚がなければ、女優のトリックは見破れなかったかもしれません。

こちらは特命の部屋での一場面。

右京さんのヘッドホン姿はたまに見ますけど、ヘッドホンが新しくなっている気がします。

右京さん、亀山くんに「犬の聴覚並み」からの「犬のお巡りさんだ」だなんて言われてました。

右京さんは聴覚だけではなく嗅覚も鋭いです。これに現在は亀山くんの味覚と第六感も加わっていますので、特命係の特殊能力値はさらに上がっているのではないかと思います。

 

酔っ払いの美和子

亀山くん復帰後、S21では亀山くんと美和子さんが二人で外食をする場面が何度か出てきました。東南アジア風のレストランとイタリアンぽい洋食屋さんの二か所ですね。

この度はS22にて初めて、二人での外食シーンが登場です。

場所はS21第8話『コイノイタミ』でも出てきた東南アジア風のレストランです。

二人で赤ワイン飲んでましたけど、美和子さんがだいぶ酔っ払っているご様子。もちろん前回の陣川くんに比べたら可愛いものではありますが、大きな声で愚痴っていて、亀山くんがあたふたしてました。

どうせなら陣川くんレベルまでベロベロに酔っ払った美和子さんも見てみたいものですが。

 

以上、今日は相棒season22第4話『天使の前髪』についてでした。

 

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